辥 ゲツ・セツ 辛部
甲骨文第1字は、「𠂤タイ+䇂ケン(刃物の象形)」の形。𠂤タイは切り取った足の肉であり、これに刃物の䇂ケンを加え、おそらく足首を切断する刑罰を表している。第2字は𠂤タイの上に足の形の止をくわえ、右辺は䇂ケンの下部が湾曲した形。甲骨文字では罪科から転じて祟りの意味で用いられている[甲骨文字辞典を要約させていただいた]。金文で第2字の形が引き継がれ、右辺は辛に変化した(止と辛のあいだに切断をしめす横線が入っている)。篆文で足の形である止⇒屮に変化した辥になった。意味は後漢の[説文解字]が「辠(つみ)也(なり)」としており罪科の意。また甲骨文字の祟りの意は、子がついた孼ゲツに残っている。
意味 (1)罪科。 (2)たたり
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「足元を切られる」(櫱)
櫱ゲツの意味の「ひこばえ」(孼・糵)
「セツの音」(薛)
発音の変化 ゲツ:櫱・孼・糵 セツ:薛
櫱[蘖] ゲツ・ひこばえ 木部
ひこばえ
解字 「木(き)+辥ゲツ(足元を切られる)」の会意形声。木が根元の近くで切られ、そこから生えた「ひこばえ」をいう。
意味 ひこばえ(櫱)。切り株から出た芽。「萌櫱ホウゲツ」(芽生えとひこばえ。種子から生じた芽と切り株から生じた芽)「分櫱ブンゲツ」(イネ科などの植物の根元付近から新芽が伸びて株分かれすること)
孼[孽] ゲツ・ひこばえ・わきばら・わざわい 子部
解字 「子(こども)+辥ゲツ(=櫱。ひこばえ)」の会意形声。ひこばえの子ども。すなわち本流である嫡子でなく傍流の子をいう。また、本来のひこばえの意、甲骨文字の意味である「たたり」の意を引き継いでいる。
意味 (1)わきばら。めかけの生んだ子。庶子。「孼子ゲツシ」 (2)ひこばえ。切り株から出た芽。「孼牙ゲツガ」 (3)わざわい。災難。わざわいする。「災孼サイゲツ」 (4)悪い。つみ。
糵 ゲツ・もやし 米部
解字 旧字は「米(穀類)+辥ゲツ(=櫱・孼。ひこばえ」の会意形声。穀類の種子を光を当てずに発芽させると、ひょろっと一本のひこばえのように出てくる「もやし」をいう。また「麹糵キクゲツ」で、こうじをいう。旧字はパソコンで表示されないので、簡略体の糵がもっぱら使われている。
意味 (1)もやし(糵)。穀類などの種子を光を当てずに発芽させたもの総称。現在は、大豆、緑豆、ブラックマッペ(毛蔓小豆)などを原料とするものが多い。 (2)「麹糵キクゲツ」とは、こうじ(麹)のこと、「糵酒ゲツシュ」(甘酒)
セツの音
薛 セツ・かわらよもぎ・はますげ 艸部
解字 篆文は「艸(くさ)+辥(セツの音)」の形声。この字は「艸+屮+𠂤+辛」であるが、隷書レイショから辥の屮がとれた薛になった。草冠があるので、セツという名の、かわらよもぎ・はますげなどの草を指す。
意味 (1)かわらよもぎ。キク科の多年草。 (3)はますげ。カヤツリグサ科の多年草。 (3)国名。姓。「薛国セツコク」(古代中国の山東省にあった国)
甲骨文第1字は、「𠂤タイ+䇂ケン(刃物の象形)」の形。𠂤タイは切り取った足の肉であり、これに刃物の䇂ケンを加え、おそらく足首を切断する刑罰を表している。第2字は𠂤タイの上に足の形の止をくわえ、右辺は䇂ケンの下部が湾曲した形。甲骨文字では罪科から転じて祟りの意味で用いられている[甲骨文字辞典を要約させていただいた]。金文で第2字の形が引き継がれ、右辺は辛に変化した(止と辛のあいだに切断をしめす横線が入っている)。篆文で足の形である止⇒屮に変化した辥になった。意味は後漢の[説文解字]が「辠(つみ)也(なり)」としており罪科の意。また甲骨文字の祟りの意は、子がついた孼ゲツに残っている。
意味 (1)罪科。 (2)たたり
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「足元を切られる」(櫱)
櫱ゲツの意味の「ひこばえ」(孼・糵)
「セツの音」(薛)
発音の変化 ゲツ:櫱・孼・糵 セツ:薛
櫱[蘖] ゲツ・ひこばえ 木部
ひこばえ
解字 「木(き)+辥ゲツ(足元を切られる)」の会意形声。木が根元の近くで切られ、そこから生えた「ひこばえ」をいう。
意味 ひこばえ(櫱)。切り株から出た芽。「萌櫱ホウゲツ」(芽生えとひこばえ。種子から生じた芽と切り株から生じた芽)「分櫱ブンゲツ」(イネ科などの植物の根元付近から新芽が伸びて株分かれすること)
孼[孽] ゲツ・ひこばえ・わきばら・わざわい 子部
解字 「子(こども)+辥ゲツ(=櫱。ひこばえ)」の会意形声。ひこばえの子ども。すなわち本流である嫡子でなく傍流の子をいう。また、本来のひこばえの意、甲骨文字の意味である「たたり」の意を引き継いでいる。
意味 (1)わきばら。めかけの生んだ子。庶子。「孼子ゲツシ」 (2)ひこばえ。切り株から出た芽。「孼牙ゲツガ」 (3)わざわい。災難。わざわいする。「災孼サイゲツ」 (4)悪い。つみ。
糵 ゲツ・もやし 米部
解字 旧字は「米(穀類)+辥ゲツ(=櫱・孼。ひこばえ」の会意形声。穀類の種子を光を当てずに発芽させると、ひょろっと一本のひこばえのように出てくる「もやし」をいう。また「麹糵キクゲツ」で、こうじをいう。旧字はパソコンで表示されないので、簡略体の糵がもっぱら使われている。
意味 (1)もやし(糵)。穀類などの種子を光を当てずに発芽させたもの総称。現在は、大豆、緑豆、ブラックマッペ(毛蔓小豆)などを原料とするものが多い。 (2)「麹糵キクゲツ」とは、こうじ(麹)のこと、「糵酒ゲツシュ」(甘酒)
セツの音
薛 セツ・かわらよもぎ・はますげ 艸部
解字 篆文は「艸(くさ)+辥(セツの音)」の形声。この字は「艸+屮+𠂤+辛」であるが、隷書レイショから辥の屮がとれた薛になった。草冠があるので、セツという名の、かわらよもぎ・はますげなどの草を指す。
意味 (1)かわらよもぎ。キク科の多年草。 (3)はますげ。カヤツリグサ科の多年草。 (3)国名。姓。「薛国セツコク」(古代中国の山東省にあった国)