きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

モリのいる場所

2020年11月14日 | 日本


そこが世界のすべて、小宇宙。
居心地よさそう。
蟻も、トカゲも、蛙も、葉っぱも、石も、鳥も、人間も、吹く風さえも、そこに住む同等の住人なんだろうな。

タイトルの「モリ」とは洋画家・熊谷守一さんで、実在の方なんですね。

後で調べたら、シンプルで素朴な絵を描かれてるけど、
若い頃は闇の深い絵も描かれてて、
お子さんの5人のうち、3人を赤貧で亡されてて、
いろんな経験を経て晩年をあの庭で過ごされてたんですね。

山崎努さんと樹木希林さん、名優お二人の佇まいだけで惹きつけられます。
お手伝いさんの池谷のぶえさんも素敵でした。

食事シーンが素晴らしくて美味しそうで、生きることは食べることだなって思う。
みそ汁のアゲははさみで切って、ウインナーはペンチでつぶして、
笑っちゃったけど、年とってもあんなふうに毎日豊かに美味しそうに食事をして生きていきたい。

モリが「みんな、学校がなくていいな」って言ったので、学校って何だろうって思ったら、画室のことだったみたい。
おくさんに「ほら」ってせかされて、普通の家庭の会話が可愛らしい。
ドリフのコントとか、ジュリーとか、宇宙人でさえも許容するもんね、遊び心が満載でした。

余談ですが、エンドロールで林与一さんの名前を見つけて、どこに出演されてたのかと思ったら、
なんと冒頭の昭和天皇を演じてらっしゃったみたいで、びっくりしました。



モリのいる場所  2017年 
監督:沖田修一
出演:山崎努、樹木希林、池谷のぶえ、加瀬亮、吉村界人

画家の守一(山崎努)は、草木が生え、いろいろな種類の生きものが住み着く自宅の庭を眺めることを30年以上日課にしていた。妻と暮らす守一の家には、守一の写真を撮る若い写真家の藤田、看板を描いてもらおうとする温泉旅館の主人、隣人の夫婦など、来客がひっきりなしだった。

⇒⇒ シネマドリ

罪の声

2020年11月14日 | 日本


昭和の未解決事件、グリコ森永事件をモチーフにした作品。
最高に面白かった!

言い方に語弊があるかもしれないけれど、最高の社会派エンタメドラマ、しかも何話もあるようなドラマを観終わったようなずっしり感ありましたね。もしくは良質な長編小説の読後感のような。
映画を観終わった感想としては適切じゃないのかもしれないけど、2時間20分でこれだけの濃密なものを観たんだという驚きがありました。

社会的事件を暴く物語ではあるんだけど、犯罪に声を利用された3人の子供たちの物語を絡めているところが今作の肝で、そこがね、泣けましたわ。
社会に対する怒りや不満に対する主義主張はあるとして、そのことで子供が巻き込まれていく不条理。現実にテロ事件が世界で頻発し子供が巻き込まれる現実があるわけで、そこへ思いを馳せ、子供たちの未来を願う気持ちが込められている。

前半は取材により次々と明らかになってくる登場人物の多さに、把握するのが大変だったけど、テンポが良かったし、出てくる人たちが妙に懐かしかったり、脚本家の野木さんゆかりの俳優さんがたくさんでちょっと楽しかった。
3人の子供たちの行く末の話になってきたら、もう完全に物語に引き込まれました。

最初は新聞記者の阿久津からの視点と、テーラーを営む曽根の視点と両方から始まったんだけど、途中で合流してバディもののような展開になったのも良くて、事件をエンタメのように記事にすることに疑問を感じて社会部から離れた阿久津と、地道にテーラー店を営む職人の曽根の対比も面白かった。
脇を固める俳優陣が素晴らしかったのはもちろんですけど、小栗旬と星野源の二人が最高でした。

凪のお暇 獣になれない私たち アンナチュラル 逃げ恥 重版出来 etc.
大好きなドラマばかり。
誰もが知る良質なドラマ作品を作り続けてきた脚本家 野木亜紀子さんと、土井裕泰監督の作品。さらに原作も面白いとなると、これはもう観るべきでしょ、とお勧めしたい作品。

エンディング曲もしみましたわ。この曲でまたまたぐっと来ます。



罪の声  2020年  ☆☆☆☆☆
監督:土井裕泰
原作:塩田武士
脚本:野木亜紀子
出演:小栗旬、星野源、松重豊、古舘寛治、市川実日子

新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件の真相を追う中で、犯行グループがなぜ脅迫テープに男児の声を吹き込んだのか気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)が父の遺品の中から見つけたカセットテープには、小さいころの自分の声が録音されていた。その声は、かつて人々を恐怖のどん底に陥れた未解決事件で使用された脅迫テープと同じものだった。