☆ 生身魂こころ美人でありにけり 佐々木まき
生身魂の句は沢山ある。
☆ 奥の間に声おとろへず生身魂 鷲谷七葉子
☆ 対の箸まあたらしくて生身魂 若井新一
☆ 生身魂七十と申し達者なり 小林一茶
☆ 玻璃戸の玻璃も風雪経たり生身魂 中村草田男
☆ 生身魂酔ひて泣く癖ありにけり 清水基吉
☆ 生身魂すずしく箸を使ひけり 秋山幹生
☆ 猫の鈴つけかへてゐし生身魂 大木あまり
生身魂は秋の季語。盂蘭盆会には、故人の霊を供養するばかりではなく、生きている目上の人に対しても、礼を尽くす。敬うべき年長者を、食物を贈るなどしてもてなすことも、生身魂と言う。
新に迎える精霊もなく、一族や目上の者が健康であることを祝う気持ちから出た習俗。室町時代以降からあったと言う。
歳時記の中から、例句を拾っていて、まあ、これだけ良い句の例が無い季語も少ない。
周囲におられる、老人の生態を観察して報告しているにすぎない。
一茶の時代は 70才で、もう生身魂として祀りあげられている。名をなした俳人の句にしては、、、、。
鈴を付けかえている。 酔っぱらって泣く癖。 箸使いが上手い。 声が達者。 どこにでもいる老人を、見たまま 「5 7 5」 にまとめただけ。詩情も、風雅も、無い。
草田男は戸のガラスが古くなると同時に、人間も古くなったと、言っているにすぎない。
9月3日 は敬老の日。 多年にわたり社会に尽くした老人を敬愛し、長寿を祝うのが敬老の日だ。
敬老の日 の例句を読んでいて、なんと、生身魂 と 敬老の日 の季語を入れ替えても充分に通じる。
たかが俳句、されど俳句。こ難かしく言うのは控えよう。
佐々木まきさんの 生身魂の句。
こころ美人 を一読して、目から鱗が落ちた。こころ美人でありにけり。この心が美しいとの表現、すばらしい句だと思う。ことに年老いて、余す年月が自分でも計算出来るようになれば、残る人生を悔いなく過ごすには、せめて美しい心を持ち続けていたい。。。。と私も思っている。がなかなか。。。
自分が こころ美人 だとは詠んではいない。夫だか、親しい人か、心の美しい人周辺にいる。まきさんも 含んでの生身魂である印象だ。
こんな句が作りたい、作れるといいな~。
昨日のしりとり俳句
🏡 薬掘るほろほろ山鳩聞こえけり ほろほろ を繋ぐ
🏡 かまつかに日照の雨の過ぎにけり 雨 を繋ぐ
🏡 隣家から鬼の子わが家に蔵うつす 鬼 を繋ぐ
今 雨が降っている。初鵙の声が雨の中から聞こえてくる。