花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

杉浦日向子の江戸塾

2007年06月10日 | わたくしごと、つまり個人的なこと
杉浦日向子の江戸塾 PHP文庫で出版されている。
NHKの番組「お江戸でござる」では、江戸の町の話を聞かせていただいた。漫画家であり江戸考証家であった先生が逝かれて二年ほどになるだろうか。
(2005年7月27日のブログにも書かせていただいた)
この本では北方謙三氏や石川英輔氏らと、江戸を語り合っている。
宮部みゆき氏とは、旅&信仰のお話だ。
先日も、諏訪神社で政成稲荷の大祭がありススム会長と参拝させていただいたが、「伊勢屋、稲荷に、犬の糞」と言われるほど、江戸の町のあちこちにはお稲荷さんの社が祭られていたそうだ。
今でも会社の屋上なんかによく見受けられる。
お稲荷さんは現世利益の神様だ。基は収穫の神だったのが、都市部に移り、利を与えてくれる神として急速に広まった。
お願いに無理難題は通らない。ご利益に見合ったお願いでなければならない。
お乞食さんでも、お稲荷さんの供物は、返すことの出来る見込みがなければ手をつけてはならないとされていた。
さすが現実的な神さんだ。諏訪神社でも、お千代保稲荷さんででも、もう少しお賽銭をはずまないと、オイラのお願いは聞いてもらえないかもしれない。
幕末、日本を訪れた外人が、お稲荷さんの前をお辞儀して通る人々を見て、奇異に感じたそうな。
今ではあまり見られなくなった日本の良き風景だ。
杉浦さんの今の住まいは江戸の町。空気が澄んで、静かで、喧騒があって、のんびりしていて、遠くには富士のお山が望める。

宮部さんは、あとがきにこうおっしゃって見えます。
思いがけずお別れすることになり、この寂しさは言葉では表しきれません。
私は今でも、教わったとおりに、近所のお稲荷さんの前を通りかかるときには、ペコリとお辞儀するようにしています。
そのたびに、師匠が今お住まいになっている江戸の町が、ふんわりと身近に感じられます。