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昨日、ホテルオークラにあふれるほどの
人の列が出来た。
平安の間に入るまでに6列に並び、
その列が、階段をどんどん上がり、階上まで続く・・・。
4日に亡くなった飯田深雪先生のお別れの会だ。
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私は、その行列の中で静かに思った。
”ひとりの人が、
こんなに沢山の人の心に生きているなんて・・・。”
当然、
飯田深雪先生は、103歳でお亡くなりになったのだから
私の母のように、
先生に教わった生徒であっても
先立っている人も大勢いるわけで、ある。
”ひとりの人がこの世で出来ること・・・”
止まらない人の流れの中で
飯田深雪先生のエネルギーの大きさをただ、感じていた。
殆どの方が、
私の母よりも年上に見受けられる年代の女性・・・
戦後の貧しい時代に
飯田先生が送り込んだエレガンスとロマンは
どれだけ多くの日本人女性に夢と希望を与え
世界のトップレベルの教養を身につけるきっかけを与えたのだろう。
”美しきものの大切さ”
”本当の豊かさ”
・・・をアートフラワーや料理を通して
私達のハートに教えて下さった。
ホテルオークラの会場内にいる全ての人が
飯田深雪先生に教えをうけたことを
何よりも誇りに思っているようだった。
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ホテルオークラは先生の大好きだったホテル
飯田深雪先生のご子息のご挨拶があった。
”・・・・母は、身の回りの世話を
してくださる方や、家族には
大変厳しく、わがままなところも、ありました・・・
・・・こんなに多くの方が慕ってくださる母も
ひと皮むけば、赤子のような人でした・・・・
・・・それでも、私は、
そんな人間らしいところのある、母が大好きでした。・・・
と述べられた。
私はその言葉を聞いて、
”愛される人”とは、そういう
ひと皮むくと、赤ちゃんみたいな
そのまんま、なところがある人なのかもしれない、と思った。
ただひたすらに、
尊敬され、言動も全くスキがなく、
誰にでも配慮があり、自分を無にしても、
相手のために尽くす・・・
いわば、人間として完成した理想を生きようと
心がけている人も多いし、
実際、そのような立派な方も沢山いらっしゃるはず。
・・・でも、
欠点があるとしても
ちょっと困ったちゃんのところがあるとしても、
なぜか多くの人に慕われる、頼られる、愛される人・・・というのは
”ひと皮むけば、赤子のような人”
なのかも、しれない。
・・・実は、私の父が、そんなタイプの人間だ。・・・・
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先生は、ご自身のブループリントを
精一杯生きられた。
厳しく、強く、美しく・・・。
”ひとりの人が、出来ること。”
この世に何をするために生まれてきたのか、
それをどう表現していくのか・・・。
それは”今この時”を自分として
生きていくことで
自然と、見えてくるものなのかも、しれない。