息子の引越しを終えた。
相変わらずのんびり屋(モノグサ)の息子は、結局当日の朝、引越屋さんが来てからバタバタやっている。
だから言ったろう!引越屋さんなんて30分は早く来るんだから。旅行もあったんだから、その前に全部やれって言ってたのに!!
そういうところがオレに似ているから、自分を見ているようでイライラするんだよ。
まぁ、ダンボール箱8~9つと布団袋にベッドと本棚ぐらいなもの。大して時間もかからず積み込みが終了した。
石和には2~3時に到着する予定ということだったので、我々も30分遅れで出発した。
今回も仙台の母が手伝いに来た。腰の調子が良ければ石和まで一緒に行こうかと言っていたが、最初から行くつもりだったのだろう。
「おばあちゃんもYクンの新居を見たいしね」
良いよ良いよ、おばあちゃんも一緒に行こう。そのほうが僕も助かるし。
前日の春の嵐が嘘のように穏やかに晴れ渡っている。
三連休の最終日ということもあり、都内も中央道も相当に混んでいる。こりゃ、結構時間がかかるなぁ。
山梨に入ると周りの山並みが間近に迫って来る感じだ。やっぱり山が多いね。
息子「山ばっかし、田舎だなぁ!」
母「それは仕方がないよ。山国だものね」
石和には3時間近くかかって到着した。引越し業者のトラックは少し前に着いたという。てっきり追い越したと思ったのに!?
今日は上天気。少し春霞がかかっているものの、この前の雨雲が垂れ込めた景色とは違って、まさしく甲府盆地を取り囲む山々が目の前に迫る。
手前の山の背後には冠雪の南アルプス?がくっきり見て取れた。
アパートの南側を望むと、遠くの山並みの更に奥に富士山の山頂部分が浮かび上がる。
おぉ~、富士山が大きく見えるよ。さすが山梨だ!
母はこの光景が気に入ったようだ。
母「Yクン、いいところに住めるじゃない。うらやましいなぁ」
息子「人は少ないし、駅は小さいし、田舎だよ!ホントに田舎!」(山梨の方、スミマセン!)
息子はやはり不満と不安が消えないようだ。
考えてみれば、僕が学生で上京したときは、地方から大都会の東京で一人暮らしをするという、ある種の高揚感があった。
でも、息子は反対だものね。そこはやっぱり気落ちするところはあるのだろう。
それも仕方がないさ。長い人生、これからいろいろあるよ。
電気製品は配送の都合で翌日になってしまう。
それ以外の組立て家具や、生活用の小物、カーペットなどは届いたので、3人で部屋を整え、それなりに生活の格好がついてきた。
母「Yクン、良い部屋じゃないの。お父さんなんて四畳半一間でトイレも共同、お風呂もなかったんだから」
まぁ、それを言っても仕方がないね。僕らの世代は「神田川」に憧れて上京したのだから、四畳半も苦ではなかったよ。
夕飯は、近所のお食事処でほうとうを食べた。
ウン、美味しいね。ビールが呑めないのが残念。
さぁもう帰らないと。お父さんは明日仕事。おばあちゃんだって疲れてしまうから。
結局10時過ぎに息子の新居を出た。息子は「今日はありがとうございました」なんて、結構殊勝。ちょっと僕らと別れ難いようだ。
そうやって成長していくんだよ。一人暮らし、頑張るんだぞ!
帰りの中央道は大渋滞。結局家に着いたのは1時近かった。母も随分疲れたことだろう。本当に有難いことだ。
いつも書いているように、僕は50も半ばになりつつも、まだ母親の世話になっている。
でもウチの息子たちは、いざという時に頼る母親が存在しない。
長男も、母親のいない実家にどれだけ帰ってくるのだろうか。
オヤジは酒でも用意して待っているので、たまには帰って来いよ。飯だって作るよ!
僕の胸の小さな空洞は、やっぱり少し大きくなった。でも仙台の母と一緒にいると、ちょっとは窄まる。
親子なんて、家族なんて、そんなものさ。いや、とても有難いものさ。
春嵐 去って子の発つ朝来たり
子の新居 出でて見上げる朧月
*画像は、手前の山の背後に堂々とそびえる富士山の山頂…なんだけど、分かるかな…。