春の暖かな日差しを受け、天地万物が清らかで生き生きする頃。「清浄明潔」を略した節気を清明と呼ぶ。
雨水のころに芽を出し始めた植物の種類が判別できるほどに伸びてくるころだという。
中国では、古くからこの季節に先祖の墓参りや野に出て春の青草を満喫する「踏青」を行う風習があるという。
中国の五行説によれば春は青 夏は赤 秋は白 冬は黒
「青春」とはそこから生まれた言葉で、まさに清明のような活力みなぎる時期を人生の春に例えている。
数年前まではこのころに桜が満開を迎え、入学式にまさしく花を添えるのが常であったが、ここ数年来記録的に桜の開花が早まっていて、すでに清明のころにはすっかり葉桜の様相を呈している。
菜の花は相変わらず満開で美しい黄色い絨毯を広げている。土手には蓬が生えていて、草餅に用いるのに摘む人の姿が見られる。
蓬のことを餅草と呼び、春に摘んだよもぎは、邪気を払うとされて「魔除け草」とも称される。
桜と入れ替わるように花水木が美しい季節。
花水木は大正十四年(1912)当時の東京市長がワシントンへ桜を寄贈したことの返礼として三年後に贈られたという。
ハナミズキといえば同名の楽曲が有名で、
「君と好きな人が百年続きますように」というフレーズで多くの人の心の琴線に触れている。
また「四季の歌」においては「春を愛する人は心清き人すみれの花のような僕の友達」とうたわれる。
多くの花が咲き誇る、春の季節を堪能している。