
江部康二先生の最新刊です。
これまで、糖尿病の治療と減量効果で注目されることの多かった糖質制限が、様々な疾患の予防や治療に有効であることを書き連ねてあります。
簡単に列記してみます。
癌、胃切除述後のダンピング症候群、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、うつ病や精神疾患、情緒不安定、統合失調症、老化
片頭痛、逆流性食道炎、アレルギー、アルツハイマー病、不妊症、難産、巨大児出産、感染症、肺炎、歯の病気、
腰痛、膝の痛み、頻尿、はげ、乾燥肌、高インスリン血症と反応性低血糖、食後の眠気などです。
どれも、私の中では常識となっていることばかりでしたのですが、癌に対する考え方に新しい知見が紹介されました。
これまでは、 "癌細胞は脂肪酸やケトンを利用できず、ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源である。
したがって糖質制限で癌細胞を兵糧攻めにすることができる。 " というだけの単純な理論だったのですが、
ケトンそのものに癌の抑制効果がありそうだということが分かってきたようです。
また、もともとインスリンには発がん効果があることが知られていましたが、
最近では、癌細胞そのものにインスリンを出させるメカニズムがあり、
自分のエネルギー源であるブドウ糖を取り込みやすくしているのではないかと考えられているそうです。
ケトン食での癌治療はアメリカでも日本でも臨床研究が進められています。
江部先生自身もこの本で、自分が癌患者になった場合はケトン食に切り替えると述べておられます。
私たちの体では毎日数千個もの癌細胞が発生しているそうです。
免疫系ですべて打ち殺しているのですが、まれに打ち漏らしが発生します。
打ち漏らされた癌細胞が成長し、癌として出てくるには10年から20年の歳月を必要とするそうです。
江部先生が糖質制限を始められて12年が経過しておられます。
江部先生は、糖質制限を始める以前に発生した癌を心配されておられますが、私の浅知恵によれば
この12年間は兵糧攻め効果によって、癌細胞の成長速度が落ちているはずですので
10年から20年で発生するはずの癌は、実際には20年から40年後くらいにしか発生しないと思うのですが、どうでしょう?