皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

レモン牛乳物語

2018-10-09 11:08:42 | 食べることは生きること

栃木県の小旅行からの帰り道、高速道路で休みを取ると、多くの人で賑わっていた。いつもはTVやラジオで渋滞情報を聞いているが、なぜそんなに混んでいるのに車に乗るのだろうと思ってしまう。人の生活習慣とはなかなか変えられないものなのだろう。

東京一極から地方創成の名のもとに各地の名産品がメディアで取り上げられることも多い。栃木でしか飲めない飲み物。レモン牛乳。正式名称は「関東栃木レモン」というらしい。戦後まもなく誕生した乳飲料で

宇都宮の関東牛乳が「関東レモン牛乳」として販売していた。甘いものが貴重な時代給食に出された特別な贅沢品として親しまれたという。ところが平成16年に関東牛乳は廃業しレモン牛乳は終売となってしまったが、翌年栃木乳業が製造法を受け継ぎ「関東・栃木レモン」として復活させたという。地元に愛された商品を残したい。そうした思いが詰まった商品なのだという。

2000年に起こった大手乳業の食中毒事件をきっかけに生乳100%のものしか「牛乳」と表記ができなくなり商品名から牛乳の文字が省かれたという。

豊かになった現代で甘味に対する評価は厳しい。どんなに美味いものを作っても飽きられてしまうことも多いだろう。その一方でこうした物語を知ることで味だけでなく物の歴史を知ると心も豊かになる。SAで飲んだレモン牛乳の味は甘く爽やかで、休日の混雑を癒してくれた。

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