漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。
『新しい漢字学習法 漢字音符字典 増補改訂版』は本日(7月30日)完売しました。申し訳ありませんが、申し込みを中止させていただきます。ご了承ください。
現在、『新しい漢字学習法 漢字音符字典 増補改訂版』東京堂出版が、品切れだそうです。著者の山本康喬氏から「もし欲しい方がいれば手元にある本をお頒けします」と、4冊を融通していただきました。入手希望の方は、私の石沢書店のHPで購入を受け付けていますので、お申込みください。定価は書店の販売価格と同じです。
漢字を勉強する人、漢検合格を目ざす人が漢字を学べるよう、音符による学習法を解説。
本文2色刷、新常用漢字表、漢検級数に対応。
著者 山本康喬氏
発行 東京堂出版
判型・ページ数 B6判版・320ページ
発行年 2012年10月 発行
定 価 2200円+税 (2376円)
お申込み方法 下記の石沢書店のHPからお申込みください。
完売しましたので、申し込みを停止させていただきます。
𦝠[𣎆] ラ・(エイ) 月部にく
解字 動物の象形。[説文解字]は獣の名とし、その他にも蠃ラ(螺ラ・にし)の初文で巻貝とする説もあるが、甲骨文では細長い胴体が表現されており、また頭部に虍(トラ)のような形を用いたものや多足の象形などがあり、字源はムカデのような「噛みつく節足動物」と思われる[甲骨文字辞典]。金文は中央の頭の下方に月(にく)が付加された形をへて、篆文で上部が亡+口、下が月+丮となり、現代字(楷書)の𦝠になっているが、卂の部分が丮や凡になっている字も同字である。
[甲骨文字辞典]は、意味が災厄であることから「噛みつく節足動物」としているが、私は中国ネットに出ていた「神獣」説を取りたい。理由は、この字と女を組み合わせた嬴エイが姓となっており、神獣を後ろ盾にした姓と考えられるからである。
意味 (1)(甲骨文字で)災厄。主に神や祖先の祟りとして用いられる。また、地名。祭祀名。 (2)(説文解字で)浅毛の獣。虎・豹・象の類。 (3)(騾ラに通じ)らば。うさぎうま。
イメージ
「神獣」(𦝠・嬴・瀛・贏)
「同音代替」(蠃・臝・羸)
音の変化 ラ:𦝠・蠃・臝 ルイ:羸 エイ:嬴・瀛・贏
神獣
嬴 エイ 女部
解字 「女(おんな)+𦝠ラ(神獣)」の会意。𦝠ラは神獣と考えられ、これに女をつけた嬴エイは神獣を後ろ盾とした女の意。母系制社会の時代に作られた姓のひとつ。姓セイは、「女+生(うまれる)」で、女から生まれる子へとつながる血筋を表す。古代の母系制の名残を残す字。中国古代の母系制社会の姓は、女偏がつく姜キョウ、姬(姫)キ、姚チョウ、などがあり、嬴エイはそのひとつ。秦の王室の姓でもある。また、盈エイ(みちる)に通じて、みちる意がある。
意味 (1)姓のひとつ。秦の王室は嬴エイ姓を名乗った。「嬴政エイセイ」(秦の始皇帝の本名。姓が嬴で実名(諱いみな)が政。 (2)[盈エイ(みちる)に通じて]みちる。のびる。「嬴縮エイシュク」(のびちぢみ)「嬴土エイド」(肥沃の地)
瀛 エイ・うみ 氵部
解字 「氵(みず)+嬴エイ(意味②の、みちる)」の会意形声。嬴エイは盈エイ(みちる)に通じ、水が満ちる意で海をいう。
意味 うみ(瀛)。大海。「瀛海エイカイ」(大海)「瀛洲エイシュウ」(中国の東海にあるという神山)
贏 エイ・あまる・あまり・かつ 貝部
解字 「貝(財貨)+𦝠エイ(=嬴エイの略体(意味②の、みちる)」の会意形声。エイは嬴エイの意味②、みちるに通じ、財貨がみちること。財貨がみちて、あまる。また、財貨がみちることから転じて勝つ意となる。
意味 (1)あまる(贏る)。「贏利エイリ」(ありあまるもうけ。=利益)「贏得エイトク」(利益を得る) (2)かつ(贏つ)。「贏輸エイシュ」(勝ちと負け。贏は勝つ、輸は負け)
同音代替
蠃 ラ 虫部
解字 「虫(むし)+𦝠(ラ)」の形声。ラは螺ラ(にな・にし)に通じ、巻貝の仲間を言う。
意味 (1)にな(蠃)。にし。たにし。=螺ラ。 (2)「蜾蠃カラ」はジガバチのこと。
臝 ラ・はだか 月部にく
解字 「果(果たす。果たした結果)+𦝠ラ(=蠃ラの略体。にな・にし)」の会意形声。蠃ラは、ここで巻貝の貝殻に体を入れ、貝殻を背負って生活する甲殻類のやどかりをいう。やどかりの身体が大きくなり(果たす)、果たした結果、今までの貝を捨て(脱いで)他の貝に移ること。人に例えて、はだ脱ぐ・はだかの意となる。
意味 (1)はだか(臝)。はだぬぐ。はだかになる。=裸ラ。
羸 ルイ・つかれる 羊部
解字 「羊(ひつじ)+𦝠(ラ⇒ルイ)」の形声。ルイは累ルイ(しばる。つなぐ。=縲ルイ。)に通じ、しばられた羊の意。しばられた羊は、やせる・つかれる・よわる。転じて、よわい意。人に移して用いる。
意味 (1)つかれる(羸れる)。よわる。よわい。「羸弱ルイジャク」(つかれ弱る。弱い)「羸師ルイシ」(つかれ弱った軍隊) (2)やせる。「羸痩ルイソウ」(つかれやせおとろえる)「羸瘠ルイセキ」(やせおとろえる)
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