渋谷のシアター・イメージフォーラムで鑑賞
→ こちら
イ・チャンドン監督の『詩』で助監督を務めたパク・ジョンボムの監督デビュー作。
主人公が独特の風貌なんですよね。誰だろうと思ってたけど、なんと監督自ら主演だそうです。
北野武監督の「HANA-BI」を見て映画に興味を抱いたそうで、自ら主演するスタイルも北野流ですよね。
ムサンとは中国と国境を接する北朝鮮の街の名。ここから脱北したパク監督の大学時代の後輩が主人公のモデルだそうです。
いい映画だった。そして重い。
ずっしりと重い気持ちで映画館を出たときに外はちょうど雨上がりの晴天で、明るい空を見たとき、自分でもびっくりするくらいにホッとした。
現実の世界に戻ったものすごい安堵感があって、そんな感覚にちょっと驚いた。
主人公はおかっぱ頭なんですよ。
脱北者ということで仕事は限られて生きるだけで精一杯。不器用ながらも正義を貫いて暮す彼は寡黙。言葉少なに暮してるけど心の奥底に言いたいことや思いがいっぱい詰まってる。彼の代わりに思いっきり叫んであげたい気持ちになった。
ペックという白い犬は、苦しい状況でも彼が堂々と生きていることの証のような存在だったのかな。
そんな彼がおかっぱ頭をやめ、彼なりの生きる道を模索し始めたときにペックに、、
衝撃のラストでした。
ムサン日記~白い犬(原題:무산일기) 2010年
監督:パク・ジョンボム
出演:パク・ジョンボム、チン・ヨンウク、カン・ウンジン
中国との国境に接する北朝鮮の街ムサンから、脱北して韓国に来た青年スンチョル(パク・ジョンボム)。脱北仲間のギョンチョル(チン・ヨンウク)と安アパートを借りて暮らしていたが、北での生活と代り映えするものではなかった。一方、韓国での暮らしにすぐさま順応したギョンチョルは、危ない仕事に手を出して金を稼いでいた。いつまでもおかしなおかっぱ頭にダサい服の、いかにも脱北者らしい風貌のまま、わずかな賃金でポスター貼りのアルバイトを続けるスンチョルのことを、ギョンチョルは歯がゆく思っていた。スンチョルは定職を探すが、住民登録番号が“125”で始まることから脱北者であることがばれてしまい、すぐ断られてしまう。そんなスンチョルは、教会に心の拠りどころを求める。そして、白い制服を着て歌う美しい聖歌隊の女性スギョン(カン・ウンジン)に密かに憧れるが、近づくこともできない。ある日、スンチョルは白い犬を拾う。スンチョルは犬に、韓国語で白い犬を意味する“ペック”と名付けて可愛がる。たいした金も稼げないくせに犬を飼うスンチョルに、ギョンチョルは苛立ちを隠せない。やがて、ペックと心を通わせ、必死に生きようともがくスンチョルの前に、厳しい現実が容赦なく立ちはだかる。