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銀座で浴衣に着替え、髪を結い上げて
街を歩く。
ちょっと目立つ。
そう、東京では、やっと夏らしい日差しが出た昨日の午後。
まだ、梅雨明けしていないので
浴衣は時期尚早に・・・感じるのも無理はない。
素足に下駄をはき、
カラン、コロンと鳴らしながら
背筋をいつもより、シャン、と伸ばして
浴衣で歩く銀座も、なかなかいいもの
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千代田線に乗り、金町へ。
金町のホームへ降り立ったとたん、
私の浴衣姿は、一般的な姿となり
かえって、Tシャツや夏服のままの女性が
やけに、”手抜き”に見える。
そう、この金町から京成線で一駅。
”葛飾、柴又”。
男はつらいよ、の寅さんで
あまりに有名なこの地を中心に
花火大会が開かれた。
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駅では、寅さんが出迎えてくれる
東京生まれの私だが
実は、柴又ははじめて。
帝釈天へ通じる参道は
映画のセットさながらの、
下町情緒あふれる、昔ながらの店が軒を連ねる。
本当は、
写真を撮ったり、
店をのぞいて、手土産でも・・・というところだが
何しろ、花火大会当日。
人、人、人、人、人、人・・・・・・
歩くのがやっと、である。
今度何も無い、静かな平日の昼間にでも
ぷらっと遊びにきたいな・・・
外国人の東京案内にも、いいかもしれない。
風情のある、小さな町。
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花火大会の特別会場、
川千家さんを見つけ、ほっとして、店内へ。
窓越しに、それこそ、天然スタイルの
”オープンキッチン”では
いせいのよい、気合のはいった、ちょっと強面の職人さんが
うなぎをさばいているのが、見える。
今日は、特別にこの川千家さんの5階の屋上から
花火大会を鑑賞。
そして、
花火のあとは、美味しいうなぎ・・・
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なんて、素敵な企画なのでしょう
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すぅっと、夕涼みの風。
上弦の月。 一番星。
帝釈天を見下ろしながら、花火が、はじまる。
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一発、一発
夜空に大輪の花を咲かせる。
あれは、ひまわり、
あれは、ちょうちょ、
あれは、お星さま・・・
夜空に色とりどりのクレパスで
一瞬の夢が描き出される。
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花火の撮影は、三脚を持って
気合を入れて、望まないと、
相当腕のある人でも難しいという。
私は愛用のEOSは、
浴衣姿の巾着には入らないのであきらめて
IXYで、撮影にトライ・・・。
デジカメならではの、微妙なシャッターのずれ。
花火の美しさは、本当に一瞬の出来事。
来年までに、もうすこし、腕をみがかねば・・・
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”私は、どぉーん、どぉーんと
次々に迫ってくるみたいなのが、好き
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花火を見ながら、そう言うと
隣で見ていた、素敵なおじさま、ヒキチさんが
”ぢゃあ、男もそういう、迫ってくるみたいのが、いいんだ
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・・・・そっ、そういうわけでは、ないんだけれど・・・・・
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一万発の花火は、一時間ほどで全て
打ち上げられた。
名残惜しい気持ち。
このまま、しばらく、この夜風にあたっていたい気もする。
・・・しかし、今夜のメインが、待ち構えているという・・・
・・・これだ
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私好みの、少し固めのご飯に
江戸風の濃い味付のたれがしみていて、
肉厚のうなぎが、気前良く盛られている。
浴衣を着て、
柴又 帝釈天のそば
屋上から、目の前に上がる花火を観て、
美味しいビールと
・・・うなぎ。
2007年の夏が、はじまった。
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