語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】ファミリーマート本部のピンハネ ~裏リベート隠蔽の証拠~

2013年11月15日 | 社会
 (1)ファミリーマート本部が、加盟店に内緒でメーカー側から販売協賛金・販売割戻金・販売報奨金などのリベートを受け取っていた。噂は事実だった。

 (2)ファミリーマートでは、毎月、損益計算書と貸借対照表が出てくるが、それ以外にもいろいろな取引明細がある。
 セブン-イレブンには総勘定元帳(取引明細を記録した帳簿)と商品仕分一覧があるが、ファミリーマートには仕分一覧に近いものがあって、総勘定元帳がなく、リベートなどの実態がわからない。取引先別の仕入明細一覧表があるだけだ。その中にマイナスという項目があるが時々出ていて、返品なのかリベートなのか、わからない。リベート明細が一切載ってないからだ。 
 リベートは本部が全部吸い上げているものと推定される。
 セブン-イレブンの公正取引委員会による排除措置命令(2009年6月)後、都内のファミリーマート加盟店経営者は何度も「こんなことも優越的地位の濫用ではないか」と本部に問いただしたが、「あれはセブンさんの問題であって、ウチは一切関係ない」と本部は相手にしなかった。

 (3)半年前、九州のエリアフランチャージ(地域本部)の商品部長は、「リベートはもらっている」とハッキリ認めた。
 煙草や酒類など免許が必要な商品のリベート額は相当大きい(推定)。
 缶コーヒー、ジュース、茶など清涼飲料類も回転率が高く、かなりの金額になっている(推定)。
 リベート対象商品は、全商品の6割から7割に達する(推定)。
 こうしたリベート収入の存在は、フランチャイズ加盟契約時でもいっさい報告・説明はない。今までひた隠しにされてきた。これが、ファミリーマート本部が売上高の13%もの異常利益を上げている(2013年決算)のに、加盟店はわずか2、3%の低利益に苦しんでいる原因の一つだ。
 それが、最近になって、加盟店から裁判などで追及されて、しぶしぶ認め始めたのだ。
 こうした手口は、セブン-イレブンやローソンでも行われている可能性がある。

 (4)裏リベートの証拠となる文書が出てきた。ファミリーマート本部と大手6社メーカーとが締結した覚書だ。

 (5)ヤマザキ・ナビスコの場合、キャンペーン期間を設けた成果報酬型の「販売協賛金」だ。
 ファミリーマート本部は、キャンペーンの6ヵ月間に取引ベースで4置く7,070万円を売り上げると、売上金の1.5%(706万円)を受け取る。販売目標をクリアできなくても、売上高の1%のリベートが入ってくる。【「販売協賛金に関する覚書」、甲:(株)ファミリーマート専務取締役商品本部長/乙:ヤマザキ・ナビスコ(株)代表取締役社長】
 このリベートは、「(株)ドルチェ」という会社を経由して入ってくる。ドルチェはリベート処理会社だ。
 ドルチェは、スナック菓子販売会社(2004年設立)で、大手食品卸の日本アクセスの子会社だ。従業員70人規模で、売上高は682億円にものぼる(2011年3月期)。

 (6)ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソンとは、仕入金額の1.5%にあたる割戻金を払う契約だ。
 花王も、長期の取引を条件にして、取引額の1%の割戻金を払う契約。リベートの名目は「本部機能割引」だ。
 スナック菓子・キャンデー大手のキャドバリー・ジャパンとは、キャンペーン中、全店で20商品以上を定番販売すると750万円の割戻金を払う契約。その上、10億円以上売り上げると、仕入額の0.5%にあたる5,080万円の「達成リベート」を支払う契約。また、この間の対象品の利益率を33.5%に引き上げることを約束している。この利益率は新規取引の条件であり、覚書の第3条(商品利益率)には「加盟店オーナーへの還元を含む」とハッキリ書かれている。

 (7)リベートは、販売協賛金・販売割戻金・本部機能割引・達成リベートなどの名称で、たしかに存在した。リベート率は、本部とメーカーとの力関係によるが、仕入額の0.1~1.5%だ。
 リベートは2種類。
  (a)「売場借用型リベート」・・・・24時間フル営業店に商品を置いてもらう報酬。
  (b)「販売達成型リベート」・・・・キャンペーンの成果報酬。
 問題は、それが8,000以上の加盟店経営者にいっさい知らされず、不透明な取引であることだ。リベート額、分配基準、分配方法、決算処理などが今もってハッキリ説明されていない。
 加盟店オーナーはそれぞれ独立した経営者であって、従業員ではないのだが、不平等で説明義務違反がまかり通っている。フランチャイズ契約は、本部と加盟店の信頼関係が大前提なのに。

 (8)2008年7月、最高裁判所は「コンビニ本部は加盟店経営者に対して仕入商品代金の支払い内容などを報告する義務がある」と断じた。2009年3月、仙台高等裁判所は「リベートは仕入れ先から売買契約者である加盟店経営者に支払われるものである」との判断を示した。
 だが、ファミリーマート本部は、リベート情報・原価情報をいっさい公表しない。
 複数のオーナーの証言をもとにファミリーマートが受け取ったリベートや不明朗な原価収入(仕入れ原価契約書も未公開)を推計すると、ファミリーマートの2013年2月期のチェーン全店売上高が1兆5,846億円だったことから、数十億円を下らない。

□渡部仁(経済ジャーナリスト)「ファミリーマートの裏リベートの証拠が発覚」(「週刊金曜日」2013年11月8日号)
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