名月や 池をめぐりて 夜もすがら
ばせを
上池守天神社境内に建つ芭蕉句碑。
碑材は緑泥片岩の自然石で高さ1m91cm、幅51cm、厚さ70cm。先端が尖っており、建立年月日、建立者名はなどは不明である。
7箇所存在する行田市内の芭蕉句碑のうちの一つ。かつてこの地で俳句に精進し、正風の隆盛を示したものがいることの証とされる。
季語は名月で季は秋。中秋の名月の晩に月の映る池のほとりを歩き回って、一晩中月見をすると歌ったもの。夜もすがらに美しい月に出会えた喜びを記している。
桜の季節に芭蕉の秋の名月の歌を見ていると、季節感が反対に感じてしまうが、昨日地元の後輩の誕生日で、彼の家のすぐそばにある天神社に参拝し、桜の様子を見に行った際目に入った句碑であった。
桜は散り始めているが、平成6年伊勢遷宮の際講中記念に植樹された花水木が綺麗に咲いている。
利根川荒川の沖積平野に当たるこの池守地区は、水利に恵まれ早くから開かれた場所であったという。
本殿に安置される天神座像は、雨乞いの際社殿から運び出し縄に結び付け神社裏の川に投げ込んだという。
雨を司る天神の像を川に投げ込みその怒りを買うことで雨を乞う神事であろう。
社殿脇に建つ宇賀神社は昭和7年の造粒で、この年は全国的に大干ばつの年であったそうだ。
今では水の姿はないが池の堀として残っている。また神社の湧水で干ばつを逃れたことで、神による奉斎として崇め、境内には元荒川土地改良区用水機が設けられるようになった。
水と杜とともに生きてきたこの地の人々に芭蕉の句が建てられたのはいつだったのか。
郷土の歴史について知る身近な旅を始めたいと思っている。
行田市立星宮小学校130周年記念事業 星宮かるたより
上池の 天神社には 芭蕉の句