尾瀬の湿原を歩いているといくつもの池塘を見かけます。
池塘というのは湿原の中にある池沼のことで、湿原をつくる泥炭が長い年月をかけて堆積する途中で形成されます。通常植物は枯死したあと分解されて土に戻るのですが、尾瀬のような気温が低いところでは分解が途中で止まってしまいます。分解途中の土壌は「泥炭」と呼ばれ、養分に乏しく酸性の性質を有しているため、湿原には特殊な植物が生えることになります。また、泥炭は水を通さない性質を持っているため、湿原にできた窪みに水がたまり、それが大きくなって池塘になります。
そんなわけで、池塘は日本最大の高層湿原「尾瀬ヶ原」の象徴的存在。
そんな池塘に見慣れない緑の物体が…。カエルやサンショウウオの卵のような寒天質の塊。でも、季節は秋。間も無く生き物たちは眠りにつこうという季節。
水の中の緑色の塊は、マリモのような藻類ともまた違う様子。
これ、カンテンコケムシっていう、動物の仲間のようです!!!
もっとも、これで1個体というわけでなく、サンゴのようにたくさんの小さな個体が群れをなして、一つの塊になっているのです。ここでいう「ムシ」は「珊瑚虫」と同じく、昆虫のようなムシではなくて「動物」的な意味。
調べてみるとコケムシっていうのは「外肛動物門」に属する動物の総称で、海水・淡水のどちらにも存在しているとのこと。その数は世界中で8000種を超えるそうです。
現存する数以上の化石も発見されているらしいですから、かなり原始的な生き物ということなんでしょう。
ウィキペディアによると
外肛動物の群体は、山型、扇型、小枝型、栓抜き型など様々な形をとる。外壁には小さな穴が無数に開いていて、それぞれが個虫 (zooid) と呼ばれる個々の個体である。これらは口から肛門まで続く消化管からなる真体腔の構造も持っている。口の周りの触手には繊毛が生えている総担(ふさかつぎ)と呼ばれる構造があり、珪藻や藻類を含む微生物を捕まえて餌とする。
とあり、こんなかっこいい画像が載っていました↓
wikipedia「外肛動物」より
尾瀬で見たのは、その中の淡水性の一種。名前の通り寒天質の群体を作る特徴があるようです。休芽の状態で越冬するらしく、どうやら、緑色のボール状態の姿はこの時期に見られるらしいのですが…
とにかく資料が少なくて、詳しいことがわかりません(^^;;
次に見かけたらもっとよく観察してみたいと思います。
ちなみによく似た種に、外来種の「オオマリコケムシ」というものや、少し小ぶりな「ヒメテンコケムシ」もあるようです。写真のものが本当にカンテンコケムシなのかは、私自身には判断する知識がないのですが、長年尾瀬に通っているスペシャリストな友人に教えてもらったので、おそらく間違いはないと思います。
外来種のオオマリコケムシは、最近日本各地の湖沼や用水路で大量発見され、時々ニュースになっているそうなんですが、まったく知りませんでした。
生き物の世界は本当に奥が深いです。
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