語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】痩せメタボ、隠れメタボ

2017年08月01日 | 医療・保健・福祉・介護
 食べた糖質はエネルギーになり、余った糖は皮下脂肪として蓄えられる。ところが、食べ過ぎ飲み過ぎ、運動不足が続くと、皮下脂肪への貯蔵が追い付かず、内臓の周りや内臓内に脂肪がため込まれる。
 これが内臓脂肪型肥満の始まりで、胴囲の太さに高血圧、高血糖、脂質異常のリスクが加わるメタボリック症候群の原因となる。検診でメタボを指摘されると、まず「痩せましょう」といわれるだろう。
 ところが、胴囲は太くなく肥満でもないのに、血圧や血糖値が高いことがある。「痩せメタボ」「隠れメタボ」として注目されているそうだ。
 「それほど太っていなくても、血圧などに異常があれば動脈硬化のリスクはある」というのは、あいち健康科学総合センター長の津下一代医師。体重が標準値内でも、ここ数年で急に体重が増え、おなか周りが太くなってきたときは、痩せメタボに該当する場合があるそうだ。
 加齢、喫煙、飲酒過多なども原因と考えられ、それぞれの原因に合わせた対処法が必要だという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「痩せメタボ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年7月19日)を引用
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【本】冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本 ~『日本中枢の狂謀』~

2017年08月01日 | 批評・思想
★古賀茂明『日本中枢の狂謀』(講談社、2017 1,700円)
 
 (1)第2次安倍政権の発足以来、政権もひどかったが、報道もひどかった。官邸が圧力をかけたのか、メディアの自主規制だったのか。
 そんな中、ひとり権力と闘っていえるように見えたのが古賀茂明だった。コメンテーターとして出演していた報道ステーションで「I am not ABE」のパネルを掲げたことを記憶している方も多いだろう。その姿は、巨大な風車に立ち向かうドン・キホーテのようにさえ見えた。

 (2)その古賀茂明による『日本中枢の狂謀』は、激越な安倍政権批判、ひいてはメディア批判の書である。政権とメディアが一体となって国民を欺く。その構造を古賀は「狂謀」と呼ぶ。「狂気」としかいえない安倍首相の野望と、そのための「策謀」。
 安倍政権がいかに人命を軽んじているかを示す例としてあげるのは、2015年に発覚した「イスラム国(IS)」の法人事件だ。
 1月20日、後藤健二さんと湯川遙菜(はるな)さんがISに捕らわれた映像が公開された。中東歴訪中だった安倍首相は、「イスラム国と闘う周辺各国に2億ドルの支援を行う」と語り、テレビのキャスターたちは「安倍総理がテロと戦っているときに政府批判をするのはテロリストを利することになります」などと叫んで、政府批判を封殺した。
 なぜ安倍首相は事件の最中に米国の盟友とされる国ばかりを訪ね、ISとの交渉を回避し、人質を見殺しにしたのか。
 <「日本はアメリカと一緒になって中東と戦争をする国になった」というイメージを覆したかった。そのためには「日本人は安倍総理とは違う」ということを世界中に発信する必要があると思った>
 かくして古賀は、問題のパネルを掲げる。報道ステーションの降板はすでに決まっていた。番組を支えていたチーフプロデューサーらの事実上の更迭も決まっていた、という。
 安倍首相の付加書きな言動は、
 <日本が世界の列強の仲間入りすることを目指している>
からだという。人質の命を代償にしてでも「テロに屈せず闘う安倍」をアピールするのは、米国に評価されたい、ひいては軍事力を背景に国際社会で影響力を持つ国になりたいからだ、と。

 (3)読みながら、ここ数年の出来事を思い出すだろう。
 2014年の解散総選挙と集団的自衛権をめぐる欺瞞。
 福島第一原発から流れ出る汚染水と、にもかかわらず原発が再稼働され、原子力ムラが復活している現実。
 メディアもしかりだ。
 ジャーナリストである前に会社員の立場を優先する記者たち。
 報道を骨抜きにする記者クラブ制度。
 テレビ局と新聞社の利権。
 あとは、ふがいない野党でしょ。保身に走る官僚でしょ。こっちはこっちで別の利権にしまみついている連合でしょ。
 いちいち溜飲が下がる真っ当な指摘だが、溜飲を下げている場合ではない。批判の矛先は、独自の候補者を立てられない市民運動や、忘れっぽい有権者にも向けられているからだ。
 冷笑的な気分に喝を入れる、警告と啓発に満ちた本だ。

□斎藤美奈子(文芸評論家)「冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本」(週刊金曜日 2017年7月28日号)
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【南雲つぐみ】バイキング料理 ~その由来~

2017年08月01日 | 医療・保健・福祉・介護
 8月1日は「バイキングの日」。帝国ホテル(東京)が1957(昭和32)年のこの日、同ホテル新館にレストラン「インペリアルバイキング」をオープンしたことが由来だ。当時の帝国ホテル社長犬丸徹三氏が新館建設のため新しいレストランを模索していたとき、デンマークのコペンハーゲンでスカンディナビアの伝統料理「スモーガスボード」の店に行き、その方式を取り入れることにしたそうだ。
 そのレストランは店員が注文をとったり配膳したりするのではなく、大きなテーブルにいくつもの料理を並べ、各自が食べたいものを自由に食べるビュッフェ方式だった。以来、日本ではビュッフェや食べ放題の方式を「バイキング」と呼ぶようになった。ネーミングは、当時話題になっていた海賊の映画から名付けたのだという。
 なお、日本にあるスモーガスボード専門店では、ニシンのマリネやノルウェーサーモンのマリネ、ザリガニの塩ゆで、スウェーデンのおふくろの味といわれるミートボールなどをビュッフェ方式で味わうことができる。

□南雲つぐみ(医学ライター)「バイキング ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年8月1日)を引用
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【政治】佐藤栄作と安倍晋三の違い ~日本の底が抜けていく~

2017年08月01日 | 社会
【政治】佐藤栄作と安倍晋三の違い ~日本の底が抜けていく~

 「文藝春秋」8月号の特集「日本の底が抜けていく」には3編の論考と1件の対談が収められる。
 ①村上誠一郎(衆議院議員)「安倍首相が自民党を劣化させた ~当選10回「ミスター自民党」が諫言する/「これでは法治国家と言えない。人心を一新するしかない」~」
 ②中西茂(教育ジャーナリスト/元・読売新聞編集委員)「古巣読売の前川報道を批判する ~あの記事は社内のルールを無視して掲載された~」
 ③森功(ノンフィクション作家)「加計学園疑惑 下村ルートの全貌 ~政界工作の実態が内部資料から見えてきた~」
 ④山崎正和(劇作家)×御厨貴(東京大学名誉教授)「佐藤栄作と安倍晋三の違い ~歴代総理に接した有識者が看破する~」

 *

 ここでは④のさわりを拾う。

<御厨/佐藤さんは、「総理大臣は斯(か)くあるべし」という姿勢が滲(にじ)み出た人でしたね。佐藤の凄みは政権終盤に現れていたと思うんです。5年を越えたあたりからにわかに後継者争いが表面化してきました。中でも、田中角栄の存在が大きな問題で、もちろん党内きっての実力者でしたから田中を利用しなければ佐藤政治は進まないけれど、利用すればするほど佐藤派が田中に簒奪(さんだつ)されてしまう。佐藤はそれを分かったうえで、ライバルの福田赳夫(たけお)と競わせながら、ギリギリのところまで田中を使い続けたんです。
 一方の安倍さんは、周りに自分を脅かすような後継者がいない。だから安倍さんのほうが総理大臣としての力量は低いと思いますね。佐藤時代にあった緊張感がいまの安倍政権にはないんですよ。>
  
 <山崎/(前略)しかし、安倍政権は安定した長期政権だと思っていたら、ここにきていろいろ波風が立ってきましたね。
 御厨/野党側の追求がまずくて問題の本質まで斬りこめていないという印象です。今回は、文科省のペーパーが本物かどうかが問題ではない。お友達のために自分の周りが忖度して何が悪いのか、という安倍さんの態度こそ問題にすべきなんです。政治家はいちばん近い人間には利益供与しないというのが基本的な倫理なのに、安倍さんは明らかに踏み越えているわけですから。
 一方、政権側に立って考えると、前川喜平という文科省の前次官を敵に回したのは、明らかに菅官房長官の限界を表しています。
山崎/明らかに焦りましたね。前川さんの告発を封じようとして評判を落としました。
御厨/会見で人格攻撃までしたのは明らかにやり過ぎだったし、安倍政権に最も近い読売新聞に“出会い系バー”のスキャンダルが出たこともマイナスでした。官邸の意向で記事が書かれたとの推測が広がって、菅さんも記事を書いた読売新聞も世論の反発を受けています。  
山崎/安倍さんは菅さんを切りますかね。
御厨/安倍政権が一強でやってこられたのは、間違いなく菅さんの力のおかげです。菅さんは情報戦にはめっぽう強い人で、霞が関人事と政権のリスクコントロールを得意としてきた。しかし4年も官房長官を続け、菅さん一人に何でも集まるシステムを作ってしまったら、彼が決裁しない限り何も動かなくなってしまった。疲れが出るのも当然です。これは官邸の制度疲労ですよ。彼を代えると官邸は崩壊しますから、その選択肢を選べないのが安倍さんの苦しいところです。>

□山崎正和(劇作家)×御厨貴(東京大学名誉教授)「佐藤栄作と安倍晋三の違い ~歴代総理に接した有識者が看破する~」(文藝春秋 2017年8月号)
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