増訂しました。
里 リ・さと 里部 lǐ・li
上は里、下は土
金文は「田(区画された耕地)+土(つち)」の会意。土は下図の甲骨文で、土をまるめて盛った形の象形。単独では①土地(支配下の領域)②大地の神格、の意味で用いられている。金文の土は第二字(下)で里の下部と同じ形になったが、土を祭る(=社やしろ)意味がある。ここから、里は耕地とその土地神を祀(まつ)る場所がある集落(さと)をいう。金文の意味は[簡明金文詞典]に、①基層となる住民の組織、②里をつかさどる宰相である「里人リジン」「里君リクン」の意味があり、すでに住民を治める地方組織が確立されている。篆文から現代字と同じ形になった。また、耕地の大きさから、距離の単位も表す。
意味 (1)さと(里)。むらざと。いなか。「村里むらざと」「郷里キョウリ」「里謡リヨウ」(民間で歌い伝えた歌=俚謡)(2)みちのり。距離の単位。一里は周代で三百歩(405m)、現代中国は500m、日本では約3.9 km。「里程リテイ」(みちのり)「五里霧中ゴリムチュウ」(広さ五里にわたる霧の中にいる)「千里眼センリガン」
イメージ
「村里・いなか」(里・俚)
意味(2)の、みちのりから「距離の単位」(哩・浬)
区画された耕地に「すじめがつく」(理・裏・鯉)
「形声字」(狸・埋・霾・厘・糎)
音の変化 リ:里・俚・狸・理・裏・鯉 リン:厘 マイ:埋 バイ:霾 センチ:糎 マイル:哩 カイリ:浬
村里・いなか
俚 リ イ部 lǐ
解字 「イ(人)+里(村里・いなか)」の会意形声。村里に住む人。都ふうでない人。
意味 いやしい。いなかくさい。「俚言リゲン」(①上品でない言葉・②地方の特有の言葉)「俚俗リゾク」「俚諺リゲン」(民間のことわざ)「俚歌リカ」(民間で流行する歌)
距離の単位
哩 リ・マイル 口部 lī・lǐ・li
解字 「口(くちまね)+里(距離の単位)」の会意形声。一里の長さを英語で口まねする意で、英語のマイル(mile)を表す。 意味 マイル(哩)。1マイルは1.6km。
浬 リ・カイリ 氵部 lǐ・lí
解字 「氵(海)+里(距離の単位)」の会意形声。海で用いる長さの単位を、浬リ・カイリといい、(海里)の意。 意味(1)カイリ(浬)。1海里は1.852km。(2)ノット(浬)。1ノットは1海里/毎時
すじめがつく
理 リ・ことわり・おさめる 玉部 lǐ
解字 「王(=玉)+里(すじめがつく)」の会意形声。宝石の表面にすけて見えるすじめ。転じて、物事の筋道・ことわりの意となる。また、玉の原石を磨いて肌理(きめ)を出すことから、ととのえる意がある。
意味 (1)宝石のすじめ。きめ。もよう。「玉理ギョクリ」(玉のあや・模様)「節理セツリ」(①岩石の割れ目。②物事の筋道)「地理チリ」(①土地のすじめ・もよう、②地上の土地利用の状態、③地理学の略)(2)ことわり。物事のすじみち。「理解リカイ」「理由リユウ」(3)おさめる。ととのえる。「管理カンリ」「理事リジ」「整理セイリ」(4)自然科学。「理科リカ」「理学リガク」
裏[裡] リ・うら 衣部 lǐ
解字 「衣(ころも)+里(すじめがつく)」の会意形声。衣を縫うとき、縫い目(すじめ)が表にでないように縫う。すると縫い目が裏側になるので、うらの意味を表す。また、衣の裏である内側をいう。裡リは同字。もと、うちがわ・内部の意で、よく用いられた。
意味 (1)うら(裏)。うらがわ。「裏面リメン」「表裏ヒョウリ」「裏打うらうち」(2)うち(内)。うちがわ。「脳裏ノウリ」(頭のなか)「屋根裏やねうら」「袖裏そでうら」
鯉 リ・こい 魚部 lǐ
鯉(こい)(「市場魚介類図鑑・コイ」より)
解字 「魚(さかな)+里(すじめがつく)」の会意形声。うろこのすじめが左右斜めにはっきり見える魚の「こい」。観賞用・食用として珍重される。
意味 (1)こい(鯉)。コイ科の淡水魚。「緋鯉ひごい」「錦鯉にしきごい」「鯉濃こいこく」(輪切りにした鯉を濃い味噌汁で煮た料理)「鯉幟こいのぼり」(2)人名。「孔鯉コウリ」(孔子の子の名)「鯉庭リテイ」(子が父の教えを受ける所。孔子が子の鯛を庭でさとした故事による。=庭訓テイキン)
形声字
狸[貍] リ・たぬき 犭部 lí
解字 「犭(いぬ)+里(リ)」の形声。リという名の犬に似た動物の「たぬき」を狸リという。本字は貍リで「豸むじなへん(野生動物)+里(リ)」の形声で貍リ(たぬき)の意。楷書から略字の狸が用いられた。
意味 (1)たぬき(狸)。イヌ科の哺乳類。山地・草地に穴を掘って巣として生活する。「狐狸コリ」(きつねとたぬき)「狸穴まみあな」(狸が住んでいる所を意味した地名)(2)(化けて人をだますとされたことから)ずるがしこい人。「狸親父たぬきおやじ」
埋 マイ・メ・バイ・うめる・うまる・うもれる 土部 mái・mán
解字 「土(つち)+里(リ⇒マイ)」の形声。土のなかに物をうずめることを埋マイという。
意味 (1)うめる(埋める)。うずめる。「埋葬マイソウ」「埋蔵マイゾウ」(地下などにうずもれていること)(2)うまる(埋まる)。うもれる(埋もれる)。「埋没マイボツ」(①埋もれて没する、②世に知られていない)(3)(国)うめる(埋める)。他の物でおぎなう。「損を穴埋めする」
霾 バイ・マイ・つちふる 雨部 mái
解字 「雨(ふる)+貍バイ(=薶(埋):うずめる)」の会意形声。雨は、ここで降る意。貍バイは同音の薶バイ(埋の異体字)に通じ、うずめる意。土ぼこりが降り地上をうずめること。中国で黄砂が降る意で用いられる。
意味 つちふる(霾ふる)。モンゴルや中国北部の黄土地帯で、春の吹き荒れる季節風によって大量の細かな砂塵が空高く舞い上がって大気中に広がり、遠くまで及ぶ現象。3月から5月に多く、日本にも飛来する。春の季語。「霾翳バイエイ」(巻き上げられた土砂が空を覆って暗いこと)「霾晦バイカイ・よなぐもり」(風が土をふらして暗いこと。訓の[よな]は、日本で噴火による降灰をいう)「霾風バイフウ」(土ふらす風)「黄霾コウバイ」(黄砂の土ふる)
厘[釐] リン 厂部 lí
解字 本字は釐リで意味は、①おさめる。あらためる。「釐正リセイ」(正しくあらためる)「釐定リテイ」(おさめさだめる) ②りん。単位の名。分ブの一〇分の一。 ③きわめてわずか。「毫釐ゴウリ」(ごくわずか)などの意味がある。厘リンは意味の、②りん。単位の名。③きわめてわずか、を表すために、釐リを簡略化し発音を厘リンとした字。
意味 (1)貨幣の単位。円の1000分の1。1銭 の10分の1。(2)長さの単位。尺の1000分の1。(3)重さの単位。匁(もんめ)の100分の1。(4)割合の単位。1の1000分の1。「五厘差で首位になる」(4)きわめてわずか。「厘毛リンモウ」(①ごくわずかな金銭、②わずか)
糎<国字> センチメートル 米部 lí
解字 「米(メートル)+厘(少数の単位。百分の1)」の会意。1メートルの百分の1の長さ。 意味 センチメートル(糎)。長さの単位。1メートルの100分の1。
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里 リ・さと 里部 lǐ・li
上は里、下は土
金文は「田(区画された耕地)+土(つち)」の会意。土は下図の甲骨文で、土をまるめて盛った形の象形。単独では①土地(支配下の領域)②大地の神格、の意味で用いられている。金文の土は第二字(下)で里の下部と同じ形になったが、土を祭る(=社やしろ)意味がある。ここから、里は耕地とその土地神を祀(まつ)る場所がある集落(さと)をいう。金文の意味は[簡明金文詞典]に、①基層となる住民の組織、②里をつかさどる宰相である「里人リジン」「里君リクン」の意味があり、すでに住民を治める地方組織が確立されている。篆文から現代字と同じ形になった。また、耕地の大きさから、距離の単位も表す。
意味 (1)さと(里)。むらざと。いなか。「村里むらざと」「郷里キョウリ」「里謡リヨウ」(民間で歌い伝えた歌=俚謡)(2)みちのり。距離の単位。一里は周代で三百歩(405m)、現代中国は500m、日本では約3.9 km。「里程リテイ」(みちのり)「五里霧中ゴリムチュウ」(広さ五里にわたる霧の中にいる)「千里眼センリガン」
イメージ
「村里・いなか」(里・俚)
意味(2)の、みちのりから「距離の単位」(哩・浬)
区画された耕地に「すじめがつく」(理・裏・鯉)
「形声字」(狸・埋・霾・厘・糎)
音の変化 リ:里・俚・狸・理・裏・鯉 リン:厘 マイ:埋 バイ:霾 センチ:糎 マイル:哩 カイリ:浬
村里・いなか
俚 リ イ部 lǐ
解字 「イ(人)+里(村里・いなか)」の会意形声。村里に住む人。都ふうでない人。
意味 いやしい。いなかくさい。「俚言リゲン」(①上品でない言葉・②地方の特有の言葉)「俚俗リゾク」「俚諺リゲン」(民間のことわざ)「俚歌リカ」(民間で流行する歌)
距離の単位
哩 リ・マイル 口部 lī・lǐ・li
解字 「口(くちまね)+里(距離の単位)」の会意形声。一里の長さを英語で口まねする意で、英語のマイル(mile)を表す。 意味 マイル(哩)。1マイルは1.6km。
浬 リ・カイリ 氵部 lǐ・lí
解字 「氵(海)+里(距離の単位)」の会意形声。海で用いる長さの単位を、浬リ・カイリといい、(海里)の意。 意味(1)カイリ(浬)。1海里は1.852km。(2)ノット(浬)。1ノットは1海里/毎時
すじめがつく
理 リ・ことわり・おさめる 玉部 lǐ
解字 「王(=玉)+里(すじめがつく)」の会意形声。宝石の表面にすけて見えるすじめ。転じて、物事の筋道・ことわりの意となる。また、玉の原石を磨いて肌理(きめ)を出すことから、ととのえる意がある。
意味 (1)宝石のすじめ。きめ。もよう。「玉理ギョクリ」(玉のあや・模様)「節理セツリ」(①岩石の割れ目。②物事の筋道)「地理チリ」(①土地のすじめ・もよう、②地上の土地利用の状態、③地理学の略)(2)ことわり。物事のすじみち。「理解リカイ」「理由リユウ」(3)おさめる。ととのえる。「管理カンリ」「理事リジ」「整理セイリ」(4)自然科学。「理科リカ」「理学リガク」
裏[裡] リ・うら 衣部 lǐ
解字 「衣(ころも)+里(すじめがつく)」の会意形声。衣を縫うとき、縫い目(すじめ)が表にでないように縫う。すると縫い目が裏側になるので、うらの意味を表す。また、衣の裏である内側をいう。裡リは同字。もと、うちがわ・内部の意で、よく用いられた。
意味 (1)うら(裏)。うらがわ。「裏面リメン」「表裏ヒョウリ」「裏打うらうち」(2)うち(内)。うちがわ。「脳裏ノウリ」(頭のなか)「屋根裏やねうら」「袖裏そでうら」
鯉 リ・こい 魚部 lǐ
鯉(こい)(「市場魚介類図鑑・コイ」より)
解字 「魚(さかな)+里(すじめがつく)」の会意形声。うろこのすじめが左右斜めにはっきり見える魚の「こい」。観賞用・食用として珍重される。
意味 (1)こい(鯉)。コイ科の淡水魚。「緋鯉ひごい」「錦鯉にしきごい」「鯉濃こいこく」(輪切りにした鯉を濃い味噌汁で煮た料理)「鯉幟こいのぼり」(2)人名。「孔鯉コウリ」(孔子の子の名)「鯉庭リテイ」(子が父の教えを受ける所。孔子が子の鯛を庭でさとした故事による。=庭訓テイキン)
形声字
狸[貍] リ・たぬき 犭部 lí
解字 「犭(いぬ)+里(リ)」の形声。リという名の犬に似た動物の「たぬき」を狸リという。本字は貍リで「豸むじなへん(野生動物)+里(リ)」の形声で貍リ(たぬき)の意。楷書から略字の狸が用いられた。
意味 (1)たぬき(狸)。イヌ科の哺乳類。山地・草地に穴を掘って巣として生活する。「狐狸コリ」(きつねとたぬき)「狸穴まみあな」(狸が住んでいる所を意味した地名)(2)(化けて人をだますとされたことから)ずるがしこい人。「狸親父たぬきおやじ」
埋 マイ・メ・バイ・うめる・うまる・うもれる 土部 mái・mán
解字 「土(つち)+里(リ⇒マイ)」の形声。土のなかに物をうずめることを埋マイという。
意味 (1)うめる(埋める)。うずめる。「埋葬マイソウ」「埋蔵マイゾウ」(地下などにうずもれていること)(2)うまる(埋まる)。うもれる(埋もれる)。「埋没マイボツ」(①埋もれて没する、②世に知られていない)(3)(国)うめる(埋める)。他の物でおぎなう。「損を穴埋めする」
霾 バイ・マイ・つちふる 雨部 mái
解字 「雨(ふる)+貍バイ(=薶(埋):うずめる)」の会意形声。雨は、ここで降る意。貍バイは同音の薶バイ(埋の異体字)に通じ、うずめる意。土ぼこりが降り地上をうずめること。中国で黄砂が降る意で用いられる。
意味 つちふる(霾ふる)。モンゴルや中国北部の黄土地帯で、春の吹き荒れる季節風によって大量の細かな砂塵が空高く舞い上がって大気中に広がり、遠くまで及ぶ現象。3月から5月に多く、日本にも飛来する。春の季語。「霾翳バイエイ」(巻き上げられた土砂が空を覆って暗いこと)「霾晦バイカイ・よなぐもり」(風が土をふらして暗いこと。訓の[よな]は、日本で噴火による降灰をいう)「霾風バイフウ」(土ふらす風)「黄霾コウバイ」(黄砂の土ふる)
厘[釐] リン 厂部 lí
解字 本字は釐リで意味は、①おさめる。あらためる。「釐正リセイ」(正しくあらためる)「釐定リテイ」(おさめさだめる) ②りん。単位の名。分ブの一〇分の一。 ③きわめてわずか。「毫釐ゴウリ」(ごくわずか)などの意味がある。厘リンは意味の、②りん。単位の名。③きわめてわずか、を表すために、釐リを簡略化し発音を厘リンとした字。
意味 (1)貨幣の単位。円の1000分の1。1銭 の10分の1。(2)長さの単位。尺の1000分の1。(3)重さの単位。匁(もんめ)の100分の1。(4)割合の単位。1の1000分の1。「五厘差で首位になる」(4)きわめてわずか。「厘毛リンモウ」(①ごくわずかな金銭、②わずか)
糎<国字> センチメートル 米部 lí
解字 「米(メートル)+厘(少数の単位。百分の1)」の会意。1メートルの百分の1の長さ。 意味 センチメートル(糎)。長さの単位。1メートルの100分の1。
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