Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

自然のリズム

2006-04-08 | 想い・雑感
 自然にはリズムがある。
 日は昇り、沈む。
 四季は移ろう。
 潮は干満を繰り返す。
 
 生老病死も命のリズムであるならば、老いていくことも自然のリズムである。
 死もまた然り。避けられぬものである。

 それを避けることを医療の目標とするならば、決して達成できない目標である。

 現代西洋医学は、その根っこで、人間を機械とみている(機械論)。
 メンテナンスをし、修理をしていけば、動く機械とみているところがある。

 癌の末期となり、まさに死にゆく人に人工呼吸器をつけるというのは、自然のリズムを押しとどめようとするものであるという面があり、人の体を機械とみている行為という面がある。

 人工呼吸器をつけないというのは、まさに自然に任せることである。人工呼吸を施したからと言って、癌自体が治療できぬステージに来てしまっているならば、回復の見込みはなく、機械で命をもてあそんでいるとも言える。

 人工呼吸器をはずした医師の話題が最近よく出る。この機会に、ぜひ私たち自身の問題として、どう生きるかという問いかけと同時に、どう死んでいくかも少し考える必要がありそうだ。必ず行く道なのだから。


母親

2006-04-08 | 医療・病気・いのち
 もう少し息子の成長を見守っていたいと言われていた方が息を引き取った。
 この方をみていて、母親は我が子のことをいつも考えているということを改めて認識させられた。自分の母親もこんな風に、子供の知らないところで心を砕いていてくれたのだろう。

 手術の時点でstage IVの進行胃癌。
 種々の抗癌剤を組み合わせ、何とか抑えてきた。腫瘍マーカーが上がりかけては治療方法を変えてまた下がるということを何回か繰り返してきたが、今年に入ってもう手が無くなってきた。

 痛みをコントロールし、胸水を抑え、適度な栄養補給を行い、比較的状態は良かったけれど、無くなる3日前から、全身のきつさやいき苦しさを訴えられるようになった。急速に状態が悪くなり、旅立たれた。しばしば病室を訪れていた息子さんは「泣かない。」と言っていたが、どこかで十分泣いて欲しいと思う。

 緩和ケアをきちっとすることによって、無くなる直前まで状態が保たれることが多くなった。そして最後はあっという間に過ぎてしまう。

 全身状態が保たれているように見えても、終末期が近づいている人は、ぎりぎりのところで状態を維持していることが多い。常に急変することを考え、心残りを少しでも減らすように、元気がある時期の時間を大切に過ごして欲しい。