水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・520」

2015-03-22 19:49:44 | Weblog



カルテ番号 へ・1(19)

今のままでも充分だ。
だが・・・しかし・・・
何かがモヤモヤしている。
自分でも判らないモヤモヤだ。
他人に説明するにも、曖昧すぎる。
こんな状態で行って、何が変わるのだろうか?

そんなある日、家政婦が遠慮深い態度で言った。
「旦那様、最近元気がないようですが、身体の具合でも悪いのですか?」
「いや、変なところはないよ。心配かけてすまない」
寡黙で余計な口は出さない家政婦だが、1年間閉じこもっていた様子を知っている。
それなりに心配をかけてしまったようだ。
これではいけない。

そこで思い出した。
会社を経営している頃。
より良くするには、現場で働く最下層に話を聞く事。
正規社員ではなく、非正規社員からだ。
派遣社員、パート、アルバイトの人達だ。
下からの視点は鋭く、本質を突く事が多々ある。

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(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・519」

2015-03-21 19:49:42 | Weblog



カルテ番号 へ・1(18)

辺見豊は自問していた。
何故、この樋口という人に近づきたかったのか?
確かにモヤモヤした心がある。
だが、迷いや悩みというほどではないと思っている。
まして、この1年は活動的になり、それなりに満足している。
だが、この樋口という人に出会って、その軽やかさに魅かれた。
それは、自分も軽くなりたかったから・・・

「樋口さん、私にもその治療院を教えて下さい」
「もちろんです。
ですが、辺見さんの助けになるかどうかはわかりません。
辺見さんが何を求めているのかも、私にはわかりませんから。
それでも一度体験して、御自分の感覚で判断して下さい」

そして樋口は治療院の連絡先と場所を教えた。
「今日は、ありがとうございました。
樋口さんと出会えて、よかったです。
今後も、ぜひ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そして、二人は別れ、帰路についた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・518」

2015-03-20 19:25:28 | Weblog



カルテ番号 へ・1(17)

樋口は辺見豊に向き直った。
「私の体験は私だけの事。
誰にでも当てはまるわけではありません。
それを承知で、私の気づいた事を話しておきます。
今の私になって、気づいた事です」

「お願いします」
「迷いや悩み、その他のネガティブな心があります。
あるキッカケで、自分の内の何かが晴れた、とします。
あるいは、何かが軽くなったとします。
それでは、迷いや悩みは解決していないのです。
ですが、それらは小さく、薄くはなるのです」

樋口は照れたような表情をした。
「どうも、こういう話はエラソウで恥ずかしいです。
私のガラじゃない。
でも、話しておきますね。
何故小さく、薄くなるのか。
それは、元々小さく、薄いものだったからです。
自分で本当の姿以上に大きく想像してしまっていたのです。
悩み、迷いは、多分思っているよりも小さいものです。
自分が変わると、その事に気づくわけです。
解決するわけではありません。
でも、それで充分なのですね」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・517」

2015-03-19 19:06:40 | Weblog



カルテ番号 へ・1(16)

ここで樋口は思い出したように微笑んだ。
「その院長はこう答えました。
正解を求めるのなら無駄でしょう。
でも、迷いから一歩踏み出す事なら手伝えるでしょう。
そういうことか、と私は気づきました。
正しい道を教わる事が、迷いから抜け出る方法と思い込んでいたのです。
だから、迷いから動けない」

辺見豊には樋口の気づきがピンとこなかった。
どこが、まいった、のか判らない。
「私には、その話がよく解らないのですが・・・」
樋口は頷いた。
「そうでしょうね。
それぞれのポイントがあるようです。
私には、その言葉が、私だけに響いていたのです。
ちょうどいいタイミングだったのでしょうね」

そして続けた。
「おそらく・・・ですが・・・
あの院長は、その人だけに響くタイミングで話したのでしょう。
私にそこを紹介してくれた女性も、その人だけに響く言葉だったのだと思います。
迷い、悩み、それらが解決するかどうかはわかりません。
でも、自分の何かが変わると、迷いも悩みも変化します。
そして、自分が軽くなるようです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・516」

2015-03-18 19:34:12 | Weblog



カルテ番号 へ・1(15)

樋口は静かな男なのだろう。
話すのは得意ではないのだろう。
だが、話し方はとても上手いと思える。
声に力みがなく、ゆっくりだから、より聞き入ってしまう。
辺見豊も一口お茶を飲んで、聞き漏らすまいと耳を傾けた。

「ある治療院の話でした。
身体と心の迷いを回復する治療院。
私は肉体の健康には自信がありました。
でも、そこは悩み相談のような事もしてくれると。
それで、早速行ってみました。
正直、最初の数分でまいりました」

辺見豊は口をはさんだ。
「まいりました、とは、どういう意味ですか?」
「何しに来たのか、と訊かれました。
そして、迷いがある、と答えました。
すると、迷いと生きるはセットだと・・・
では、迷いの相談をしても無駄ですか?と尋ねました」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・515」

2015-03-17 19:20:13 | Weblog



カルテ番号 へ・1(14)

辺見豊はそれを聞いて、自分を考えた。
自分は社会的には成功者なのだろう。
会社を起こし、順調に業績を伸ばした。
子供は出来なかったが、社員を育てたと自負している。
引退しても暮らしていけるだけの財産もある。
それなのに、何も無いという樋口が成功者に思える。

樋口は山男の目をして話を続けた。
「どうして私は山に入り込んでしまうのだろう?
その疑問がいつもありました。
でも答えはありません。
このまま、流れるように人生を終わりにしてもいい。
そう思っていました。
ところが、ある現象を見た瞬間から、生きる、という事を意識しました。
これからの人生を強く意識してしまいました」

辺見豊はじっと聞き入っていた。
「ちょうどタイミングよく、そう、ここの施設でした。
隣り合わせになった、ある女性から、生き方が変わった話を聞いたのです。
私が、辺見さんに話しているのは、私も同じようにしていたからです。
不思議ですね。
今度は私が人に話す立場になるとは・・・」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・514」

2015-03-16 18:43:20 | Weblog



カルテ番号 へ・1(13)

樋口は言った。
「いいですが、私の体験は私の場合だからだと思います。
人が変わるのは幾つもの種類があると思います。
瞬間的に変わる事も、少しずつ変わる場合もあるでしょう。
一つの言葉、一つの体験で変わる事もあるでしょう。
ある場所、ある人、ある方法で変わる事もあるでしょう。
ですから、辺見さんの参考になるかどうかはわかりません」

辺見豊は、樋口の言葉が深く、広く、やわらかだと気づいた。
この人は、とてもただの山好きだけとは思えない。
自分を客観的に観ている。
そして、他人も客観的に観ている。
通常は、自分も他人も主観的にしか観ていないものだ。
言葉を交わして僅かの時間なのに、辺見はこの樋口という人を尊敬した。

樋口は食後のお茶を飲みながら、ゆっくりと話し始めた。
「私は迷っていたのです。
この歳になるまで、ずっと山を追いかけていました。
結婚もしていませんから、子供もいません。
財産や何かを成し遂げた成果や足跡もありません。
いわば、社会的には、落ちこぼれという部類ですね」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・513」

2015-03-15 19:13:36 | Weblog



カルテ番号 へ・1(12)

「それにしても樋口さん、とても楽そうに見えますよ。
私など、まだまだ背負っているものが多くて・・・」
樋口は何故か楽しそうに答えた。
「最近になってです。
毎日が楽に思えるようになったのは」

とてもそうは見えない。
もう何十年も前から楽に生きるコツを知っていると思っていた。
「そうなのですか?
何か、楽になるキッカケとかあったのですか?」
「ありましたよ。最近です」

この歳になってから、そう簡単に変われるとは思えない。
少しずつ、自分を変えていったのではないのか。
毎日のように山に登り、身体と心を変えたのではないのか。
そして、例えば悟りのような境地になったのではないのか?
「それは、どのような事だったのですか?
もし、よかったら教えて下さい」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・512」

2015-03-14 19:11:03 | Weblog



カルテ番号 へ・1(11)

「樋口さん、私は山に関しては素人です。
もしよろしかったら、今後、何かと相談に乗っていただけたらありがたいのですが」
樋口はあっさりと言った。
「私でよければ、いつでもどうぞ。
これが私の電話番号です」
そして肩書きのない、名前と電話番号だけの名刺をくれた。

辺見豊も反射的に名刺を出そうとして、
「そうでした。
もう私は名刺を持っていなかったのでした。
まだ過去の習性が残っていたのですねぇ」
と言って、手帳を丁寧に破って、自分の電話番号と名前を書いて渡した。

一緒に食事をしながら、話がはずんだ。
2年前の退職以来、こんなに楽に話をした相手はいなかった。
辺見豊にとって、今まで出会ったことのないタイプの人だった。
その理由の一つが、社会的な立場に関係しない相手だったからだ。
というより、お互い、社会的な立場が無いに等しいからのような気がした。
樋口は、辺見豊よりも5つ若い65歳とのことだった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・511」

2015-03-13 19:08:59 | Weblog



カルテ番号 へ・1(10)

自然体、とでもいうのだろうか。
この登山者には力みがない。
知り合いになりたい。
辺見豊は過去の立場上、多くの知り合いがいる。
社会的地位の高い人が多い。
その人達は、それなりに魅力も能力もある。
だが、その魅力も能力も社会的、という世界の中で発揮されている。

一線を退いてから気付いた事がある。
社会的というのは人の集まりの世界だ。
一人山に登るような世界とは別な世界だ。
社会的でなければ、通用しない能力だった。
そして肩書きがない世界での能力は、人と比べたりしないものだった。

だから、思った。
この樋口という人と知り合いになりたい。
社会的利害関係の無い、純粋な魅力がある。
多分、今の自分の指標となる何かを持っている。
直観的にそう思った。
自分にとって、必要な相手。

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