昨日(2日)、福岡市内の介護老人施設でクラスター(集団感染)が発生した。福岡市内では初めてのことで、同施設ではこれまで9人の感染者が確認されている。前日(1日)には、北九州市の新小文字病院でもクラスターが発生しており、福岡県内での感染拡大の勢いが止まらない状況で、感染者数はついに100人に達した。専門家からは(福岡県が)『感染拡大警戒地域』にあたるという指摘も出ており、来週、県は専門家から意見を聞くという。なんと悠長なことか。
クラスター発生を受けて、昨日、高島市長は記者会見を行った。そこで、ようやく平日も不要不急の外出を自粛するよう呼びかけた。ただし、可能な限りとしている。というのも、福岡市は、体育館や博多座のように人が密集する、いわゆる3密といわれる施設以外の公共施設(美術館や博物館など)は通常通り営業しているので、強くは言えないのだろう。しかし、感染経路の不明な人が半数を超え、無症状の人も多いとされる中、このまま開放していて大丈夫なのだろうか。福岡県の施設は閉館しており、全く統制されていない状態である。ここはきちんと専門家から意見を聞いて対処してほしい。何はともあれ、自粛を週末だけに限っていたことからすれば、一歩前進だろう。
福岡県の感染動向(感染者数)を見ると、初めて感染者が確認された2月20日から3月30日までは29人だったのに対し、3月31日から4月2日までの3日間で71人(31日17人、1日32人、2日22人)と爆発的に増えている。こうなると心配になるのが、患者の受け皿となる医療機関である。福岡県内では、新型コロナウイルス感染者のための感染症指定医療機関が12ヵ所しかなく、病床数は66床のみ。現状をみると、100人中退院された方は5人、入院中の方は95人となっていて、すでにパンク状態となっている。何しろ、県が、患者が急増した場合の受け入れ先の協議をはじめたのは、先月末のこと。間に合うはずもない。危機感のなさに驚く。
ところで、先程、厚労省は、新型コロナウイルスが感染拡大する中、重症の患者を優先して治療する必要があるとして、軽症や無症状の人に宿泊施設や自宅で療養してもらうためのガイドラインを示した。高齢者と同居しているなど、自宅での療養が難しい感染者には、ホテルを借り上げて対応する。費用については、国と自治体で負担するという。これは神戸大岩田教授も提言されていたことだが、前提として、国民の感染症対応レベルを上げる必要がある。さもなくば、逆に感染が広がり大変なことになる。今の政府でどこまで的確に国民に周知できるのか。先が恐ろしくなるが、とにかく、今はこれ以上、感染者を増やさないようにするしかない。
2日、クラスター発生について、記者会見をする高島市長 やっとマスク姿に(写真:西日本新聞記事より)
※クラスタ―とは:感染経路が追えている数人から数十人規模の患者集団(厚労省より)
ついに100人、伸び方が恐ろしい、、
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・福岡の感染者が計100人に、経路不明は42人 老健施設ではクラスターか(西日本新聞 2020.4.3)
・福岡で新たに22人感染 介護施設でクラスターか(共同通信 2020.4.2)
・感染拡大警戒地域”との指摘も(NHK福岡ニュース2020.4.3)
・重症患者の入院先 事前に決定へ(NHK福岡ニュース 2020.3.30)
・コロナ軽症者ら宿泊施設や自宅療養のガイドライン 厚生労働省(NHKニュース 2020.4.3)
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