はせがわクリニック奮闘記

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利己的な遺伝子・リチャード・ドーキンス

2016年03月23日 | 読書


30年前に出版されて、世界中で物議を醸した作品です。
私が当時聞きかじったのは、" 生物は遺伝子を次の代に受け渡すための乗り物に過ぎない。 "というものでした。
まあ、分かりやすい理論で、読むまでも無く、" そういうものかもしれないな。 " と思い、実際にこの本を手に取ることはありませんでした。

そして、今回、この大作を読み始めたのですが、聞きかじった部分は、ほんの一部に過ぎず、難解な理論たちが待ち構えていました。
まあ、基本的なラインはダーウィンの自然淘汰説に準拠します。
つまり、ある生物集団において不適当な個体が排除され、特定の形質を持つ生存力の大きい適者が生き残って繁殖する現象です。
ところでこの自然淘汰ですが英語では natural selection と表示されていました。
こいつを和訳するならば自然選択になるはずですよね。
そこで淘汰をグーグル検索しました。
淘は水で洗って選択すること。汰は勢いよく水を流すことでした。
不純物や不適応な物は流されてしまって残らないという意味でしょうが、才能あふれる和訳ですよね。

さて、書評ですが、このボリュームを解説することは不可能です。
そこで、今後この本を読まれる方々のために、私が理解しにくかった考え方を、紹介しておきます。

Evolusionarily Stable Strategy (ESS)
進化的に安定した戦略


ある種の個体群をタカ派とハト派しかいないと仮定してみる。
タカ派は必ず攻撃で勝利を目指し、ハト派は時間はかかるものの話し合いで決着をつけるものとする。
互いに相手が何派かを知らないで対決した時に、その結果に対して点数を与えるものとする。
例えば、勝者には50点、敗者には0点、重傷者にはマイナス100点、
長い闘いでの時間の浪費にはマイナス10点でシュミレートしてみる。

もしもグループ全員がハト派だった場合は、長い話し合いの末に決着がつくので
勝った側は勝利の50点と時間の浪費のマイナス10点をたして、40点をゲットする。
負けた側はマイナス10点だけをゲットする。
この二人の平均値はプラス15点であり、なかなかの好結果のように見える。

ところが、このグループに一人のタカ派が発生すると彼の独り勝ち状態となってしまう。
彼は50点をゲットし、負けたハト派は0点に終わる。
この二人の平均値はプラス25点である。

すると、次第にタカ派が増えていくことが予想される。

次に全員がタカ派になった場合を考えてみる。
必ず激闘が繰り広げられて勝った側は50点ををゲットするものの、敗者側は大けがをするのでマイナス100点となり、
二人の平均点はマイナス25点である。
そして、このグループに一人だけハト派が入ると彼の得点は0点であるのでタカ派たちより優位となり、ハト派は増えていくであろう。

では、最終的にグループ全体の平均値をMAXにするタカ派とハト派の構成比はどうなるのかといえば
数ⅡB程度の数学力を駆使して、タカ派が12分の5、ハト派が12分の7となる。

もちろんこの結果は最初に設定した得点の設定を変えれば違う答えになるであろうが、
それでも答えは必ず存在するはずである。
このように、グループ全体の平均点をMAXにする戦略をESSと呼ぶことにする。

延長された表現型

遺伝子でクモはクモになり、人間は人間になるが、クモがクモの巣を張ったり、人間が群れて社会を作ることも遺伝子情報としてインプットされているはずである。
これを延長された表現型と呼ぶことにする。
鳥の巣やビーバーのダムもその一例である。

さて、私的には延長された表現型という和訳に対して不満を感じてしまいます。
英語では extended phenotype だったと思います。
extend は最近女性たちの間で流行しているマツエクのエクで、延長する、延ばすの意味でしょうが、英和辞典を引いてみれば、" 拡大解釈する " という訳があります。
私ならば、" 広義の表現型 " と意訳したいところです。

ミーム meme
人類は( 人類だけではないが ) 遺伝による伝達だけではなく、情報や文章、音声の録音、映像などで文化を次の世代に伝達していくことができる。
つまり先代の模倣をすることによって遺伝子を使わずに自己複製をすることができる。
そこで、そのような伝達をギリシャ語での模倣の語根である mimeme を略してドーキンスが提唱した造語である。


右脇腹の痛みが2にまで回復したので、1か月半振りにゴルフの練習を再開しました。
まだ、ポコーンとAWで寄せを50球ほど打つだけですが、快感です。
運動をして飲む酒は、やはり一味違います。
痛みと運動制限は精神をも蝕むということを実感しました。












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