窓の外の白梅の花が、一輪また一輪とほころび始めて来ましたが、春まだ浅いこの季節、薄陽の射す日もあ
れば、一転、雪のちらつく日が続いています。
しかしもう二月も半ばを過ぎ、庭の片隅を眺めてみると、雪の下でジーッと冬の寒さを耐え忍んできた、クリスマ
スローズの花芽が、10㎝程も立ち上がり少し膨らみ掛けてきている様です。
こんな何気ない小庭の表情一つにも、春の息吹が感じられる様になって来ました。
いつもの散歩をしていると、公園の紅梅の花は、ちょっと前から満開を迎え、殺風景な冬の景色に、鮮やかな
彩りを添えています。
気付けば紅梅が咲き、白梅が咲き、そして桃の花、桜花と、季節は何事もなかった様に巡って来ます。
耐雪梅花麗 西郷南洲(隆盛)
~原文~
一貫唯々諾従来鉄石肝貧
居生傑士勲業顕多難
耐雪梅花麗経霜楓葉丹
如能識天意豈敢自謀安
南洲
~訓読~
一貫 唯々として諾す。
従来 鉄石の肝。
貧居は傑士を生じ、
勲業は多難に顕る。
雪に耐へて梅花 麗しく、
霜を経て楓葉丹し。
如し能く天意を識らば、
豈敢へて自ら安きを謀らんや。
~現代語訳~
一度よろしいと承知したならば、それを最後まで貫き通すべきであり、
それは元来鉄石のような堅い心によるものである。
人並みすぐれた人物は、家が貧しく、あらゆる困苦に打ち克ってのちに生まれてくる。
また、いろいろな勲功ある事業も多くの艱難の中から現れる。
梅の花は、厳寒の雪に耐えてこそ、あの美しい花を咲かせ、あの香りを発する。
また、楓(かえで)の葉は、霜を凌いでのち、見事な紅葉となるのである。
君がもし、この天の心を知りえたならば、
どうして自ら安逸をむさぼっていられようか。
この漢詩は、広島カープ(元ヤンキース)の黒田投手が、座右の銘としてチーム・ミィーテングで座右の銘として
紹介したと伝わっており、ご存知の方もあるかと思いますが、西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節「耐雪梅花麗」で
す。
梅の花は、寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲く。
何事も”苦しまずして栄光はない”と言うことでしょうか。
当時のヤンキース主将・ジーターも感動し、「彼の詩は、われわれに直接あてはめられるもの。良い時も悪い
時も、常に変わらず汗を流し続けることが大切だし、頑張れば必ずその報いがある」とコメントしたと言われて
います。
~貴方にとって、今日も良い一日であり真っす様に~
長崎は今日も雨だった:サム・ティラー
引き潮:サム・ティラー