布草履
ある集まりで年長者から自分で編んだという布草履を頂いた。
履いてみるととても暖かく、懐かしい思いが蘇えった。
子供のころの一時期、戦争が終わって物資が極端に不足していた時代、通学の履物は下駄か藁草履であった。
雨が降れば下駄、天気の良い日は藁草履を履いた。
その藁草履は自分の家で作った、父親が草履を編む傍らで子供たちも草履作りに挑戦した。
両足の親指に細い縄を引っかけてループを作り、縄の両端を手前にそろえ、4本の縄を絡めるように藁で編んでゆく、適当なところに鼻緒を付けてさらに編みあげる。
最後に親指から縄を外し、縄を手前に引いて出来上がる。
最初は形が不揃いで頼りない、たわしのような出来栄えだったが、勘所を覚えると充分実用に堪えるものができるようになった。
しかし 頼りないものの代名詞「藁」である、どんなに念を入れて編んでも所詮は藁、砂利道を2日も履くとかかとの部分が擦り切れてしまった。