老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

M先生

2017-01-25 11:16:00 | 俳句
      

10センチくらいの小さな花瓶。

この花瓶は中学校の一年生の時に受け持ちであったМ先生が焼いた。
先生は退職をしてから、陶芸を趣味にしていた。
窯を作って陶芸教室で何人かのお生徒さんの指導もしていた。
娘さんが医者、孫さんも医者に。
そのお孫さんの結婚式には引出物の菓子鉢を添えたと言う。実家にもその深い藍色の深手の菓子鉢があった。
そんな先生の作品である。

ある時、訪ねて行ったことがある。
工房に所狭しと、作品が置いてある。
大きな壺から小さな茶入れまである。
私達夫婦に「どれでも、好きなのを一個づづあげる」と言って下さった。
夫は直径20センチくらいの丼のようなお皿のような茶系統の焼き物を選んだ。
私は隅っこにあった、この小さな壺を手に取り
「私はこれがいい」と言った。
先生は、「うーん」と言ったが
「ああ、、、それいいだろう、茶入れと友人から頼まれて焼いたうちのひとつだ。Nちゃんはこれがいいか」と言って下さった。

何か感じるものがあったけれど、気に入ったことを喜んで下さっているし有難くいただいた。

中学一年に入学して間もない頃。
英語で一月から十二月まで英語で言えるようにと宿題があった。
英語の時間に、私の筋に並んでいる者が前から次々と指され。
前の者も私も皆がずるをして、一月は言えても後がつづかなかった。
私は身体が大きいものだから、席が一番後ろであった。
前の友と同じように、言えなかった。
「N 放課後までに憶えて職員室に来なさい」
なんで私だけと不満であったが、放課後までに憶えて職員室に行った。
その日は職員会議が有る日。
先生達が三々五々職員室に集まってくる。
私が立って、英語の先生の前で「Januay Febuary、、、」
と言い出すと先生方がにやにやとしてこちらをみているような、、、?
そんな気がして恥ずかしかった。
英語の先生も一年生の受持ちで、M先生も一年生の受持ちであるから席が並んでいる。
「、、、、December]最後まで言うことができた。
「よろしい」と英語の先生。
隣のM先生と目があうと、うんとうなづいてくれた。

色々と想い出はあるけれど、この想い出も忘れられない想い出の一つである。

そのM先生の焼いた花瓶に今日は庭の山法師の莟みを挿した。

     💐    風花と妻はなやかな声あげぬ




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