今月6日の「枯葉剤シンポジウム」で配布された資料、『美しい国のAgent Orange』。これはフリーライター宗像充氏によるレポートで、枯葉剤問題の根本から最新の現地情報まで詳しく書かれている。調べてみると、アウトドア雑誌『Fieder』最新号に掲載されていた。これには少し驚いたが、確かに”サバイバル”には違いない。さて、若いサバイバーは、このレポートをどのように捉えているのだろうか。
全国には54ヵ所の枯葉剤埋設地(うち8ヵ所は撤去済み)があるが、宗像氏はそのうち18ヵ所の埋設地を訪問されている。記事を読むと、埋設地の多くが水源地や景勝地、住宅地の上流(岩手県雫石町、熊本県宇土市、佐賀県吉野ヶ里町、屋久島町)、食品工場のすぐ脇(高知県土佐清水市)、子供が入れる公園の中(屋久島町)、防衛省に所管替りして林野庁が点検をしていない所(宮崎県えびの市)、新設された道路の下になって確認できない所(高知県大豊町)と書かれている。信じがたい状況だが、これが現実なのである。
こうしたことから、埋設地の自治体の中には、市民や議員が動いているところもある。高知県土佐清水市では、かつての営林署跡地にできた食品工場のすぐ脇の竹林内で、住民がタケノコ堀の最中に発見したとある。ここでは、2015年に県議会で取り上げられ、専門委員会まで設置されているが、状況は変わっていない。鹿児島県湧水町では、旧吉松町の川添地区から栗野岳方面に延びる林道近くに看板が立っているとある。ご存じのように、湧水町は日本名水100選の丸池湧水がある。埋設地はその上流域にあり、町議会で度々取り上げられている。そして、脊振山埋設地(吉野ヶ里町)。福岡市民の水源地、五ヶ山ダムのすぐそばに埋設されていることから、昨年、共産党の田村衆議院議員や高瀬福岡県議が、国会や県議会でこの問題を取り上げ、245T剤の撤去や無害化処理を求めている。(福岡市議会は動きなし)
今回、宗像氏のレポートを読んで、改めて、問題解決のためには市民の力が必要だと感じた。土佐清水市では「大岐の自然を育てる会」、鹿児島県湧水町では「 吉松自然を考える会」、国内最大の埋設量(3940kg)となっている岩手県雫石町では「御所湖の源流を守る会」と、それぞれの埋設地で市民が声を上げている。しかし、福岡市では市民の声を聞かない。五ヶ山ダムの水を使用している市民の一人として、微力ながら声を上げているのだが、なかなか広がらない。やはり、会を立ち上げるしかないのか、、
「ベトナム戦争で巻かれた枯葉剤の行方を追う日本一危険な森林ツアー」強烈な見出しだが頷ける(写真は脊振山埋設地)
全国54ヵ所の埋設地総量は固形状約2万5千kg、液体状約1830ℓ。うち8ヵ所は埋設地が民有地などの理由で撤去済み、現在46ヵ所
枯葉剤埋設地の今
『Filder.46 最新号』に掲載されていた
《参考資料》
ニュースにならないと、どんな大切な情報でも知らないのが恐ろしいです。記事にして下さりありがとう。
お役に立てて何よりです。
埋設地が水源地に近いこともあり、とても身近な問題なのですが、これがなかなか報道されません。寝た子を起こすなということのようです。また、清水建設がベトナムの枯葉剤によるダイオキシン汚染土壌の無害化処理(土壌洗浄)に成功しており、現在、ベトナムで浄化事業が実施されているようです。