Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

骨折

2006-08-23 | 医療・病気・いのち
 一般的に年齢とともに、骨は脆くなる。特に女性の場合、閉経後にホルモンバランスが変化することもあり、もろくなりやすい。そして、ちょっとしたことで骨折をしてしまうこともある。

 高齢の女性が転倒し、足の付け根が痛くて動けない、という場合は大腿骨(太ももの骨)頸部(骨盤側)骨折を起こしていることが多い。ご高齢の場合受傷直後でなく、2、3日経ってから運び込まれることも多い。

 先日も救急外来に搬送されてきた方は、搬送2日前にこけて、歩けなくなったとのことであった。X線写真を撮ると、やはり頸部骨折であり、整形外科医にあとはお願いした。治療は通常、手術で折れた部分に太い金属を通して固定することになる。

 その方を見て、急に学生自体の解剖実習を思い出した。ご遺体を解剖させて頂くことにより、人体の構造を学ぶものである。私たちは(4人1グループ)高齢の女性のご遺体を担当させて頂いた。

 その方の大腿骨あたりを解剖していると、金属の棒のようなものが出てくるではないか。一瞬何のことだか理解できなかったが、骨折の治療をされたものと了解した。ご遺体の方は、確かにかつてこの方の人生を歩んでいたのだと強く実感した。喜び、悲しみ、苦しみ、怒り、そして楽しみながら日々を送っていたのだ。そしてある程度の年齢で、大腿骨頸部骨折を起こし、治療を受けたわけだ。その後歩けるようになったか、寝たきりになったかは分からないけれど。

 ちなみにその方は、胃の手術も受けていた。いろいろなことがあった人生だったことだろう。