自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

科学教室で入浴剤作り

2013-06-27 | 日記

6月22日(土)。『おもしろ科学教室』の出前講座を実施。会場は山間部にある小学校。この学校に通う子をはじめ,町内他地区からも児童が参加。みんなで9名。学年は4,5年でした。

内容は,台所の科学(化学)を念頭に“入浴剤を作ろう”というもの。実験室でなくても,台所にある材料や道具を使って,科学(化学)のたのしさが味わえることを体感してほしいと願って取り上げたのです。

展開は以下のとおりです。

 1.生活で使う反対語,科学で使う反対語を考えよう。

   (例) 前・後ろ,右・左,上・下,男・女,北・南,+・-,N・S,……

 2.「酸」を知っているか。台所にある「酸っぱいもの」を挙げてみよう。

   (例) 梅,レモン,マヨネーズ,酢,……

 3.「酸」の反対のことばは何と言うかな。「アルカリ」にはどんなものがあるかな。

 4.酸の力をみよう。

   (実験) 梅,レモン,マヨネーズを錆びた10円玉に置いて,光らせる。  

 5.「酸っぱいもの(酸)」に「アルカリ」を加えると,酸の力はどうなるかな。

   (実験) 梅,レモンに炭酸水素ナトリウム(重曹)を付けて舐める。

 6.クエン酸(酸),炭酸水素ナトリウム(アルカリ),グリセリン,食紅を適量混ぜて入浴剤を作ろう。

参加した子らはまだ「酸」「アルカリ」については学習していません。ほぼ初めての出合いでした。単に材料を混ぜて入浴剤を作るのでは,まったく意味がありません。ほんの少しだけ,台所の科学に立ち入って,ことばとの出合い,物性との出合いを演出したのです。

この展開は,自分で言うのも変ですが,みごとにうまくいきました。時間にして1時間30分。子らは,次々に作業を進めていきました。反応も上々。おしまいに,クマさん型のカラフルな固形入浴剤ができあがりました。

作業を終えて,この時間の楽しさを5段階で評価してもらいました。最高段階の「とても楽しかった」を選択したのは9人全員でした。次回も参加したいという気持ちになったのではないでしょうか。充足感を提供でき,ヤレヤレです。会場を移して実施した出前講座は成功! 

 


ハチの子育て

2013-06-26 | ハチ

過日,フタモンアシナガバチの巣作りについて取り上げました。

これと同じ(たぶん)種が我が家の生垣で巣を作っているのを発見。木はツゲ。 通りかかるついでに見ていると,餌を採りに出かけていくことがあるのかなあと思うほど,ずっと目にします。とても熱心に巣作りをしているといった印象です。

ある日,うんと近寄って巣穴を覗いてみました。すると,卵と幼虫(蛹?)の姿が確認できました。卵表面のツヤ,幼虫の瑞々しい体表と紋様が見えました。 

幼虫がすくすくと成長しているというのは,餌が与えられているからです。ということは,親が餌を運んできて与えているということになります。わたしはずっとそこにいて確認したわけではないので,推測するほかありませんが,せっせと世話をしているのは確かです。親としての役目を果たしているわけです。

巣と,その中がどう変わっていくか,しばらく目が離せません。

 


ベニシジミ,恋の季節

2013-06-26 | 昆虫

ウォーキングをしていると,よく目に付くのがベニシジミです。シロツメグサやヒメジョオンの花にとまって,蜜を吸っています。シロツメグサの受粉にはハチのように,花の中に頭を入れる昆虫でなくては役に立ちません。したがって,シロツメグサにとってベニシジミはありがたい訪問者なのではありません。うまく蜜を盗み取っているだけなのです。

ところが,ふしぎなほどにこの花を訪れているベニシジミが目立ちます。

棲息数が多ければ,それだけお互いの出合いも多くなります。ヒメジョオンの花で,カップルが誕生しそうな場面を見かけました。関心を示し合っている様子です。 何を目印に雌雄を見分けているのか,尋ねたい気持ちがしてきました。

カップルが成立した風景もあります。

雌雄の判別はむずかしそうです。わたしにはさっぱりわかりません。

ベニシジミの幼虫の食草はスイバとギシギシです。卵と幼虫を探せば,見つかるかもしれません。それをたのしみにしておきましょう。

ウォーキング半分,自然観察半分,そんな気持ちでいつも田舎の農道を歩いています。 

 


ジャガイモの実が鈴生り

2013-06-25 | ジャガイモ

ジャガイモの収穫の時期が近づきました。

今年は雨が少なかったので,イモの出来具合は芳しくないという声を度々聞きます。我が家,それとわたしが担当している親子栽培体験農園ではどうか,気になりながら,たのしみでもあります。

さて,3月に栽培体験農園でイモを植え付けるとき,わたしはジャガイモの花と実の話題に触れました。というのは,いつも関心を向けてきたからなのですが,単に栽培をするだけでなく豆知識を提供するのも体験のおもしろさではないかと考えたからなのです。ついでに,児童書『じゃがいもの花と実』(板倉聖宣著),『ジャガイモ畑の一年間 ~花と実とタネをもとめて~』(奥山久著)を紹介しておきました。

そんな背景があって今年もまた,ジャガイモ畑を見るたびに少し実を探してみました。しかし,一向に目にはしませんでした。ところが,つい先日,思いがけないところでたくさんの実を発見したのです。

場所は近所の知人宅。道端の小さな菜園です。見つけたとき,「こんなところにあるのか!」とびっくり。それほど目立たないかたちで,ぶら下がっていました。 しかし,立派に“鈴生り”といったふうなのです。地面近くに位置しているので,大抵の人にはわからないでしょう。

「今年も出合えたか!」。そんな気持ちがして,うれしくなりました。

体験栽培園の収穫時には,この話をして皆さんをびっくりさせたいと,今からわくわくしています。

 


ジャコウアゲハ観察記(その236)

2013-06-25 | ジャコウアゲハ

6月22日(土)。早朝,植木鉢に挿した竹で一個体が前蛹になって湾曲していました。まだ臭角がしっかり出るので,なって間もないようです。

夕方,勤務を終えて帰宅。たなたま植木鉢のウマノスズクサを見ていて,卵を発見しました。葉の裏にも,表にも,茎にも産み付けていました。

さらに,木にも!

三つある鉢のどれにも産んでいました。我が家を訪れたジャコウアゲハがいるのです。

昨日は雨だったので,産卵はこの日22日になされたと考えていいでしょう。卵から成虫になる生活環を一サイクルと考えると,今日まさに二サイクル目が始まったといえます。つまり,二化の始まり日です。

一回目は4月中旬から始まりました。二サイクル目は,早い個体で7月中には終わるでしょう。この分でいけば,わたしたちの地方では多い場合で四化までいきそうです。それを確認しようと思います。

ウマノスズクサがまた復活してきました。ありがたいことです。 

 


ツマグロヒョウモンと再会

2013-06-25 | ツマグロヒョウモン

今春は,ツマグロヒョウモンをほとんど見かけませんでした。「どうしたのかな」と思っていた矢先,幼虫と再会したというわけです。それにちなんだ話をしましょう。

先頃,勤務施設で,プランターに植えたパンジーをサルビアに植え替える作業をしているときでした。パンジーを引き抜いたとき,幼虫が地面に落ちたのです。「あれっ!? こんなところに幼虫がいたんか」とびっくり。それでパンジーを見ると,他にも幼虫がいました。「あれあれっ? まだいたのか」と,またびっくり。さらに探せば,まだまだ見つかりました。ほんとうに驚きました。

わたしが気づかなかっただけで,ツマグロヒョウモンはちゃんと訪れていたのです。

いくつかの株を残しておき,そこに幼虫をのせました。これで,ほとんどの個体が蛹になるでしょう。

そんな作業をしていると,近くの保育園の子どもたちが引率されて散歩に出かけるようで,傍を通りかかりました。「おはようございます!」。声を揃えて元気にあいさつをしてくれました。「はい,よい子の皆さん,おはようございます」。そうわたしは返して,そうして幼虫を見せました。

みんなびっくり。引率の先生方も目をパチクリ。進んで触ろうとする子もいました。怖がる子もいました。

「もうすぐこれがチョウチョになって,飛び回るんだよ」と話しておきました。「また,見に来るよ」と言って,子らは向こうへ行きました。

さて,せっかく幼虫と再会したのですから,わたしとしてはこれを絶好の機会にしないわけにはいきません。できれば去年よりも,もっときちんと成長を見届けたいという気持ちが沸々と湧いてきました。それで,建物内に簡単に持ち込めるよう素焼きの植木鉢にパンジーを残して,そこに幼虫をおいておくことにしました。

 


シオヤアブの季節

2013-06-24 | 昆虫

6月22日(土)。畑で除草作業をしていると,目の前の草からシオヤアブが飛び立ちました。そうして,わたしから数m離れたところに生えた草にとまりました。

そっと近づいてみると,獲物を捕まえている様子。目を凝らすと,確かに虫を抱えています。腹端には白い毛の束が見えました。オスです。

わたしに気づいてか,プイッと飛び立つと,すぐ傍の遊具のパイプにとまりました。「よしよし,気づかれないように近寄って,写真を撮るか」と思い,寄って行きました。慎重にしたお蔭か,アブは気づかない様子。アブはハチのなかまを捕獲していました。

例年,田植えが終わった頃,道端にシオヤアブが現れます。警戒心が強いので,気づくとサッと飛び立ちます。気づかれない心得は,ただただ慎重にするほかありません。

イネ科の細い葉にとまるアブの姿は,印象的です。今年もシオヤアブの季節がやって来ました。産卵風景をしっかりとらえたいと思っていますが,さて,どうでしょうか。 

 


アゲハの孵化を追う(3)

2013-06-24 | アゲハ(ナミアゲハ)

6月17日(月)。午前8時30分。産卵後,ちょうど3日(72時間)が終了し,4日目に入ります。

トリミングすると,淡い紋様が昨日よりもっとはっきり,そして複雑になって浮かんでいる様子がよくわかります。

スダチの葉に,同時刻に産み付けられたと思われる卵を一つ採集してきました。葉の裏側に付いているものを裏返しにして撮りました。卵の表面にはざらつきが見られます。紋様がくっきり見えます。同じアゲハの卵だとは思いますが,もしかすると,まちがっているかもしれません。

二つあれば,誕生の瞬間を見るチャンスが増します。

 


キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その12~)

2013-06-23 | キアゲハ

飼育箱で飼っていた個体は一つ,ハナウドの葉柄で前蛹になりました。からだを固定する土台は,わたしが準備したものでなく自然のものだということで,印象に残りました。それで,記録しておこうと思います。

じつは,前日の午後5時には前蛹になっていたので,24時間後には蛹になっているだろうと予想していました。しかし,この個体はそれよりずっと遅く,午後10時,つまり前蛹化後30時間程して蛹になったのです。これまで観察した中では,いちばん遅い個体となりました。

午後10時13分。背中が裂けて,脱皮開始。

 

午後10時15分。 上半身が現れました。

 

午後10時15分。皮が帯糸の下を巧みに通過。 

 

午後10時16分。皮をほぼ脱ぎ終わりました。 

 

午後10時17分。皮が小さくまとまってきました。 

 

午後10時18分。からだが現れ始めてから5分後です。 

何度見ても,変化時には驚きがつきものです。かたちも色も,動きも,とにかくすごいのです。それで,繰り返して同じような光景をご紹介することになります。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その235)

2013-06-23 | ジャコウアゲハ

ジャコウアゲハの幼虫は蛹化前,蛹になる場所をじつに適当に見つけてさっさと準備に取り掛かります。それまで棲んでいたウマノスズクサに対するこだわりはちっともありません。わたしがこれまでに見たのは,クリの木,ササ,ヒメジョオン,木の杭,トタン板,木材,植木鉢,そんなところでした。

植木鉢にウマノスズクサを植え,そこに竹・割り箸でも立てておけばそこで蛹化します。家のコンクリート基礎でも塀でも,です。

とくに自然物であろうが人工物であろうが,それはお構いなしといった点に特徴があります。ウマノスズクサそのもので見かけたことは一度もありませんでした。それはきっと,草が成長するまでにどんどん食べるので最適な場所にはなりえないという事情があるからだと思われます。

そのウマノスズクサで偶然蛹を見つけました。非常にめずらしいといえば,そのとおりでしょう。たまたま,植木鉢に植えたウマノスズクサがたくさん生えてきて,茎が林立していました。そこに幼虫をほんの数匹おいていたのでした。

ということは,蛹になるに格好の場が確保できたということになるでしょう。棲んでいたその場所で蛹になるとは,運動エネルギーの消費からみると,実に効率的です。中には,「どうしてあんな離れたところに行けたんだろうか」「どのくらい時間がかかったのだろうか」とふしぎに思えるような例だってあるのです。

子孫を残すために,それぞれの幼虫が楽もし,苦も味わい,個体として最善の努力をしようとしていることがよくわかる事実です。