老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

712;誰の世話にも・・・・

2018-04-17 12:08:57 | 介護の深淵

誰の世話にも・・・・

ある人は
「誰の世話にもならないで生きていく」

またある人は
「人間、誰かの世話になりながら生きていく」

誰の世話にならずに生きていけるのだろうか
当の本人は誰の世話にならず生きている、と思っていても
自分の知らぬところで誰かの世話を受けていても
気づかずにいるだけだ

誰かの世話を受けながら生きることは
決して恥ずかしいことではない
誰かの世話を受けたときは
素直に受け「ありがとう」と感謝の気持ち
世話は受けたり世話したりの「お互い様」

ときには「小さな親切」が大きなお世話になることもあるので
相手の気持ちを思い遣る「世話」が大切になってくる

介護は「世話」という意味が込められているような気がする
下の世話を受けるようになった老人の心は微妙に揺れている
他人様(ひとさま)に「下の世話を受ける」ほど申し訳ないと思い
こんな他人様に迷惑をかけるくらいなら「死んだほうがいい」と思うが
人間そう簡単に死ねるものではない
老人は何も返す物がないから
「いつもありがとう」の言葉をかけてくれる

介護における人間関係は
「お互い様」の関係にはなく
老人にとっては相手からの親切や思いやりが溜まるばっかりで
返すことができない心苦しさ

ある介護者は「おむつを取り替えてもらってさっぱりしてよかったね」と
何気なく話す言葉が
老人の気持ちを逆なでしていることに気づかずにいる
確かにおむつを取り換えてもらうとさっぱりする
それを言葉にしなくてもあたりまえのこと

返すのことのできない苦しさ
一番わかりやすい例え話
だれもがよく旅に行き
旅先でお土産を買う
日頃世話になった方や隣の家にお土産を差し上げる
頂いた方は
自分が旅に行ったときは
お返しをする
お土産を差し上げたり頂いたりの関係は
人生の貸し借りのようなもの
困ったときは助ける
自分が困ったときは素直に親切を受ける
人間一人では生きて行けない

冒頭に戻るが
人間誰かの世話を受けながら生きている
高齢社会の最中にあるだけに
いつ自分も誰かの世話を受けるかもしれない
肩肘はらず素直に世話を受けることも大切