Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

鬼手仏心

2006-08-12 | 医療・病気・いのち
 私にとって座右の銘に近いものとして、鬼手仏心があります。

 外科の「外」は外道につながるとも言われ、やはり人の体を傷つけることに対する諫めがあったのだと思います。

 人の体を傷つけるという手術という治療方法を考えるとき、その根本に命に対する慈しみが無ければならないと言うことを、強く教える言葉だと感じます。仏の心まではなかなかいけないにしても、優しさが無ければならないと言うことでしょう。

 でもそれだけではありません。鬼の手と言わしめるほどの技術を身につけることも求めている、非常にきびしい言葉だと思っています。

 どこまでそこに近づけるか。

局所麻酔

2006-08-12 | 医療・病気・いのち
 小学校の3,4年生ころ、ダイナモ付きの自転車に乗っていて、そのダイナモが回っている様子を見ながら進んでいると、突然衝撃が。

 なんと止まっているトラックの後ろ角に、頭からぶつかってしまったのだ。

 たらたらと血を流しながら、近所の外科医院へ。

 「ちょっと痛いよー。」と、注射をするのだが、2,3回ちくちくとした後、まだ針を何回か刺しているはずなのに、ちっとも痛くなくなった。それから縫いはじめた。針が通って行っているらしいのに痛みを感じない不思議な感覚。

 今にして思えば、局所麻酔。必要な領域に、局所麻酔薬を浸潤させ、神経を麻痺させてしまう。いろいろ処置をされているのに、何も感じないというのは、本当に妙な感じですよね。

生体肝移植

2006-08-12 | 医療・病気・いのち
 数年前に、かなり進行した肝硬変合併肝臓癌の方胃部分切除を行った。早期がんが胃に見つかったためだ。肝硬変の場合、術後に腹水があふれるほどたまる危険性が高く、そのまま肝不全から死へと進むこともあるので、かなり気を使う。

 先日、その方が生体肝移植を希望し大学を受診されていることを知った。胃癌が根治しているかどうかの問い合わせがあったからだ。

 通常肝臓癌に対する生体肝移植なら行うだろうが、この方がその候補になること自体に少し驚きを感じた。

 以前、肝移植が治療の選択肢となりうることを伝えなかったとして訴えられていた医師がいたが、たしかに生体肝移植は通常医療になりつつあるのかもしれないと感じた。保険適応になっているのにいまさらと思われる方もおられるかもしれないが、生体肝移植は、健康体の人から肝臓の一部を取ってくるというものである。外科医は治療という前提の下にメスを持つことを許されていると思うのだが、ただ臓器を取るためだけに、健康体にメスを加えていいものかどうかが、どうしてものどにつかえた骨のように気にかかる。

 実際、ドナー(臓器を提供する側)の死亡例が報告され、問題となっている。実際例が出なくても、手術に絶対はありえない。いずれ必ず死亡例は出ると誰もが思っていたのに違いない。

 これまで以上に、生体肝移植の適応を厳密に行ってもらいたいと感じる。

義歯

2006-08-12 | 想い・雑感
 週に一回、入院中の方で栄養摂取に問題があると思われる方を回診している。栄養士、看護師、薬剤師などとともに訪れる。

 栄養補給は、口から食べて頂けるような工夫を第一に考えるわけだが、ご高齢の方で食事摂取が不十分な場合、口腔内の問題があることも少なくない。

 「歯がぐらぐらする。」「口内炎がある。」「義歯が会わない。」などを訴えられる方が多い。その際には、食事を柔らかいものに変えるとともに、主治医に問題解決(薬剤投与、歯科受診、口腔内ケアなど)を依頼する。

 おそらく、家庭におられるお年寄りの中にも、同様の問題から、ついつい柔らかい食べ物を多く摂取している方が多いのではないだろうか。そのような食事は、炭水化物の補給は出来ても、タンパク質や脂質の補給が不足することも少なくない。

 口腔内のケアは大切です。