【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。
☆印は共選作
<稲畑汀子選>
①脱ぎ捨てて海へ一直線の夏 (宇佐市)熊埜御堂義昭
③灯台の点(とも)る頃好し月見草 (横浜市)松永朔風
⑤星原に空を返して梅雨明くる(鹿児島市)青野迦葉
⑨もう誰の声も届かぬ水遊び(堺市)杉山千恵子
【評】一句目。元気な若者の夏。浜辺に来て泳ぎたい気持ちが逸(はや)り、忽(たちま)ち水着姿になって海へ駆け込むのを見ている作者。(中略)三句目。月見草の咲く頃、灯台が点る至福の時間。
<金子兜太選>
①泰山木咲くや昭和の父の影 (尾張旭市)久永満
②渾渾(こんこん)と泉湧きくる日野原忌 (秩父市)浅賀信太郎
⑤射的場の銃の軽さよ巴里祭 (東京都)小出功
⑩油蝉更に声高老夫婦 (稲沢市)柴藤瑠美子
【評】久永さん。泰山木の白く大きな花が、父への思いに厚みを加える。浅賀さん。野性味豊かで、かつ繊細であった日野原大老逝く。合掌。(中略)十句目柴藤さん。年寄りは元気が良い。
<長谷川櫂選>
②子とともに大きくなりし冷蔵庫 (さいたま市)齋藤正美
⑤銀漢や阿蘇は火の山水の山 (伊万里市)松尾肇子
⑦引揚げの着きし日もあり夜光虫 (大阪市)今井文雄
⑧老い独り寝付きの糧に一夜酒 (岐阜県八百津町)後藤みさ緒
【評】(前略)二席。子どもの成長につれ、冷蔵庫も大きくしてきた。おもしろいところに気づいた。(後略)
<大串章選>
③鎌を研ぐ鬼の形相草いきれ (藤沢市)小田島美紀子
④折り鶴の千羽の黙(もだ)や原爆忌 (広島市)谷脇篤
⑤炎昼の東京砂漠喪服着て (山梨県市川三郷町)笠井彰
【評】(前略)第三句。むっとする熱気の中で草刈鎌を研ぐ。「鬼の形相」が凄(すさ)まじい。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年8月7日)
「朝日俳壇」
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【参考】
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」
☆印は共選作
<稲畑汀子選>
①脱ぎ捨てて海へ一直線の夏 (宇佐市)熊埜御堂義昭
③灯台の点(とも)る頃好し月見草 (横浜市)松永朔風
⑤星原に空を返して梅雨明くる(鹿児島市)青野迦葉
⑨もう誰の声も届かぬ水遊び(堺市)杉山千恵子
【評】一句目。元気な若者の夏。浜辺に来て泳ぎたい気持ちが逸(はや)り、忽(たちま)ち水着姿になって海へ駆け込むのを見ている作者。(中略)三句目。月見草の咲く頃、灯台が点る至福の時間。
<金子兜太選>
①泰山木咲くや昭和の父の影 (尾張旭市)久永満
②渾渾(こんこん)と泉湧きくる日野原忌 (秩父市)浅賀信太郎
⑤射的場の銃の軽さよ巴里祭 (東京都)小出功
⑩油蝉更に声高老夫婦 (稲沢市)柴藤瑠美子
【評】久永さん。泰山木の白く大きな花が、父への思いに厚みを加える。浅賀さん。野性味豊かで、かつ繊細であった日野原大老逝く。合掌。(中略)十句目柴藤さん。年寄りは元気が良い。
<長谷川櫂選>
②子とともに大きくなりし冷蔵庫 (さいたま市)齋藤正美
⑤銀漢や阿蘇は火の山水の山 (伊万里市)松尾肇子
⑦引揚げの着きし日もあり夜光虫 (大阪市)今井文雄
⑧老い独り寝付きの糧に一夜酒 (岐阜県八百津町)後藤みさ緒
【評】(前略)二席。子どもの成長につれ、冷蔵庫も大きくしてきた。おもしろいところに気づいた。(後略)
<大串章選>
③鎌を研ぐ鬼の形相草いきれ (藤沢市)小田島美紀子
④折り鶴の千羽の黙(もだ)や原爆忌 (広島市)谷脇篤
⑤炎昼の東京砂漠喪服着て (山梨県市川三郷町)笠井彰
【評】(前略)第三句。むっとする熱気の中で草刈鎌を研ぐ。「鬼の形相」が凄(すさ)まじい。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年8月7日)
「朝日俳壇」
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【参考】
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」