風 フウ・フ・かぜ・かざ 風部
解字 甲骨文字は頭に冠飾りをつけた瑞鳥の「おおとり(鳳)」を描き、その横に音を表す凡(ハン・ボン⇒フウ・ホウ)を付けた字。凡(ハン・ボン)は、上古音(殷周代)でフウ・ホウの発音であり後にハン・ボンへの字音の変化があったと推定されている。「おおとり」は風の神ともいわれ、この鳥が羽ばたいて「風」を起こすと考えられたため、風の意に用いた。篆文は「凡(=鳳を表す字音[フウ・ホウ]で風の意)+虫」となった。これは、風を利用して空を飛ぶ虫を付けて「かぜ」を表した字。これで鳳(おおとり)の字は本来の霊鳥としての意に専用されるようになった。風は部首にもなる。
意味 (1)かぜ(風)。ゆれ動く空気のながれ。「風雲フウウン」「風上かざかみ」 (2)社会全体にゆきわたるもの。「風習フウシュウ」 (3)おもむき。「風格フウカク」「風情フゼイ」 (4)けしき。「風景フウケイ」 (5)風の病。「風邪かぜ」「中風チュウブウ」(半身の不随、または腕・脚の麻痺)
参考 風は部首「風かぜ」になる。常用漢字は部首の風だけだが、偏や旁などとなり風に関する字を作る。主な字は以下のとおり。
颯サツ(風+音符「立リツ」)
飄ヒョウ(風+音符「票ヒョウ」)
颱タイ(風+音符「台タイ」)
颪おろし(「下+風」の会意:国字)
イメージ
「かぜ」(風・楓・諷・颪・凧)
「風の神」(瘋)
「空気のながれ」(嵐)
音の変化 フウ:風・楓・瘋・諷 ラン:嵐 おろし:颪 たこ:凧
か ぜ
楓 フウ・かえで 木部
解字 「木(き)+風(かぜ)」の会意形声。種子(写真)が風によって運ばれる木。
意味 かえで(楓)。もみじ・紅葉(楓の別称)。カエデ科の落葉高木。種子は二枚の翼をもった果実をつける。「楓葉フウヨウ」(紅葉した楓の葉)「霜楓ソウフウ」(霜にあたって紅葉した楓)
諷 フウ 言部
解字 「言(ことば)+風(かぜ)」の会意形声。言葉が風にのって伝わること。本人から直接言うのでなく、それとなく伝わること。また、風が言葉を伝える意から、文字を見て言うのでなく、そらんじる意となる。
意味 (1)ほのめかす。遠回しに言う。「諷意フウイ」(①意思をほのめかす。②あてこすって言った意思)「諷刺フウシ」(遠回しに批判する。=風刺) (2)そらんじる。そらよみする。「諷説フウセツ」(そらんじていることを、そのまま説くこと)「諷詠フウエイ」(詩歌をそらんじて歌う)
颪<国字> おろし 風部
解字 「下(おりる)+風(かぜ)」の会意。下りる風の意で、山から吹き下ろす風のこと。
意味 おろし(颪)。山から吹きおろす風。「赤城颪あかぎおろし」(群馬県中央部(赤城山)から東南部で、冬季に北から吹く乾燥した冷たい強風)「六甲颪ろっこうおろし」(神戸市北部の六甲山地から冬に吹き下ろす乾燥した冷たい風)
凧 <国字> たこ 几部
解字 「几(風の略体)+巾(ぬの)」の会意の国字。中国では凧を風箏フウソウというが、古くは紙鳶シエン・紙老鴟シロウシ・風鳶フウエン・鳳巾ホウキンなどとも書かれた。日本へもこれらの字が伝わり、江戸期には訓読みで「いかのぼり」と呼ばれていた。凧の字のもとになったのは鳳巾ホウキンと考えられる。鳳ホウには風の意味もあるので鳳巾は風巾であり、文字からいうと風に揚げる布製の凧になる。この二字を合わせた凧の国字が江戸後期に生まれ、江戸で一般的な呼び名だった「たこ」の名がついた。
意味 たこ(凧)。細竹の骨組みに紙など貼り、糸をつけて空中に放ち、引きながら風の揚力で飛揚させる玩具。凧を安定させるためつける尻尾とよばれる細長い紙が、イカの足に似ているので関西でイカノボリ(また、略してイカ)と呼ばれたが、関東では蛸の足になぞらえてタコと呼び、この名が定着した。「凧揚(たこあ)げ」(凧を揚げること。また、子供の正月の遊び)
風の神
瘋 フウ 疒部
解字 「疒(やまい)+風(風の神)」の会意形声。風のもとになった「おおとり(鳳)」は風の神ともいわれ、風行とともに神威をもたらして起こす 疒(やまい)と考えられた。主に精神の病をいう。
意味 (1)精神の病。狂人。「瘋癲フウテン」(定職を持たず、ぶらぶらしている人。精神状態が正常でない人)「瘋病フウビョウ」(錯乱)「瘋狗フウグ」(狂犬) (2)そらごと。「瘋話フウワ」
空気のながれ
嵐 ラン・あらし 山部
解字 「山(やま)+風(空気のながれ)」の会意。山中の空気の動きをいう。山の風はみだれることが多いことからラン(乱)の発音になった。
意味 (1)山の清らかな風や空気。山にたちこめる気。もや。「嵐気ランキ」(山中に立つもや)「青嵐セイラン」(青葉を吹きわたる風) (2)山の風。つむじ風。あらし(嵐)。暴風雨。「春嵐はるあらし」(春先に吹く強い風) (3)激しく揺れ動くことの例え。「倒産の嵐」
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文字は頭に冠飾りをつけた瑞鳥の「おおとり(鳳)」を描き、その横に音を表す凡(ハン・ボン⇒フウ・ホウ)を付けた字。凡(ハン・ボン)は、上古音(殷周代)でフウ・ホウの発音であり後にハン・ボンへの字音の変化があったと推定されている。「おおとり」は風の神ともいわれ、この鳥が羽ばたいて「風」を起こすと考えられたため、風の意に用いた。篆文は「凡(=鳳を表す字音[フウ・ホウ]で風の意)+虫」となった。これは、風を利用して空を飛ぶ虫を付けて「かぜ」を表した字。これで鳳(おおとり)の字は本来の霊鳥としての意に専用されるようになった。風は部首にもなる。
意味 (1)かぜ(風)。ゆれ動く空気のながれ。「風雲フウウン」「風上かざかみ」 (2)社会全体にゆきわたるもの。「風習フウシュウ」 (3)おもむき。「風格フウカク」「風情フゼイ」 (4)けしき。「風景フウケイ」 (5)風の病。「風邪かぜ」「中風チュウブウ」(半身の不随、または腕・脚の麻痺)
参考 風は部首「風かぜ」になる。常用漢字は部首の風だけだが、偏や旁などとなり風に関する字を作る。主な字は以下のとおり。
颯サツ(風+音符「立リツ」)
飄ヒョウ(風+音符「票ヒョウ」)
颱タイ(風+音符「台タイ」)
颪おろし(「下+風」の会意:国字)
イメージ
「かぜ」(風・楓・諷・颪・凧)
「風の神」(瘋)
「空気のながれ」(嵐)
音の変化 フウ:風・楓・瘋・諷 ラン:嵐 おろし:颪 たこ:凧
か ぜ
楓 フウ・かえで 木部
解字 「木(き)+風(かぜ)」の会意形声。種子(写真)が風によって運ばれる木。
意味 かえで(楓)。もみじ・紅葉(楓の別称)。カエデ科の落葉高木。種子は二枚の翼をもった果実をつける。「楓葉フウヨウ」(紅葉した楓の葉)「霜楓ソウフウ」(霜にあたって紅葉した楓)
諷 フウ 言部
解字 「言(ことば)+風(かぜ)」の会意形声。言葉が風にのって伝わること。本人から直接言うのでなく、それとなく伝わること。また、風が言葉を伝える意から、文字を見て言うのでなく、そらんじる意となる。
意味 (1)ほのめかす。遠回しに言う。「諷意フウイ」(①意思をほのめかす。②あてこすって言った意思)「諷刺フウシ」(遠回しに批判する。=風刺) (2)そらんじる。そらよみする。「諷説フウセツ」(そらんじていることを、そのまま説くこと)「諷詠フウエイ」(詩歌をそらんじて歌う)
颪<国字> おろし 風部
解字 「下(おりる)+風(かぜ)」の会意。下りる風の意で、山から吹き下ろす風のこと。
意味 おろし(颪)。山から吹きおろす風。「赤城颪あかぎおろし」(群馬県中央部(赤城山)から東南部で、冬季に北から吹く乾燥した冷たい強風)「六甲颪ろっこうおろし」(神戸市北部の六甲山地から冬に吹き下ろす乾燥した冷たい風)
凧 <国字> たこ 几部
解字 「几(風の略体)+巾(ぬの)」の会意の国字。中国では凧を風箏フウソウというが、古くは紙鳶シエン・紙老鴟シロウシ・風鳶フウエン・鳳巾ホウキンなどとも書かれた。日本へもこれらの字が伝わり、江戸期には訓読みで「いかのぼり」と呼ばれていた。凧の字のもとになったのは鳳巾ホウキンと考えられる。鳳ホウには風の意味もあるので鳳巾は風巾であり、文字からいうと風に揚げる布製の凧になる。この二字を合わせた凧の国字が江戸後期に生まれ、江戸で一般的な呼び名だった「たこ」の名がついた。
意味 たこ(凧)。細竹の骨組みに紙など貼り、糸をつけて空中に放ち、引きながら風の揚力で飛揚させる玩具。凧を安定させるためつける尻尾とよばれる細長い紙が、イカの足に似ているので関西でイカノボリ(また、略してイカ)と呼ばれたが、関東では蛸の足になぞらえてタコと呼び、この名が定着した。「凧揚(たこあ)げ」(凧を揚げること。また、子供の正月の遊び)
風の神
瘋 フウ 疒部
解字 「疒(やまい)+風(風の神)」の会意形声。風のもとになった「おおとり(鳳)」は風の神ともいわれ、風行とともに神威をもたらして起こす 疒(やまい)と考えられた。主に精神の病をいう。
意味 (1)精神の病。狂人。「瘋癲フウテン」(定職を持たず、ぶらぶらしている人。精神状態が正常でない人)「瘋病フウビョウ」(錯乱)「瘋狗フウグ」(狂犬) (2)そらごと。「瘋話フウワ」
空気のながれ
嵐 ラン・あらし 山部
解字 「山(やま)+風(空気のながれ)」の会意。山中の空気の動きをいう。山の風はみだれることが多いことからラン(乱)の発音になった。
意味 (1)山の清らかな風や空気。山にたちこめる気。もや。「嵐気ランキ」(山中に立つもや)「青嵐セイラン」(青葉を吹きわたる風) (2)山の風。つむじ風。あらし(嵐)。暴風雨。「春嵐はるあらし」(春先に吹く強い風) (3)激しく揺れ動くことの例え。「倒産の嵐」
<紫色は常用漢字>
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