ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

安くてウマいもんと料理と旅行と音楽と競馬が好きなサラリーマンの暮らしを、ありのままに綴ります。

「わろてんか」よ、笑わしてんか…

2017-11-22 20:00:00 | エンタメ

毎度毎度ボヤいたところで、どうせ最終回まで毎朝観てしまうのは分かっているのだが、それにしても今回の朝ドラ「わろてんか」はいただけない。
前回のBK(NHK大阪)制作の「べっぴんさん」もいただけなかったが、「わろてんか」はその上を行くかもしれない。

前のBK制作「べっぴんさん」は、制作陣が
「毎朝、泣いてもらいます」
と意気込んでいたが、ついに一度も泣けなかった。むしろ脇を固める土村芳らの好演と、
「ウチ、ダァイキュウですから」
の小山と悦子様のロマンスで、それなりに楽しませてもらった。
なかでも麻田靴店の店主である市村正親の存在感は、全てを持っていくほどであった。

そこへ行くと、今回の「わろてんか」。一体、どこで笑えばよいのか?
とにかく、ヒロイン・藤岡てんの相手である籐吉(松坂桃李)の役どころが、アホすぎてシャレにならない。
口車に乗って、粗悪なパーマ機を千台も仕入れたのは、一体どうしたのか?

駄作と云われる朝ドラに必ず見受けられるのが、いわゆる「とっちらけ」と「ご都合主義」、それに「人気キャラ突然の退場」である。
今回で言えば、もはや京都の藤岡家の件は、ほぼとっちらけ。
籐吉に付いていって北村家に来たものの、そこで「ごちそうさん」の和枝姐ばりの嫁イビリがあるのかと思ったら、イビリ役の楠見薫(『あさが来た』の『ほんにほんに』でおなじみ)が北村屋の経営難を理由に逃げ出し、イビリ終了。
籐吉の許嫁であった楓(岡本玲)も、嫁対決に敗れてあっさり退場。
今週になって新聞記者役で復活したが、全く興味を持てない。

退場と言えば、てんの兄役の千葉雄大はアッという間に病死、気が付けば仏壇の中であった。
ナレ死よりひどい「遺影死」である。
また私は、徳永えりに非常に好感を持っている。「梅ちゃん先生」では梅子の同級生の弥生、「あまちゃん」では夏ばっぱの学生時代を好演した、まさに明眸皓歯という四字熟語が服を着て歩いているような女優だ。
その徳永えり、今回のてんの実家・藤岡屋でてんの女中・トキ役なのだが舞台が大阪になりすっかり出なくなった。私のようなファンは、不満であるに違いない。
(ちなみに私が最も好きな朝ドラ女優は、宮嶋麻衣である。そんな事はどうでもよい)

では、変わらず出演している他の役者はどうか?
まず、鳴り物入りで起用した高橋一生を、まるで使いこなせていない。
「あさが来た」で五代友厚役を好演したディーン・フジオカを意識しているのだろうが、似て非なるものになってしまっている。
今朝もいきなり藤吉と相撲をとったりしていたが、制作者はそれをが面白いと思っているのだろうか?

吉本興業の創始者・吉本せいの半生記を下敷きにしているというので吉本興業が全面協力しているのだが、どれもスベッている。
内場さん演じる亀井が、藤吉に劇場経営の見通しも問わず、ネタ見せを求めるなど藤吉の芸人としての力量を計る事もせず、やすやすと劇場を差し出すリアリズムのかけらもない展開は、全く理解できず特にひどかった。このドラマのオモロなさを象徴する回だった。
その「風鳥亭」の買収費用500円をてんが実家に借りに行くのだが、父親役の遠藤憲一が頑として首を縦に振らなかったにもかかわらず祖母役の竹下景子が了承したら、いとも簡単に500円を貸す展開になった。
物語が進むには小屋を取得せねばならないのは分かるのだが、ご都合主義ここに極まれりである。

視聴者にさんざん不信感が募ってしまった後なので、「風鳥亭」の経営に行き詰まって啄子(鈴木京香)が勢いこんで法被を着ても
「待ってました!」
とは全くならないのである。
強いて言えば、ここまでの前半戦で好演しているのは濱田岳である事に、異論はないであろう。

BKは「カーネーション」「ごちそうさん」「マッサン」「あさが来た」など、面白くて泣ける朝ドラを作れるはずなのだ。
たまに「純と愛」などハズレもあるが、アレはアレで笑えた。
そこへ行くと、「べっぴんさん」と2作連続で「笑いないハズレ」では、困るのである…