䍃 ヨウ・ユウ・ユ 缶部ほとぎ
盥缶カンフ
https://www.duitang.com/blog/?id=111607055

解字 篆文は「缶フ(ほとぎ。うつわ)+月(=肉にく)」の形声。[説文解字]は、「瓦器なり。缶に従い肉の声。発音は「以周切(イウ)」とする。つまり肉は発音に関係しているだけで肉の意味はないということである。肉の発音は、[新大字典(講談社)]に3種類あり、①呉音が二ク、漢音がジク、②呉音ニュ、漢音ジュウ(ジウ)、③呉音ニュ、漢音ジュ、である。
[説文解字]は䍃の発音をイウとしているので、①呉音のNIKUの発音からNとKが取れるとIU(イウ)になる。また②の呉音ニュ(NYU)からNが取れるとYU(ユ)になり、初期の音と考えられるユウ(イウ)・ユが出てくる。ヨウの発音は後代になってできたものであろう。では、ユウ(イウ)という缶(ほとぎ)はどんな器なのだろうか。缶の「ほとぎ」とは水などを入れた瓦や青銅の器である。[説文解字]は瓦器とするが、春秋戦国期には青銅器の缶が非常に多く制作されているので青銅の缶も対象になる。
中国の検索サイトで缶をさがすと面白い形の缶が見つかった。写真の盥缶カンフという手洗いの水をいれる器(ほとぎの一種)である。これは青銅製で戦国時代(BC8~5世紀)とされ、古道具のようである。同じ形のものが随州市博物館の曽乙侯墓出土青銅器で紹介されているので当該写真の真贋はともかくこのような器があったことは確実である。
私が注目するのは缶の左右の耳から垂れ下がっている環である。この環は何のためにあるのだろうか。それは水をいれた缶(ほとぎ)を運ぶために二つの環に棒を通して持ち上げ、運ぶためのものだろう。または両手で環を持って運んだのかもしれない。そのとき缶はゆらゆらとゆれる。䍃には「ゆれる」というイメージがあり、こうした環付きの缶のゆれるさまから、イメージが成立したのではなかろうか。 新字体では、䍃⇒揺の右辺となる。
意味 かめ。もたい。ほとぎ。水などを入れる器。
イメージ
「もたい」(䍃・窰)
「ゆれる」(揺・謡・瑶・鰩)
「形声字」(徭・遥)
音の変化 ヨウ:䍃・窰・揺・謡・瑶・鰩・徭・遥
もたい・かめ
窰 ヨウ・かま 穴部
解字 「穴(よこあな)+䍃(かめ・もたい)」の会意形声。䍃はここで土のかめ・もたい。成形されたかめを横穴にいれて焼くこと。土器を焼く「かま」の意となる。また、横穴の意から黄土高原に住む住民のあいだで作られた横穴住居をいう。
窰洞ヤオトン
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1619985429489974672&wfr=spider&for=pc
意味 (1)かま(窰)。=窯ヨウ。陶器を焼くかま。「窰業ヨウギョウ」「陶窰トウヨウ」「官窰カンヨウ」「民窰ミンヨウ」 (2)横穴住居。「窰洞ヤオトン」( 中国北部の黄土地帯に広範にみられる横穴式の洞穴住居)
ゆれる
揺 ヨウ・ゆれる・ゆらぐ・ゆする 扌部
解字 旧字は搖で「扌(手)+䍃(ゆれる)」の会意形声。䍃には、ゆれるイメージがあり、扌(手)をつけて、ゆれる意味を補足した。新字体は、揺に変化。
意味 ゆれる(揺れる)。ゆする(揺する)。ゆらぐ(揺らぐ)。「揺籃ヨウラン・ゆりかご」「揺曳ヨウエイ」(ゆらゆらとなびく)「動揺ドウヨウ」(ゆれうごく)
謡 ヨウ・うたう・うたい 言部
解字 旧字は謠で「言(ことば)+䍃(ゆれる)」の会意形声。ゆれうごくように抑揚をつけて言葉を出すこと。節をつけてうたうこと。楽器の伴奏を伴わないうたを言った。新字体は、謡に変化。
意味 (1)うたう(謡う)。うた。はやりうた。「童謡ドウヨウ」「民謡ミンヨウ」「歌謡カヨウ」 (2)うたい(謡)。能のうたい。「謡曲ヨウキョク」
瑶 ヨウ・たま 王部
解字 正字は瑤で「王(玉)+䍃(ゆれる)」の会意形声。腰に帯びてゆれうごく佩玉ハイギョク(礼服を着用するとき腰につける玉)の美しい玉をいう。また、玉のように美しいこと。新字体に準じて、瑶を使う。
意味 (1)たま(瑶)。美しい玉。「瑶台ヨウダイ」(美しいたまで飾った高殿) (2)玉のように美しい。「瑶池ヨウチ」(宮中にある美しい池)「瑶林ヨウリン」(玉のように美しい林)
鷂 ヨウ・はいたか 鳥部
はいたか(ウィキペディアより)
解字 「鳥(とり)+䍃(ゆれる)」の会意形声。大空を気流にのり、ゆれるように飛ぶ鳥のはいたかをいう。
意味 はいたか(鷂)。はしたか。タカ科の小形の鳥。タカ科ハイタカ属に分類される猛禽類。オオタカと共に鷹狩に用いられた。
鰩 ヨウ・えい 魚部
エイ(海遊館)
解字 「魚(さかな)+䍃(ゆれる)」の会意形声。海のなかで扁平な左右のひれを揺り動かして動くエイをいう。
意味 えい(鰩)。エイは頭部から胴部と胸びれが一体になって全体が扁平になり、大きく水平に広がった胸びれの縁の薄い部分を波打たせて遊泳する魚。
形声字
徭 ヨウ・えだち 彳部
解字 「彳(ゆく)+䍃(ヨウ)」の形声。ヨウは傭ヨウ(人を使う)に通じ。人に使われる為に出かけて行くこと。傭ヨウと徭ヨウの上・中古音は、声母(冒頭の子音)が餘ヨで共通しており類似音であった。
意味 えだち(徭)。賦役。人民に課する労役。「徭役ヨウエキ」(人民に課す労働や兵役)「徭戍ヨウジュ」(徭役につき辺境を守る兵卒)
遥[遙] ヨウ・はるか 辶部
解字 正字は「辶(ゆく)+䍃(=徭・徭役)」の形声。ヨウは徭ヨウ(徭役)に通じる。課された労役や兵役につくため、遠くまで行くこと。新字体に準じて、遥を使う。
意味 (1)はるか(遥か)。とおい。「遥拝ヨウハイ」(遠い所から拝む)「遥望ヨウボウ」(遠くから眺める。また、遠くを眺める) (2)(揺ヨウ(ゆれる)に通じ)ゆらゆらと歩く。そぞろ歩く。「逍遥ショウヨウ」(ぶらぶらと歩くこと。散歩)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。

https://www.duitang.com/blog/?id=111607055

解字 篆文は「缶フ(ほとぎ。うつわ)+月(=肉にく)」の形声。[説文解字]は、「瓦器なり。缶に従い肉の声。発音は「以周切(イウ)」とする。つまり肉は発音に関係しているだけで肉の意味はないということである。肉の発音は、[新大字典(講談社)]に3種類あり、①呉音が二ク、漢音がジク、②呉音ニュ、漢音ジュウ(ジウ)、③呉音ニュ、漢音ジュ、である。
[説文解字]は䍃の発音をイウとしているので、①呉音のNIKUの発音からNとKが取れるとIU(イウ)になる。また②の呉音ニュ(NYU)からNが取れるとYU(ユ)になり、初期の音と考えられるユウ(イウ)・ユが出てくる。ヨウの発音は後代になってできたものであろう。では、ユウ(イウ)という缶(ほとぎ)はどんな器なのだろうか。缶の「ほとぎ」とは水などを入れた瓦や青銅の器である。[説文解字]は瓦器とするが、春秋戦国期には青銅器の缶が非常に多く制作されているので青銅の缶も対象になる。
中国の検索サイトで缶をさがすと面白い形の缶が見つかった。写真の盥缶カンフという手洗いの水をいれる器(ほとぎの一種)である。これは青銅製で戦国時代(BC8~5世紀)とされ、古道具のようである。同じ形のものが随州市博物館の曽乙侯墓出土青銅器で紹介されているので当該写真の真贋はともかくこのような器があったことは確実である。
私が注目するのは缶の左右の耳から垂れ下がっている環である。この環は何のためにあるのだろうか。それは水をいれた缶(ほとぎ)を運ぶために二つの環に棒を通して持ち上げ、運ぶためのものだろう。または両手で環を持って運んだのかもしれない。そのとき缶はゆらゆらとゆれる。䍃には「ゆれる」というイメージがあり、こうした環付きの缶のゆれるさまから、イメージが成立したのではなかろうか。 新字体では、䍃⇒揺の右辺となる。
意味 かめ。もたい。ほとぎ。水などを入れる器。
イメージ
「もたい」(䍃・窰)
「ゆれる」(揺・謡・瑶・鰩)
「形声字」(徭・遥)
音の変化 ヨウ:䍃・窰・揺・謡・瑶・鰩・徭・遥
もたい・かめ
窰 ヨウ・かま 穴部
解字 「穴(よこあな)+䍃(かめ・もたい)」の会意形声。䍃はここで土のかめ・もたい。成形されたかめを横穴にいれて焼くこと。土器を焼く「かま」の意となる。また、横穴の意から黄土高原に住む住民のあいだで作られた横穴住居をいう。

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1619985429489974672&wfr=spider&for=pc
意味 (1)かま(窰)。=窯ヨウ。陶器を焼くかま。「窰業ヨウギョウ」「陶窰トウヨウ」「官窰カンヨウ」「民窰ミンヨウ」 (2)横穴住居。「窰洞ヤオトン」( 中国北部の黄土地帯に広範にみられる横穴式の洞穴住居)
ゆれる
揺 ヨウ・ゆれる・ゆらぐ・ゆする 扌部
解字 旧字は搖で「扌(手)+䍃(ゆれる)」の会意形声。䍃には、ゆれるイメージがあり、扌(手)をつけて、ゆれる意味を補足した。新字体は、揺に変化。
意味 ゆれる(揺れる)。ゆする(揺する)。ゆらぐ(揺らぐ)。「揺籃ヨウラン・ゆりかご」「揺曳ヨウエイ」(ゆらゆらとなびく)「動揺ドウヨウ」(ゆれうごく)
謡 ヨウ・うたう・うたい 言部
解字 旧字は謠で「言(ことば)+䍃(ゆれる)」の会意形声。ゆれうごくように抑揚をつけて言葉を出すこと。節をつけてうたうこと。楽器の伴奏を伴わないうたを言った。新字体は、謡に変化。
意味 (1)うたう(謡う)。うた。はやりうた。「童謡ドウヨウ」「民謡ミンヨウ」「歌謡カヨウ」 (2)うたい(謡)。能のうたい。「謡曲ヨウキョク」
瑶 ヨウ・たま 王部
解字 正字は瑤で「王(玉)+䍃(ゆれる)」の会意形声。腰に帯びてゆれうごく佩玉ハイギョク(礼服を着用するとき腰につける玉)の美しい玉をいう。また、玉のように美しいこと。新字体に準じて、瑶を使う。
意味 (1)たま(瑶)。美しい玉。「瑶台ヨウダイ」(美しいたまで飾った高殿) (2)玉のように美しい。「瑶池ヨウチ」(宮中にある美しい池)「瑶林ヨウリン」(玉のように美しい林)
鷂 ヨウ・はいたか 鳥部

解字 「鳥(とり)+䍃(ゆれる)」の会意形声。大空を気流にのり、ゆれるように飛ぶ鳥のはいたかをいう。
意味 はいたか(鷂)。はしたか。タカ科の小形の鳥。タカ科ハイタカ属に分類される猛禽類。オオタカと共に鷹狩に用いられた。
鰩 ヨウ・えい 魚部

解字 「魚(さかな)+䍃(ゆれる)」の会意形声。海のなかで扁平な左右のひれを揺り動かして動くエイをいう。
意味 えい(鰩)。エイは頭部から胴部と胸びれが一体になって全体が扁平になり、大きく水平に広がった胸びれの縁の薄い部分を波打たせて遊泳する魚。
形声字
徭 ヨウ・えだち 彳部
解字 「彳(ゆく)+䍃(ヨウ)」の形声。ヨウは傭ヨウ(人を使う)に通じ。人に使われる為に出かけて行くこと。傭ヨウと徭ヨウの上・中古音は、声母(冒頭の子音)が餘ヨで共通しており類似音であった。
意味 えだち(徭)。賦役。人民に課する労役。「徭役ヨウエキ」(人民に課す労働や兵役)「徭戍ヨウジュ」(徭役につき辺境を守る兵卒)
遥[遙] ヨウ・はるか 辶部
解字 正字は「辶(ゆく)+䍃(=徭・徭役)」の形声。ヨウは徭ヨウ(徭役)に通じる。課された労役や兵役につくため、遠くまで行くこと。新字体に準じて、遥を使う。
意味 (1)はるか(遥か)。とおい。「遥拝ヨウハイ」(遠い所から拝む)「遥望ヨウボウ」(遠くから眺める。また、遠くを眺める) (2)(揺ヨウ(ゆれる)に通じ)ゆらゆらと歩く。そぞろ歩く。「逍遥ショウヨウ」(ぶらぶらと歩くこと。散歩)
<紫色は常用漢字>
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