おとといの夜は上記映画を観ました。
スカパーで放映されたやつを録画してあるのです。
酔っぱらってはいましたが、最後まで見終えました。
この作品を私が観るのは、おそらく3回目か4回目だろうと思われます。
1988年公開のイタリア映画で、シシリー島の田舎町が舞台です。
時代設定は、第二次世界大戦中ということぐらいしか分かりません。
出征した父親の無事を祈る母子家庭で育つ主人公のトトは10歳くらいでしょうか。
村で唯一の娯楽施設である映画館の映写技師アルフレートに取り入って映写室に出入りするようになります。
老けて見えますがアルフレートは50代でしょうか、彼はトトに映写の技術を教えます。
当時の映画は上映前に神父の検閲を受けることが義務付けられていました。
そしてキスシーンや濡れ場はすべてカットさせられていました。
トトは気まぐれで、そのカットした部分のフィルムを欲しがりますが
当時のフィルムは燃えやすい材質でしたので、アルフレートは、
"フィルムはトトの物だ。しかし預かるのは俺だ。"と言い渡します。
アルフレートのトトに対する言葉は、深い愛情に裏打ちされた警句が殆どであり、このことこそが作品の格調を高めています。
ある夜、映写機からの出火で映画館は全焼します。
アルフレートは、なんとかトトに救出されますが全盲となってしまいます。
それでもトトとの付き合いは続きます。
映画館が新築されて、"ニュー・シネマ・パラダイス"となった時に、トトは映写技師として採用され
戦死した父親に代わって家計を支えます。
しかしアルフレートはトトが映写技師として一生を終えることに反対します。
そんな中、トトはエレナという娘に一目惚れしてしまいます。
若者特有の滑稽な恋のアプローチと駆け引きを重ねたあげくに、やっと二人は両想いとなります。
しかし、突然、召集令状が届き、トトは戦場へと駆り立てられます。
エレナはトトの帰りを待つことを誓います。
戦争が終わり、トトは生きて帰ってきますが、エレナの姿はありませんし、行方も不明です。
再会したアルフレートはトトに、エレナに会ったかと聞きます。
行方不明だと知った彼は、"人間には従わねばならぬ星の運命がある。"と言い、トトを次のように説得します。
"この村にいると、自分が世界の中心だと思う。何もかも不変だ。だが、ここを出て2年もすると何もかも変わっている。
頼りの糸が切れる。会いたい人もいなくなってしまう。一度村を出たら長い年月帰るな。
年月を経て帰郷すれば友達や懐かしい土地に再会できる。
今のお前には無理だ。お前は私より盲目だ。
人生はお前が見た映画とは違う。人生はもっと困難なものだ。行け。ローマにもどれ。
お前は若い。前途洋洋だ。私は年寄りだ。もうお前とは話さない。お前の噂を聞きたい。"
さらにローマに旅立つ日の見送りの駅でも、母親の目を盗んで、アルフレートはトトにささやきます。
”帰ってくるな。私たちを忘れろ。手紙も書くな。郷愁にまどわされるな。すべて忘れろ。
我慢できずに帰ってきても私の家には迎えてやらない。分かったか。"
"自分のすることを愛せ。子供の時、映写室を愛したように。"
言われた通りにトトは30年間村に帰ることはなく、有名な映画監督にまで上り詰めました。
アルフレートの葬式の知らせを受けたトトは30年ぶりに帰郷して母親と再会します。
そして、母親に謝ります。
"僕は母さんを捨てた。泥棒みたいに逃げた。理由も話さなかった。"
すると母親は"私が聞かなかったのだもの。お前のすることは正しいと思った。聞かなくてもわかる。
村を出てよかったわ。自分の望みを叶えた。"
さらに次の言葉が秀逸でした。
"お前に電話すると、いつも違う女性が出る。でも、お前を心から愛している声を、まだ聞いていない。
お前が誰かを愛して、落ち着いてくれれば嬉しいわ。"
そして、素晴らしいエンディングへとなだれ込むのですが、これだけはネタバレにするのが惜しいのでアップしません。
お勧め度100%の名画です。
補足1.
この録画は123分の国際版です。
もともとのオリジナル版は155分でしたが、本国ではそれほどヒットしなかったのだそうです。
そこで、恋人エレナとの、その後の絡みをカットした国際版を編集したそうなのです。
そのせいか、エレナが突然行方不明になって、そのままですので、違和感が残ります。
173分のディレクターズカット版のDVDも発売されているようですので、チャンスがあれば観てみたいものです。
補足2.
日本では1989年に、"シネスイッチ・銀座"で公開されました。
そこ一か所だけでの公開でしたが、40週連続で、のべ27万人を集め、3億6900万円を売り上げたそうです。
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