漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「犂リ」<牛が曳くスキ> と「黎レイ」「藜レイ」

2015年03月31日 | 漢字の音符
犂[犁] リ・すき  牛部

解字 篆文は、「黍ショ(きび)+スキの形+牛(うし)」の会意。黍(きび)の畑を牛にスキを曳かせる形。黍は中国で最も早く栽培された穀物の一つで、ここでは穀物を栽培する畑を意味する。それにスキと牛がついて、牛がひくスキ、スキでたがやす意。現代字は、黍⇒禾に略された犂になった。また、「利+牛」の犁は異体字で、中国で使われている。

漢代の犂耕(壁画)(中国ネットの検索画面から。現在はなし)
意味 (1)すき(犂)。からすき。牛にひかせて田畑を掘り返すスキ。(2)すく。たがやす。「犂耕リコウ」(犂でたがやす)(3)まだらうし。「犂牛リギュウ」(まだら牛。毛の色がまだらな牛)


   レイ <きびを収穫する>
 レイ・リ・くろい  黍部   

解字 篆文は「黍(きび)+刀の変形」で、刀で黍の穂を切って収穫すること。字の構造からいうと、利と同じで、穀物の穂を切り取って収穫し利益を得るかたちだが、穀物を収穫する農民を表し、人民・庶民の意となる。また農民が日焼けする・日焼けして浅黒い意となる。
意味 (1)もろもろの民。「黎民レイミン」(人民。庶民)「黎首レイシュ」(冠をかぶっていない黒髪の首(あたま)。庶民。=黎元レイゲン)(2)くろい(黎い)。くろ。くらい。「黎明レイメイ」(夜明け。明け方)「黎黒レイコク」(色が浅黒い)

イメージ 
 「きびの収穫」
(黎・藜)
音の変化 レイ:黎・藜

きびの収穫
 レイ・リ・あかざ  艸部
解字 「艸(くさ)+黎(=きびの収穫)」の会意形声。黍の収穫のとき、混じって生えている黍と似た草の意。あかざをいう。

①藜(あかざ)野草教室(「あかざ」より)②藜の杖(中国ネットから)
意味 あかざ(藜)。あかざ科の一年草。畑や空地などに多い雑草。若葉は食用になる。古い時代に中国経由で渡来し、食用に栽培されていたものが野生化したといわれる。茎は直立し1.5メートルほどにもなる。「藜杖レイジョウ」(あかざの茎で作った杖。軽いので老人用とされる)「蓬藜ホウレイ」(よもぎと、あかざ。荒れ果てた草むら)

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音符「龠ヤク」<吹き口が複数あるたて笛> と 「籥ヤク」「鑰ヤク」

2015年03月30日 | 漢字の音符
 ヤク・ふえ  龠部

解字 甲骨文は吹き口のある竹二つを紐でくくった形。金文第一字は、「口口(くち二つ)+冊サク(竹を並べて結んだもの)」の会意。吹き口が複数ある竹の管を並べた笛の形。金文第二字は、上にA(あつまる)がつき、吹き口が集まった笛を表す。篆文は、口の数が三つになった龠ヤクとなった。吹き口が三つ、または複数ある竹製の笛。籥ヤクの原字。現物が残っていないので形は不明であるが、竹を丸く集めた笙(しょう)、または一列に並べた「排簫ハイショウ」と思われる。
 龠ヤクは、ふえの意で部首になる。一番画数が多いので漢和辞典の部首索引の最後「17画」にくる。
意味 (1)ふえ(龠)。ふえの一種。あなが三つある笛。(6つのものもある)(2)ふえの総称。
イメージ 
 「ふえ」
(龠・籥)
 「穴がある」(鑰)
音の変化 ヤク:龠・籥・鑰

ふえ
 ヤク・ふえ  竹部
解字 「竹(たけ)+龠(ふえ)」の会意形声。竹製のふえ。
意味 (1)ふえ(籥)。中国の古楽器の一。3または6孔の竹笛。(2)笛に似た、穴の開いた錠前。

穴がある
 ヤク・かぎ  金部
 閂(かんぬき)
解字 「金(金属)+龠(穴がある)」の会意形声。門扉の閂(かんぬき)の横木を差し込む四角い金具(穴がある)が原義。三~四個あり、ここに横木を通して門扉を固定する。のち、扉につけて戸締りとする錠前をいうようになった。鍵かぎを差し込んで開閉する。また、差し込む鍵を指して言うこともある。
意味 かぎ(鑰)。戸につけるかぎ。錠前。「鑰匙ヤクシ」(かぎ。錠前と穴にさす匙(さじ)のような鍵)「鍵鑰ケンヤク」(差し込む鍵と錠前。キーポイントとなるところ)「関鑰カンヤク」(①関はここで、かんぬき(扉の金具を貫いて門をしめる横棒)、鑰は門扉の金具。両者あわせて扉が閉まる。門戸の戸締り。②出入りの要所。枢要)

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音符「夷イ」<えびす>と「姨イ」「痍イ」「洟イ」

2015年03月30日 | 漢字の音符
 イ・えびす  大部 yí  

解字 甲骨文は、矢に紐がまいている形。獲物に矢が当たると、紐が獲物にからみつくように工夫された、「いぐるみ」という紐のついた矢を表す。金文も矢羽の部分が変化しているが同じ形。篆文は後漢の[説文解字]が、「大(大人)+弓(ゆみ)」と解釈し、弓を持つ東方の人とした。いずれも、弓矢をつかう未開の民族を指す。また、弓矢で平定する意がある。
意味 (1)えびす(夷)。東方の未開の異民族。「東夷トウイ」(東方の未開民族)「夷狄イテキ」(東方と北方の未開人。野蛮人。また、外国人をさげすんだ言い方)(2)たいらげる。平定する。たいらか。「夷滅イメツ」(逆らうものを平らげ滅ぼす)(3)[国]えみし。えびす。都(奈良・京都)から見て東方の未開人。「蝦夷えみし・えぞ」(北海道の呼称、蝦夷地。また、古代の奥羽から北海道にかけて住み、大和朝廷に従わなかった人々)。(4)[国]えびす(夷)。七福神の一つ。恵比寿・蛭子・戎とも書く。漁業と商業の神。「夷講えびすコウ」(えびすを祭り祝う行事)

周時代の東夷・西戎・南蛮・北狄(「春秋の五覇とは」より)

イメージ  弓矢を扱う「異民族」、紐をつけた矢から「矢を射る」イメージがある。
  「異民族」(夷・姨)
  「形声字」(痍・洟)
音の変化 イ:夷・姨・痍・洟

異民族
 イ・おば  女部 yí
解字 「女(おんな)+夷(異民族⇒姓が異なる)」の会意形声。夫からみて姓が異なる妻または母の姉妹をいう。中国では結婚しても妻は姓を変えない。
意味 (1)妻の姉妹。特に妻の妹をさす。「姨妹イマイ」(妻の妹)(2)おば(姨)。母の姉妹。「姨母イボ」(母の姉妹。おば)「姨捨山おばすてやま」(長野県北部にある山の名前。田毎(たごと)の月や、姨捨て伝説で有名)(3)自分の母と同年配の女性に対する呼称。「阿姨アイ」(おばさん)

形声字
 イ・きず  疒部 yí
解字 「疒(キズのやまい)+夷(イ)」の形声。刃物などでできた傷を痍という。[説文解字]は「傷也(なり)。疒に従い夷イの聲(声)」とする。
意味 きず(痍)。きずつく。刃物などでできた傷。「傷痍ショウイ」(きず・けが)「傷痍軍人ショウイグンジン」「創痍ソウイ」(創も痍も、きずの意。きずを負うこと)「満身創痍マンシンソウイ」(全身が傷だらけで痛手を負っている)
 イ・テイ・はなじる  氵部 yí
解字 「氵(みず)+夷(テイ・イ)」の形声。テイは涕テイ(なみだ)に通じ、洟イ・テイにも同じく、なみだの意味がある。また、涕テイには泣く意もある。一般に泣いて流す涙は量が非常に多い。まぶたの下には目から鼻に通じる鼻涙管ビルイカンがあり、涙の量が多いと目から溢れるとともに、鼻涙管にもたくさん流れ込み、これが鼻水としてそのまま流れ出す。そこで、洟イ・テイは、はなじるの意ともなり、この意味が中心になった。
意味 (1)はなみず。はなじる(洟)。はな(洟)。鼻汁をながす。すすばな。「涕洟テイイ」(なみだと鼻汁)「洟(はな)を啜(すす)る」(鼻水をすする)(2)なみだ。「洟泣テイキュウ」(なみだを流して泣く)

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音符「彗スイ」<ほうき> と 「篲スイ」「慧ケイ」

2015年03月28日 | 漢字の音符
 スイ・ケイ・エ・ほうき  ヨ部

解字 篆文は「生(生える草⇒ほうき草)2つ+又(手)」の会意。生はここで、ほうき草を表す。これを2本まとめて手にもつ形が彗で、ほうきの意。篲の原字。ほうきぼしの意は、空に現れたほうきに似た形の星で、空を掃除するものと考えられた。現代字は篆文の、生生⇒丰丰に変化した。
意味 (1)ほうき(彗)。(2)はく。「彗掃スイソウ」(ほうきで掃き清める)(3)ほうきぼし。「彗星スイセイ・ほうきぼし」「彗尾スイビ」(彗星の尾の部分)
 
イメージ
 「ほうき」
(彗・篲) 
 「ほうきではく」(慧)
音の変化  スイ:彗・篲  ケイ:慧

ほうき
 スイ・ほうき  竹部
解字 「竹(たけ)+彗(ほうき)」の会意形声。竹のほうき。
意味 (1)ほうき(篲)。竹ぼうき。(2)ほうきぼし。

ほうきではく
 ケイ・エ・さとい  心部
解字 旧字は、「心(こころ)+彗(ほうきではく)」の会意形声。心を掃き清めること。雑念が消えて本質が見える状態をいう。新字体は、彗下部の、ヨが出た形⇒ヨに変化した(新字体であるが常用漢字ではない)。
意味 (1)さとい(い)。かしこい。気がきいて智恵のあるさま。「ケイガン」(物事をよくみぬくするどい眼力)「ケイゴ」(智恵がありさとりが早い)「ケイビン」(知恵があってすばしこい)(2)仏教で真理を見極める心の動き。「エゲン」(仏の智恵の目。この世の真理を見抜く心の目)

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音符「廛テン」<村里と屋敷> と「躔テン」「纏テン」

2015年03月26日 | 漢字の音符
 テン  广部

解字 篆文は、「广(やね)+里(さと)+八(わける)+土(土地)」の会意。一家族に分けられた村里の土地およびそこに建つ家。周代に青年男子ひとりに二畝半(4.55アール)の土地兼宅地が与えられた。のち、やしきの意から、みせの意となった。[角川新字源]を参考にした。
意味 (1)やしき。宅地や屋敷。「廛宅テンタク」(人民の住宅)(2)みせ。「廛肆テンシ」(廛も肆も、みせの意)「酒廛シュテン

イメージ
 「村里と屋敷」
(廛・躔・纏・纒)
音の変化 テン:廛・躔・纏・纒

村里と屋敷
 テン・ふむ  足部
解字 「足(あるく)+廛(村里と屋敷)」の会意形声。村里の屋敷を足であるいてめぐること。転じて、天体の運行の軌道の意でも使われる。
意味 (1)めぐる。ふむ(躔む)。足跡を残してへめぐる。(2)やどる。めぐってから休む。(3)めぐりあるいた足跡。やどり。天体がめぐってゆく軌道。「躔次テンジ」(星のやどり。天体が運行して占める位置)「躔度テンド」(天体の周期的に動く度合い)
 テン・まとう・まつわる・まとい  糸部
解字 「糸(いと)+廛(=躔。めぐる)」の会意形声。糸が物の周りをめぐり、まつわること。
意味 (1)まとう(纏う)。まつわる(纏わる)。からまる。まきつく。「纏足テンソク」(幼い女児の足にかたく布を巻き、足が大きくならないようにした風習)「纏綿テンメン」(纏わりついて離れない。纏は、まつわる、綿はつらなる意)(2)[国]まとい(纏)。①戦陣で大将のそばに立てた目印。②火消しの組の目印。「纏持まといもち」(火消しの組のまといを持つ者。消化活動の旗振りをした)
纏持(みんなの知識・江戸町火消)
[異体字] テン・まく  糸部
解字 「糸+广+黒+土」からなる.
テンの異体字。纏の「里+ハ」⇒黒に変化した字。主に地名に用いられる。
意味 地名・遺跡名。「纒向まきむく」(奈良県桜井市の三輪山北西麓一帯にある弥生時代末期から古墳時代前期にかけての複合遺跡。国の史跡に指定されている。名称は旧磯城シキ郡纒向村に由来する。また、垂仁天皇の「纒向まきむく珠城たまき宮」、景行天皇の「纒向まきむく日代ひしろ宮」がこの地にあった。)

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音符 「魯ロ」 <ロの音>「櫓ロ」「艪ロ」

2015年03月25日 | 漢字の音符
 ロ・おろか  魚部

解字 甲骨文は、「魚(さかな)+口(いう)」の会意。魚を神に供えて神にすすめ、幸いを祈る(口)こと。口は金文で曰(いう)になり、さらに篆文で白となり、現代字は日に変化した魯になった。[字統]によれば、祭祀に用いる魚は嘉魚と言い、魯は金文で、幸い・喜びの意に用いるという。しかし、現在この意味で使われていない。
 一方、この字は、地名・姓として古くから使われている。地名では今の山東省南部にあった周代の諸侯国のひとつをいう。34代約850年続き、前249年にほろびた。孔子はこの国の生まれである。なお、おろかの意は、同音の鹵(塩地)に由来すると思われる。鹵は塩分の強い地であるので作物の育たない痩せ地であるため、痩せ地にすむ人をあざけった、おろかの意味があり、同音の魯がその意味を受け継いだと思われる。
意味 (1)おろか(魯か)。おろかなさま。「魯鈍ロドン」(間が抜けて頭の回転がにぶい) (2)地名。山東省にあった国の名。山東省の略称。現在、中国では車のナンバープレートの「魯」(山東省)に使われている。 (3)姓。「魯迅ロジン」(清末民初の文学者。著書に『阿Q正伝』がある。本名は周樹人。魯迅はペンネーム) (4)「魯魚亥豕ロギョガイシ」とは、書き誤りやすい字のこと。魯魚と亥豕は、間違いやすい。

イメージ 「ロの音」(魯・櫓・艪)
音の変化 ロ:魯・櫓・艪

ロの音
 ロ・やぐら  木部  
解字 「木(き)+魯(ロ)」の形声。ロは艫(船のとも=船尾)に通じ、船尾で船をこぐ木製のカイをいう。また、ロは露(覆いがない)に通じ、木で組んだ屋根がない物見やぐらをいう。中国では、船をこぐカイの意が中心で、日本では物見やぐらから転じた各種の「やぐら」の意がよく使われる。
 船の櫓
意味 (1)ろ(櫓)。船尾で舟をこぐ道具。(=艪)。かい。「櫓歌ロカ」(櫓を動かしながら船頭がうたう歌) (2)やぐら(櫓)。物見やぐら。 (3)[国]やぐら(櫓)。①矢倉とも書く。城郭の武器庫。②城郭の物見やぐら。③相撲・芝居などで、会場の入り口に設ける、幕をはった構造物。「櫓太鼓やぐらだいこ」④こたつに用いる木組みのおおい。「炬燵櫓こたつやぐら
 ロ  舟部
解字 「舟(ふね)+魯(=櫓。ろ)」の形声。船尾で船をこぐ「ろ」をいう。
意味 ろ(艪)。船尾で船をこぐ道具。(=櫓)。「艪櫂ろかい」(船をこぐ道具である、ろとかい)

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音符「樊ハン」<まがき・かきね>と「攀ハン」「礬バン」

2015年03月23日 | 漢字の音符
 ハン  木部

解字 金文は、木と木の間にⅩを、篆文はⅩを2つ交差させた形(棥ハン)に両手を加えて、まがき(かきね)を手で組んだ形。現代字は、両手⇒大に変化した樊ハンになった。まがき・かきねを表す。転じて、とりかご・獣のおりの意ともなる。
意味 (1)まがき(樊)。かきね。かこい。竹や柴などを粗く編んで作った垣根。「樊籬ハンリ」(樊も籬も、まがきの意)「竹樊チクハン」(竹がき)(2)とりかご。獣のおり。「樊籠ハンロウ」(①鳥獣をいれるおりやかご。②自由を束縛された境遇)③(かきねで)囲む。

イメージ
 「まがき」
(樊・攀・礬
音の変化  ハン:樊・  バン:

まがき
 ハン・よじる  手部
解字 「手(て)+樊(まがき)」の会意形声。まがきに手をかけて、のぼる形。高いところによじのぼること。
意味 よじる(攀じる)。よじのぼる(攀じ登る)。「登攀トウハン・トハン」(山や高所によじのぼる)「攀縁ハンエン」(①よじのぼること。縁をたよって身を立てる。②俗縁にかかずらう)「攀援ハンエン」(援助によって身を立てる)
 バン・ハン  石部
解字 「石(鉱物)+樊(まがき)」の会意形声。まがきがフィルターのような働きをし、汚れた水の不純物を吸着し取り去る働きをする鉱物(石)をいう。水溶性の硫酸塩鉱物で、水質の悪い水に溶かすと不純物を沈澱させるので、きれいな水を得られる効果がある。また、色を安定化させるため染色剤に用いられるなど幅広い用途がある。
意味 硫酸を含んだ鉱物の一種。「明礬ミョウバン」(白色・正八面体の結晶。硫酸アルミニウムの化合物で、水溶液は弱い酸性。染色・防水・工業用に用途が広い。「礬水どうさ」(にかわに明礬を溶かした液体。墨が和紙に滲むのを防ぐ)「白礬ハクバン」(天然の明礬。色が白い)「礬石バンセキ」(明礬石の略。明礬のこと)

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音符「狄テキ」<野焼きして狩りをする>と「荻テキ」

2015年03月23日 | 漢字の音符
 テキ・えびす  犭部  

解字 「犭(いぬ)+火(ひ)」の会意。草原に火を放ち、野焼きをして獣を追い出し、犬を伴にして狩りをすること。野焼きは牛馬の牧草地の維持にも必要であった。草原地帯に居住している異民族をさす。
意味 えびす(狄)。北方の異民族。「北狄ホクテキ」(北方の異民族)「夷狄イテキ」(野蛮な異民族。夷は東方の異民族)

イメージ 「野焼きする」(狄・荻・逖)
音の変化  テキ:狄・荻・逖

野焼きする
 テキ・おぎ  艸部
荻の穂
解字 「艸(くさ)+狄(野焼きする)」 の会意形声。野焼きして管理する草。野焼きは屋根材料の確保などのため河原の草むらでも行なわれる。
意味 (1)おぎ(荻)。イネ科ススキ属のススキに似た多年草。多くは水辺に自生し群落をつくる。かつては、茅葺屋根の材料として用いられた。日本では現在もススキやアシ原の野焼きが行われるが、荻も地名や姓に荻原・荻野が多いことから、かつては野焼きが行われたと思われる。(2)地名。姓。「荻原おぎはら」「荻野おぎの」「荻生おぎう
 テキ・とおい  之部
解字 「之(ゆく)+狄(野焼き)」 の会意形声。野焼きの火を避けて遠ざかること。遠ざかる意から、とおい・はるかの意となる。
意味 (1)とおざかる。とおざける。「離逖リテキ」(離して遠ざける)(2)とおい(逖い)。はるか。

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音符「畟ショク」<田の神> と「稷ショク」

2015年03月22日 | 漢字の音符
 ショク  田部

解字 篆文第一字は、「田+八+夊(あし)」の象形。田は頭、ハは手、夊は足を表しており田の神の象形。稷ショクの原字。なお、篆文第二字は、稷の異体字の右辺を抜き出したもので、「田+人」の形。この字も田を頭とする田の神の神像を表している。

イメージ 
 「田の神」
(禝・稷)
音の変化 ショク:禝・稷

田の神
 ショク  示部
解字 「示(祭壇)+畟(田の神)」の会意形声。畟(田の神)を祀る祭壇の意で、田の神をいう。古くは稷と同字。
意味 田の神。五穀の神。
 ショク・きび  禾部
解字 「禾(こくもつ)+畟(田の神)」の会意形声。穀物の神。また、穀物の総称。
意味 (1)五穀の神。また、それを祀るやしろ。「社稷シャショク」(①土地の神と五穀の神。②国家)「社稷シャショクキョとなる」(国家が滅びる)(2)五穀の総称。(3)きび(稷)。また、たかきび(コーリャン)。漢代ではアワのこと。「黍稷ショショク」(①もちきびと、うるちきび。②きびとあわ。転じて五穀) (4)「后稷コウショク」とは、①周の始祖と伝えられる伝説上の人。姓は姫  、名は棄 。母親の姜原キョウゲン が巨人の足跡を踏み、妊娠して生まれたといわれる。農耕を好み帝尭に挙用されて農師となり、舜の時代に后稷という農事をつかさどる長官についたため、この官名が彼の通称となっている。しかし后は天子(きみ)の意があり、稷(=禝)は田の神であり、后稷は単なる農事の長官でなく、田の神・五穀の神である天子の意味をもつ。

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音符「佩ハイ」<腰にさげる> と 「珮ハイ」

2015年03月19日 | 漢字の音符
 ハイ・おびる・はく・おびだま  イ部

解字 「イ(人)+凡(ハン)+巾(ぬの⇒帯)」の会意。人が巾(帯)を腰に巻くこと。転じて、腰に巻いた帯に飾りなどを着ける意となる。凡ハンは発音を表し、この字では、ハン⇒ハイと変化した。また、腰につけた、おびだまの意で使う。
意味 (1)おびる(佩びる)。はく(佩く)。腰に下げる。身に着ける。「佩玉ハイギョク」(貴人が腰に下げた飾り玉)「佩刀ハイトウ」(刀を腰につける)「佩帯ハイタイ」(佩も帯も、おびる意)(2)心にとめる。「感佩カンパイ」(心に深く感じて忘れない)(3)おびだま(佩)。腰にさげる飾り玉。
 腰におびた佩玉
 
イメージ 「おびる」(佩・珮)
音の変化  ハイ:佩・珮 

おびる
 ハイ・おびだま  王部
解字 「王(玉)+佩の略体(おびる)」の会意形声。佩は、おびる意で、王(玉)をつけて、腰におびる飾り玉を表す。
意味 おびだま(珮)。腰にさげる飾り玉。(=佩)。

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