
学校が研究授業とやらで午後早い時間に
下校となった。
平日に病院に行く時間が普段とれないので、
これはチャンス!と
先日届いたDT第2期(破傷風など)の予防注射の予約を入れる。
生まれた頃はいつも持ち歩いていた母子手帳を
久しぶりに出す。
予防注射も久しぶり。
広尾の、愛育病院へ向かう。

”予防注射でしたら、2階の母子保健科へどうぞ。”
受付でそういわれる。
”母子保健科かぁ・・久しぶりだなぁ・・・

息子はこの愛育病院で生まれ
(ちなみに私も)
幼稚園に入るまでは
愛育病院内にあるナーサリールームで育った。
母子保健科の部屋にはいると
”ひぇ~

そう、この母子保健科は
新生児からの定期健診や予防注射をする部屋で
待合室には
生まれたての小さい赤ちゃんから
歩きだしたばかりの赤ちゃんから
絵本を開いて読めるくらいの幼児がいっぱい・・

数年前には当たり前のようにこの待合室にいたのだが
さすがに息子が
”オレ、違和感あるよな。”
と背を丸めて身長を少しでも小さくみせるようにして
そそくさと部屋の隅のソファに座る。
そう、いわゆる”赤ちゃん”や”幼児”の中では
150cmに育って、制服なんか着ている息子は
ある意味”おっさん”

おむつやら、飲み物やら、おもちゃやらを
かばんに詰めて、息子を抱いて
この<乳幼児健診>に来ていたのは
つい昨日のように思えるのに
いつの間にか、この空間にいることに
違和感を覚えるほどに、成長していたのだ。


来月で12歳になろうとしているのに
やっぱり注射は嫌みたいで
”あの~、筋肉痛なんですけど
注射なんてして大丈夫ですか?”
なんて、お医者様や看護士さんにブツブツ言っている。
”大きな おっさん赤ちゃん”
の抵抗に笑いながら、ぶすっと一針。

母子手帳の予防注射の欄もこれで
全て埋まる。
なんか、母子手帳はある意味
母親としての成績表というか、
パスポートというか・・・。
空欄が埋まっていく喜びが、ある。


母子手帳を受け取るとき、
”あれっ? もしかして・・・。”
と看護士さんに話しかけられる。
”あっ、あの時の・・・”と、私。
そう、私が出産間近の大きいお腹のとき
お世話になった、看護士さんだった。
私はその頃、最高に幸せな妊婦さんから
なんともかわいそうな妊婦さんになってしまっていた。
その看護士さんはそんな私を
明るく励ましてくださった方だった

私は嬉しくなって
息子を指差して、
”あの時、お腹にいた子がこんなに大きくなりました

と紹介した。
小柄なその看護士さんは
”私と身長、変わらないわね。”と笑った。
なんだか、とても嬉しい再会で胸が熱くなった。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱えるようにしている
新米お母さん。
ちょっと目を離すと泣き出す子供。

じっとしていない、よちよち歩きの子供・・・。

うわぁ~、大変。

自分もやっていたとはいえ、
一瞬も気を抜くことの出来ない
<子育て>って、本当に大変なんだ・・・と改めて思う。
”大きな仕事が終わった”
なんて、偉そうに言っている私だけれど
やっぱり、<子育て>は偉大な仕事だ。

がんばれっ、ママたち

でも、母の日に
てれくさそうに3本のカーネーションを手渡してくれた
その息子の気持ちが
何よりも、何よりも嬉しい

そんな、スペシャルな、ご褒美を受け取ることが出来るのも、
そんな日々の積み重ねがあったから・・・

