Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

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ダンジーブログ

直腸癌

2006-10-26 | 医療・病気・いのち
 直腸癌の手術が必要となると、気になるのが人工肛門が必要かどうかである。

 癌は周囲に向かって浸潤(入り込んでいく)傾向があるので、肉眼で見て存在するところより離して切除する必要がある。したがって直腸がんが肛門のすぐ近くにできていると、本来の肛門も含めて切除する必要が出てくる。そうなると、残った結腸をお腹に出してそこから便が出るようにしなければならない。これが人工肛門である。

 人工肛門になると、ご本人が最も気になるのがにおい。20年くらい前までは金属のお皿のようなものをかぶせるくらいの装具しかなかったので大変だった。しかしその後皮膚にぴたっとくっつく装具がいろいろ市販されるようになり、まず周りの方が気にするようなにおいは出ない。

 また、以前であれば人工肛門になったような状況でも、技術の進歩で肛門を残せるようにもなってきた。随分と人工肛門を必要とする方は減ってきたのである。

 しかし、直腸がんといえば人工肛門だけを気にすればよいわけではない。

 直腸の通っている骨盤の中には、膀胱や尿管が存在し、さらに男性ならば精嚢、前立腺などが、女性ならば卵巣、子宮、膣などが存在している。直腸がんがそれらの臓器に浸潤すれば、その臓器も一緒に切除する必要が出てくる。

 たとえば膀胱に浸潤していれば膀胱を合併切除する。切除したままでは尿の出口がないので、人工肛門とは別に尿の出口もお腹に開ける(尿路変更)ことになる。

 ただそこまで大きくなっていれば、他の遠隔臓器に転移を起こしていることも多く、この手術を受けることのできる方は限られてくる。

 他の癌と同様、直腸がんも小さいうちはほとんど症状が出ない。症状がなくても、40代になればぜひ検診をうけていただきたい。肛門からの出血があり、痔だと自己判断して診察を受けていない方は必ず検査を受ける必要がある。また、家系に大腸癌の方がいる場合は、10代でも癌ができることがある。少しでも気になれば一度は検診を受けたほうがよい。

 小さいうちなら、人工肛門などになる可能性はかなり低くなる。