タイで世話になったと言うので「旅費ば出してやる」と言ってくれた奇特な友人に甘え、土日を利用して、帰国後初めて佐賀を訪れました。4年ぶりであります。PTAの会合だ塾だ遠足だと、女房と娘2人は土日出ずっぱり。あぶれた息子を連れて、父子2人旅であります。
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何で行ったかというと体育会のOB会の催しというか密談に参加する為でして、ちょっくら現役学生の練習をのぞいた後
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佐賀の人々が「ガタ」と呼ぶ有明海の干潟を見物してまいりました。
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干潟沿いには遊歩道が整備され
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シチメンソウという塩生植物が自生しています。秋になると紅葉するそうです。
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そしてこの雄大な有明海湾奥部には
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ムツゴロウが生息しております。トビハゼかとも思いましたが、体に青い斑点が確認できましたのでムツゴロウに間違いない。
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かすかに長崎県の雲仙岳が見える。
1997年に佐賀、福岡、熊本県と、一部長崎県の漁民の反対を押し切り、時の自民党政権と長崎県によって、諫早湾奥部の潮受け堤防が締め切られ、99年には潮受け堤防が完成、2007年の堤防道路完成をもって諫早湾の干潟は消滅してしまいました。その後有明海での漁業不振がクローズアップされてきたのは知られている通りです。
2002年には、地元長崎大と沿岸の佐賀大、九州大、熊本県立大に阪大、東大等を加えたプロジェクトチームが漁業不振の一因は諫早湾干拓事業にありと断定、事業の即刻中止を答申しております。
そして今、政権が自民党から民主党に変わり、潮受け堤防の門を開放して有明海の異変の原因を究明すべきだと言う意見がにわかに出てまいりました。
これを受け、長崎県では干拓事業に関心の薄い諫早湾周辺域以外の県内数箇所で県民に開門反対の趣旨説明会を開催するとの報道がありました。会場での質疑応答は一切受け付けないのだそうです。
開門の是非を問うのではなく、最初から開門反対の立場で一方的に説明をする。何か変だ。
この国営諫早湾干拓事業は農地造成、農業用水確保とともに、洪水防止といった防災の目的も兼ね備えているとの事。地域住民の生命、財産に関わる重要な事案である事は論を待たない。しかしこの命題を解決する方法は干拓しかないのか。
何か他の方法があるような気がしてならない。
いま長崎県がすべき事は、開門反対派、賛成派双方が納得のいくような調整ではないのか。長崎県知事以下、行政にはその責任があるのではないか。民主党政権もまたしかり。
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そのような事を考えていると、ムツゴロウの姿がどこか寂しげに見えてきました。
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ちなみに佐賀県のこの田んぼも干拓で作られたものです。
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干潟堤防より佐賀の名山、天山(1,046m)を望む。
密談の時間まで少しあるので息子を連れて夕食に出かける。もちろん夕餉の膳に登ったのは
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ムツゴロウの蒲焼きです。頭からかぶりつき、骨まで食えます。
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息子をホテルで寝かせつけ、無事密談を終えた後、やはり佐賀に来たからにはラーメンを食せねば
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奇特な友人、福岡県古賀市出身、長崎市在住、佐賀大合気道部OB会長崎支部長のTKであります。いつもの如く酩酊状態であります。
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熟睡
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「おい、ラーメンの来とっぞ」と言うと、むっくり起きて、ずるずると食い始めました。面白いなあ。