以前のスケッチを参考に、当時の情景を思い出しながら、水彩で描いみました。
私が大根島(松江市)のこの廃船に、興味を持ち始めたのは1976年の春だった
と思います。
休日に、「大根島に牡丹を撮りに行って見よう」と、思い立って向かうと、島の
入り口付近の入江に、5~6隻の打ち捨てられた廃船がありました。
大根島では、お勤めを終えた船を入江の要所に投錨し、防波堤代りにしてい
たといいます。
当時は、まだ「廃船や廃墟」への関心も低かったのですが、私は被写体として非常
に魅力を感じて、ぼたんの撮影はそっち除けで、夢中でシャッターを切っていました。
その後、この船は、年月を掛けて浸水、腐食して、廃れゆくもの特有の郷愁をか
きたてる情景が、小説、ドラマの舞台、あるいは多くの画家やカメラマンの被写体と
しても、最後の最後、船が朽ち果てるまで生かされてきました。
残念ながら、2010年には、ついにその姿を消すことになったのです。
この廃船が、多くの人に愛されたのは、壊れ、そして廃れゆくものの~優しさ、哀れ
悲しみ、愛しさ、懐かしさ~ と言った、人間の穏やかな部分の、琴線に触れる、共通
の何かを持っているからでしょう。
~今日も良い一日を~
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