今朝の空を見上げると、青く澄んだ空に綿を浮かべた様な白い雲が、ふわりふわりと浮かび、風もな
くとても穏やかで美しい空だ。
青空にかかった薄い雲間から、降り注いでくるお陽様の光が、眩しくて暖かくとても美しい。
福島県出身の詩人、随筆家、童話作家の長田弘さんの詩に
「世界はうつくしいと」
うつくしいものの話しをしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そしてわたしたちはの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
風の匂いはうつくしいと。渓谷の
石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光はうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの、曇りの日の、
南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
さらりと老いてゆく人の姿はうつくしいと。
一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何一つ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。
と言う一編がある。
この詩の中の「うつくしいものをうつくしいと言おう。」という一節。
確かに我々は、この言葉を口にすることが少なくなってきている。
この世界の真の美しさは、文章では到底表し切れない、だからこそせめて日々の感動と、敬意を言霊
で表そう、そんな何気ない一言で、人生が、より一層楽しく素晴らしいものになるのではないだろうか。
~貴方にとって、今日も良い一日であります様に~
ルビーの指輪:寺尾聡