様々な情報があふれ返り、息するように
それらを浴びつづけていれば、かえって判断力や直観の
おとろえかねない情報中毒の状態に陥る。
そうなると、より繰り返される情報に支配洗脳され、
全体主義という暴力が立ち現れる。
今必要なのは、ぽつねんとひとり、しずけさに
世界を見つめなおす時間を守るための、情報遮断なのかもしれない。
正しい/間違いの以前に、何でも意見や思いを
酌み交わせる、健全な言論の自由さえ
脅かされる空氣は危険。
正義や正当化の旗印の下では、どんな暴力や
残酷も、無意識に日常化される。
現在のウイルスによる自粛もまた、
メディアやSNSによる多数派見解に倣うことで、
裏では困難にもがきながらも、誤解や批難炎上をおそれて
声を発せられない個々の悲痛な叫びが
渦巻いているだろう。
直接コミュニケーションをとれば、
実に多様な意見があった。
感情的なもの、不安から来るもの、
八つ当たり、現実的な苦境、不満、
なかなか表だって書き込めないことへのストレスも
あるだろうけど、まずは自分自身で
向き合ってみれば、
不安定なときほど、本質が見えてくる。
(Aさん)「コロちゃんなぞ全く心配していないどころか、
世の中の腐ったシステムを変える、またとないチャンスを
天が贈与した。
困った人は一人で食い縛らずに、暴動を起こせ、
反旗を翻せ、この息苦しい、馬鹿馬鹿しさに満ちた
世界を作り直すために、負けないで図太く居直ろう」
(Bさん)「身勝手な奴のお蔭で、心身の弱い人から犠牲になるのざぞ、
あんたの暮らしぶりは知ったことじゃないから、
とにかく家から出んじゃねェ、知らずにおまいさん
撒き散らしとるかもわからんやろが」
(Cさん)「感染したって平氣な人のが多い。
それで重くなって死んでしまうのは
既に弱っていた人たちであり、
それはあらゆる病氣がそうなっている。
今回の単なる風邪の一種だけに全不安を乗せ、
足並み揃えて一丸に戦おうとしないのは非国民とする風潮は、
ウイルスよりも多くの犠牲者を生みかねない
歴史の汚点となるだろう」
(Dさん)「一応はポーズとして、マスクでもかぶっておこう。
使い回しでひと月洗っていなくても、
つけときゃ白い目で見られないから、
世話ねェ。
それにしたって、飲食店は客が消えて
そちらこそ安全保障をおびやかす、真の問題として起きている。
コロナと名付けられた取り越し苦労によって、
本当に命を脅かすような問題が人災として生み出されている」
以上の例のように、それぞれ個人のリアルや見解や生き方、
視点が星の数ほどありながら、異論は正義の名の下に
攻撃あるいは封殺される。
不安に飲まれ、一致見解を唯一の大義とする群集心理は、
声なき弱者、掬いあげられない
レアケースやマイノリティの生命を奪いかねない。
多数決という暴力を自覚し、結論がすでにある
ポジショントークではなく、
極端な意見であれ、その中に潜む真実や本音に、
最後までじっくりと耳を傾ける姿勢こそが
今最も必要かつ不足していて、
まずは自分自身の内なる(体の)声、
ちいさなささやきと、一人ひとりが向き合うところから、
世の中の安定がはじまる。
他人に意見する前に、自分の中にある
複数の矛盾を、そのまま受け入れて、
多様な視点と共鳴するスケールを広げてゆきたい。
| Trackback ( 0 )
|