『冬ざれて レールの軋み ガタゴトと』
(ふゆざれて れーるのきしみ がたごとと)
『締め方の 同じマフラーの 女の居て』
(しめかたの おなじまふらーの ひとのいて)
『内股の 襟巻男 辞書を引く』
(うちまたの えりまきおとこ じしょをひく)
『本を読む 皮手袋の ままの女』
(ほんをよむ かわてぶくろの ままのひと)
『足を組む 族が眠る 冬電車』
(あしをくむ やからがねむる ふゆでんしゃ)
『その足の 短さゆえに 冬温し』
(そのあしの みじかさゆえに ふゆぬくし)
『携帯の 声高乗せて 冬電車』
(けいたいの こわだかのせて ふゆでんしゃ)
『黒装束 眼はキリリ 冬の女』
(くろしょうぞく まなこはきりり ふゆのひと)
『車窓に 浮かぶ己に 冬歪む』
(しゃそうに うかぶおのれに ふゆゆがむ)