オモト
蕎麦同好会の忘年会があった。
忘年会の締めはもちろん蕎麦である。
この日の打ち手は、蕎麦会の頭目と目される上位4名の競演となる。
材料は同じそば粉を使い、二八蕎麦(蕎麦400g小麦粉100gの混合)を打つ。
頭目が持ち寄った蕎麦打ち道具は逸品揃い、大分お金がかかっているなと観客は見てとった。
これでもかと思うほど時間をかけて丹念な水回しの後、コネに入る、どの頭目も全く無駄が無い、見る間に麺に艶が出て来る。
のし板に乗せて延す、2本の麺棒を使って、要所々に打ち粉を蒔いて麺は面白いように広がってゆく。
これは念入りな水回しの成果であるという。
薄く延ばされた麺をたたんで切る、リズミカルな音が流れる、どう聞いても本職そのものである。
それとなく商売転向に水を向けても「蕎麦は奥が深い、簡単に極められるものではありません」と笑い、「趣味で打つから楽しい、商売となったら地獄になるかもしれません」と真顔で言った。
楽しく打たれた蕎麦は本当に旨かった。