私たちは
生きている間にたくさんの試験を受けます
入学試験 就職試験 資格試験
人によっては幼稚園に入るのまで試験を受けるでしょう
試験勉強をして7割とか8割の得点を取ることは難しくなくても
9割となる難しくなり
10割 一つのミスもなく解答を出すというのは
極めて難しくなります
また 10割を求める試験というもの自体が
ほとんど存在しないでしょう
完璧を期しても なかなか人間に完璧は達成できないのです
医師国家試験という資格試験でもそうです
何割で合格かは忘れましたが
せいぜい7割程度ではなかったかと思います
逆にもしその国家試験で満点を取ったとしても
5年経てば医学の進歩と共に答えが変わることがあります
人というのは
知識という面だけをとっても
不完全な存在です
だからチームを組み システムをくみ上げて
不完全な部分を少しでも無くそうと努力しますが
人智は限られているのです
また分かりうるすべての知識を集めたとしても
たった一人の体の中で
いま 何が起こっているのかを
すみから隅まで正確に把握することなど不可能なのです
ミスをするのが人間
不完全なのが人間
そんな人間が
何が起こっているかを正確に把握できない人体を対象にしているのが
医療の実態です
だから医療事故を0にすることは不可能なことなのです
医療事故に限らず
いわゆる業務上過失致死というものを
完全に防ぐことはできないのです
ならば私たちは
善意の中で起きてしまった事故を
個人の責任として追及するのではなく
何が どこが 問題なのか
何か分かっていないことは無かったのか
どういうふうに改善していけば同じような事故を防ぐ可能性が高くなるのか
ということを議論していくしかないのではないでしょうか
人に完璧を求めることのできるような
完璧な人間は存在しないと思うのです