はいよ、けんちゃんだよ。
俺はこう見えてもギターがうまい。自慢じゃないが、かなりの実力だ。ただし、披露する場所がないだけだ。
タコの保健室とカウンセリング研究所を結ぶ廊下のドアが開き、片山教授が顔を出した。
「お、なんだ、おざわ君か」
「すいませんね、緒方です
」
生徒のことでたびたび相談にきては、何回あんたと話したと思ってんだ。いい加減に名前を覚えてくれ。
「ああ、おやまくんな・・・」
わざとだろっ
。
片山教授はニヤッと笑うと、ベッドで泣きじゃくる白いヤツを見下ろして、
「あんた、そこのあんた、そのベッドは悪いが僕専用なんだ。鼻水をつけないでくれたまえよ」
と、言い捨てると勝手知ったる保健室とばかりに、冷蔵庫を開けた。
「なんだ、ワインが置いてないじゃないか」
・・・
。
「何回言ったらわかるんですかっ
この冷蔵庫は、生徒の応急処置のために置いてあるんです
アルコールは置いてありません」
匿名希望の東山先生が、叱りつけた。
「ほんじゃ、しゃあないなあ」
あっさりと諦めた片山教授は、再び白いヤツが泣きじゃくるベッドの側に立ち、
「失恋で悲しいのはわかるが、今の君は僕にとってジャマな存在なんだ。悪いがどいてくれたまえ」
と、白いヤツを無理に起こした。
「あんたね、失恋で泣いているのかそうじゃないかの区別ぐらいつかないのっ
」
白いやつは、鼻の頭を真っ赤にして教授につっかかった。色が白いだけに、真っ赤な鼻の頭が目立って、痛々しい。
「悪いが失恋だね。僕にはわかるよ。田原君、君は息子に彼を生んだ母親の面影を追い求めている。息子の親離れを悲しむ以前に、いつまでもまぼろしを追い求めるのは止めた方がよいな」
と、白いやつを見もせずベッドの下に潜り込んだ。
「あ、やばっ
」
と匿名希望の東山先生が小さな声で叫んだ。が、白いやつはそれを無視して、
「あのね、俺、田原じゃなくて近藤。何回間違えてくれるわけ?」
「似たようなもんだろ」
と、ベッドの下からはいだしてきた。そして、その腕に抱えられたものは…。
飯の時間だ
。
また、明日
俺はこう見えてもギターがうまい。自慢じゃないが、かなりの実力だ。ただし、披露する場所がないだけだ。
タコの保健室とカウンセリング研究所を結ぶ廊下のドアが開き、片山教授が顔を出した。
「お、なんだ、おざわ君か」
「すいませんね、緒方です

生徒のことでたびたび相談にきては、何回あんたと話したと思ってんだ。いい加減に名前を覚えてくれ。
「ああ、おやまくんな・・・」
わざとだろっ

片山教授はニヤッと笑うと、ベッドで泣きじゃくる白いヤツを見下ろして、
「あんた、そこのあんた、そのベッドは悪いが僕専用なんだ。鼻水をつけないでくれたまえよ」
と、言い捨てると勝手知ったる保健室とばかりに、冷蔵庫を開けた。
「なんだ、ワインが置いてないじゃないか」
・・・

「何回言ったらわかるんですかっ


匿名希望の東山先生が、叱りつけた。
「ほんじゃ、しゃあないなあ」
あっさりと諦めた片山教授は、再び白いヤツが泣きじゃくるベッドの側に立ち、
「失恋で悲しいのはわかるが、今の君は僕にとってジャマな存在なんだ。悪いがどいてくれたまえ」
と、白いヤツを無理に起こした。
「あんたね、失恋で泣いているのかそうじゃないかの区別ぐらいつかないのっ

白いやつは、鼻の頭を真っ赤にして教授につっかかった。色が白いだけに、真っ赤な鼻の頭が目立って、痛々しい。
「悪いが失恋だね。僕にはわかるよ。田原君、君は息子に彼を生んだ母親の面影を追い求めている。息子の親離れを悲しむ以前に、いつまでもまぼろしを追い求めるのは止めた方がよいな」
と、白いやつを見もせずベッドの下に潜り込んだ。
「あ、やばっ

と匿名希望の東山先生が小さな声で叫んだ。が、白いやつはそれを無視して、
「あのね、俺、田原じゃなくて近藤。何回間違えてくれるわけ?」
「似たようなもんだろ」
と、ベッドの下からはいだしてきた。そして、その腕に抱えられたものは…。
飯の時間だ

また、明日
