遅くに帰宅すると、玄関のドアの前にアカガエルが居る。
ひどくしばれる夜だったので、通常はかえるの中でもとりわけすばしっこい、
忍者のような赤蛙も、素直に僕の手の中につつまれた。
カエルは変温動物で、周りの温度と体温が一致してしまうから、
寒いと体も氷のごとくなり、冬眠していないと死につながる。
12月を過ぎているのにまだ土にもぐっていないのは、きっと
食いしん坊で、ぎりぎりまで食いだめしたかったのだろうか。
なぜなら、その蛙の腹はでっぷりと膨らんでいた。
ただ、胃に餌が入ったまま眠ると消化不良を起こすから、
ちょっと胃腸が落ち着いてから冬眠に入ると思われる。
手のひらの中で多少体温を取り戻し、跳ねるようになったが、
保護して水槽の中で飼ったり冬眠させるというのもなんなので、
掃き集めた落ち葉が積み重ねてある一角の、
葉の中に入れておいた。とりあえず吹きさらしよりは
寒くないし、掘り進んで眠ってもよい。
蛙は僕がかえってくるのを分かってたのだろうか。
以前も、引っ越し前日に、放し飼いでどこにいるか分からない
アマガエルが、2匹立てつづけに目の前に落ちてきたお蔭で、
一緒に新居に連れていけたという不思議な体験があった。
庭のどこかに、
アマガエル、ひきがえる、赤蛙がいる。
寒くても温かい、地球の大地にもぐって
春まで夢をみる。
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