聟セイ・むこを解字し追加しました。この字はほとんどの字典が、婿セイ・むこの俗字として成り立ちの説明をしていません。日本ではよく使われる字ですので、私見ですが解字してみました。
疋 ショ・ソ・ヒキ・ヒツ・ひき 疋部ひき

解字 甲骨文と篆文は足と同形で、脚の下半部の象形。現代字は上部がフに変化した疋になった。中国で匹(ひき)の俗字として用いられたため、匹の意味で使われる。疋は部首となる。
意味 (1)ひき(疋)。匹(ひき)。布の長さの単位。動物を数える語。昔の金銭の単位。 (2)ひき(疋)。匹(ひき)。対になる。二つが並ぶ。 (3)あし(足)。
参考 疋ソ・ショは、部首「疋ひき」になる。漢字の下部や左辺に付いて、あしの意を表す。
主な字に、疑ギ(疋を含む会意)・疎ソ(束+音符「疋ソ」)がある。疑ギは音符になる。
イメージ
匹の意の「相対する」(疋・胥・婿・壻・聟)
本来の意味である「あし・あるく」(旋・楚・礎・疎)
音の変化 ショ・ソ:疋・胥 ソ:楚・礎・疎 セイ:婿・壻・聟 セン:旋
相対する
胥 ショ・あい 月部にく
解字 「月(からだ)+疋(相対する)」の会意形声。相対する人の意で、民に相対して雑務をした下級役人をいう。
意味 (1)民と相対する下級役人。「胥吏ショリ」(下級役人) (2)たがいに。あい。相対。「胥怨ショエン」(あい怨む) (3)みな。ともに。
婿 セイ・むこ 女部
解字 「女(おんな)+胥(相対する人)」の会意。胥は相対する人・相方をいう。婿は、女の相方の意で、娘と結ばれてペアをなした相手の男をいう。
意味 むこ(婿)。「婿入り」「花婿はなむこ」「女婿ジョセイ」(むすめむこ)
壻 セイ・むこ 士部
解字 「士シ(おとこ)+胥(=婿の略体。むこ)」の会意。婿の意味を士(おとこ)を付けて表した字。
意味 むこ(壻)。「女壻ジョセイ」(むすめむこ)
聟 セイ・むこ 士部
解字 「知(知る)+耳(みみ)」の会意。胥ショの音符である偦ショ(亻+胥)・諝ショ(言+胥)には、知る意味がある。胥ショはこの二字の略体であり知を意味している。そこに耳をつけた聟セイは、耳で知る意、全体で聡明の意。同時に知は胥ショ(相対する人)を意味しているので、聡明な聟(むこ)を表す。この字はほとんどの字典が、婿の俗字として、成り立ちの説明をしていない。そこで私見であるが解字してみた。
意味 (1)むこ(聟)。 結婚して妻の家系に入った男性。娘の夫。「聟入むこいり」 「娘聟むすめむこ」。「蛇聟入へびむこいり」(昔ばなしの一話)「鶏聟にわとりむこ」(狂言の演目の一つ) (2)地名。「聟島むこじま」(東京都小笠原村にある無人島)
あし・あるく
旋 セン・めぐる 方部

解字 甲骨文は吹き流しのついた旗と進行を意味する止(あし)が描かれ、軍旗を持って進む様子を表しており、原義は軍事進出の意[甲骨文字辞典]。金文は止が吹き流しの下にきた形となり、篆文は、旗竿⇒方、なびく吹き流し⇒𠆢、止⇒足に変化。現代字は「方𠂉(旗の略体)+疋」の旋になった。当初、軍旗を持ってすすむ意であったが、のち、(戦場を)めぐる・めぐってもどる意となった。
意味 (1)めぐる(旋る)。ぐるぐるまわる。「旋回センカイ」「旋転センテン」 (2)相手との間を行き来する。とりもつ。「斡旋アッセン」(人と人のあいだをとりもつ)「周旋シュウセン」(土地・家屋の売買、雇用などで人と人のあいだをとりもつ) (3)かえる。「凱旋ガイセン」(戦いに勝ってかえる)
楚 ソ・ショ・いばら 木部

解字 古代文字は、「林(はやし)+足(あしであるく)」の会意形声で、林の中をあるく形。これらの林は、低木でトゲのあるイバラや、同じく低木のニンジンボクとされる。また、イバラや低木が生い茂る地方を意味する「楚」の国名ともなった。楷書から下部が足⇒疋に変化した。
意味 (1)いばら(楚)。うばら。いばらのトゲ。「苦楚クソ」(いばらのトゲが痛く苦しい)「苦楚クソを嘗(な)める」(辛酸をなめる) (2)にんじんぼく。クマツヅラ科の落葉低木。(ニンジンボクが紫の小さな花を咲かせることから)すっきりした。清らかで美しい。「清楚セイソ」「楚楚ソソ」(清らで美しい)(3)(にんじんぼくの)むち。しもと。すわえ。(4)そ(楚)。中国の国の名前。長江中流域を領有した春秋戦国時代の国など。長江下流一体の地域。「四面楚歌シメンソカ」
礎 ソ・いしずえ 石部
解字 「石(いし)+楚(=疋。あし)」の会意形声。ここで楚ソは疋ソ・ショ(足)の意。建物を支える足(=はしら)の土台石をいう。楚ソと礎ソは発音が同じだが意味の関連はない。
意味 (1)間隔をあけて並べた建物の土台石。いしずえ(礎)。「礎石ソセキ」 (2)物事のもとい。「基礎キソ」
疎 ソ・うとい・うとむ・おろそか 疋部

解字 隷書(漢代の役人などが主に使用した書体)は、「束(たばねる・くくる)+足ソク(あし)」の会意形声。足がくくられた状態で、うまくすすめないこと。出歩くのが間遠になり相手とのコミュニケーションが不足することから、うとい意となり、さらに転じて、おろそか・まばらの意となる。現代字は足⇒疋の変形字になった疎に変化した。踈ソは異体字。
意味 (1)うとい(疎い)。うとむ(疎む)。親しくない。よく知らない。遠ざける。「疎遠ソエン」「疎外ソガイ」(うとんじて、よそよそしくする)「疎覚(うろおぼ)え」(はっきりと覚えていない) (2)おろそか(疎か)。粗末に扱う。「疎忽ソコツ」(かるはずみ。ぶしつけ) (3)まばら(疎ら)。あらい。「疎密ソミツ」(まばらなことと、すきまのないこと)「過疎カソ」(まばらすぎること)⇔過密。(4)(疏ソ:とおる、に通じ)とおる。とおす。「疎通ソツウ」(とどこおりなく通じる)「意思疎通イシソツウ」「疎開ソカイ」(開いて通じる。空襲などの被害を減らすため、都会を開いて人口を田舎へ分散する。)
疏 ソ <とおる>
疏 ソ・とおる・とおす 疋部
解字 「㐬(ながれ出る)+疋ソ・ショ(あしですすむ)」の会意形声。流れがすすむ形で、とおる・とおす意となる。また、疏通(意思が通じる)の意から、意見を述べた文章の意。
意味 (1)とおす(疏す)。とおる(疏る)。「疏水ソスイ」(土地に水路を設け通水させること)「琵琶湖疏水ビワコソスイ」(琵琶湖の水を京都へ流す水路)「疏通ソツウ」(意思の通じること) (2)しるす。「上疏ジョウソ」(上に奉る書状) (3)(疎ソに通じ)うとい。うとむ。「疏外ソガイ」(のけものにする)
イメージ
「とおる」(疏・梳・蔬)
音の変化 ソ:疏・梳・蔬
とおる
梳 ソ・ショ・くしけずる 木部
解字 「木(き)+㐬(=疏。とおる)」の会意形声。木製のクシで髪のあいだを通して髪をすく(くしけずる)こと。
意味 (1)くしけずる(梳る)。すく(梳く)。髪をすく。「梳櫛すきぐし」(髪をすく歯の細かいクシ)「梳沐ソモク」(髪をすき洗うこと)(2)くし(梳)。目の粗いくし。
蔬 ソ 艸部
解字 「艸(草)+疏(とおる)」の会意形声。畝をとおして(作って)そだてた野菜の意。水はけの悪い土地では排水のため、また一般の耕地では作業通路の確保のため畝をつくる。また、野菜だけで肉のない粗末な意もある。
意味 (1)な。あおもの。野菜。「蔬菜ソサイ」(野菜。あおもの)「蔬畦ソケイ」(野菜畑。畦は、うね) (2)そまつな。あらい。「蔬飯ソハン」(粗末な食事)
<紫色は常用漢字>
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疋 ショ・ソ・ヒキ・ヒツ・ひき 疋部ひき

解字 甲骨文と篆文は足と同形で、脚の下半部の象形。現代字は上部がフに変化した疋になった。中国で匹(ひき)の俗字として用いられたため、匹の意味で使われる。疋は部首となる。
意味 (1)ひき(疋)。匹(ひき)。布の長さの単位。動物を数える語。昔の金銭の単位。 (2)ひき(疋)。匹(ひき)。対になる。二つが並ぶ。 (3)あし(足)。
参考 疋ソ・ショは、部首「疋ひき」になる。漢字の下部や左辺に付いて、あしの意を表す。
主な字に、疑ギ(疋を含む会意)・疎ソ(束+音符「疋ソ」)がある。疑ギは音符になる。
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匹の意の「相対する」(疋・胥・婿・壻・聟)
本来の意味である「あし・あるく」(旋・楚・礎・疎)
音の変化 ショ・ソ:疋・胥 ソ:楚・礎・疎 セイ:婿・壻・聟 セン:旋
相対する
胥 ショ・あい 月部にく
解字 「月(からだ)+疋(相対する)」の会意形声。相対する人の意で、民に相対して雑務をした下級役人をいう。
意味 (1)民と相対する下級役人。「胥吏ショリ」(下級役人) (2)たがいに。あい。相対。「胥怨ショエン」(あい怨む) (3)みな。ともに。
婿 セイ・むこ 女部
解字 「女(おんな)+胥(相対する人)」の会意。胥は相対する人・相方をいう。婿は、女の相方の意で、娘と結ばれてペアをなした相手の男をいう。
意味 むこ(婿)。「婿入り」「花婿はなむこ」「女婿ジョセイ」(むすめむこ)
壻 セイ・むこ 士部
解字 「士シ(おとこ)+胥(=婿の略体。むこ)」の会意。婿の意味を士(おとこ)を付けて表した字。
意味 むこ(壻)。「女壻ジョセイ」(むすめむこ)
聟 セイ・むこ 士部
解字 「知(知る)+耳(みみ)」の会意。胥ショの音符である偦ショ(亻+胥)・諝ショ(言+胥)には、知る意味がある。胥ショはこの二字の略体であり知を意味している。そこに耳をつけた聟セイは、耳で知る意、全体で聡明の意。同時に知は胥ショ(相対する人)を意味しているので、聡明な聟(むこ)を表す。この字はほとんどの字典が、婿の俗字として、成り立ちの説明をしていない。そこで私見であるが解字してみた。
意味 (1)むこ(聟)。 結婚して妻の家系に入った男性。娘の夫。「聟入むこいり」 「娘聟むすめむこ」。「蛇聟入へびむこいり」(昔ばなしの一話)「鶏聟にわとりむこ」(狂言の演目の一つ) (2)地名。「聟島むこじま」(東京都小笠原村にある無人島)
あし・あるく
旋 セン・めぐる 方部

解字 甲骨文は吹き流しのついた旗と進行を意味する止(あし)が描かれ、軍旗を持って進む様子を表しており、原義は軍事進出の意[甲骨文字辞典]。金文は止が吹き流しの下にきた形となり、篆文は、旗竿⇒方、なびく吹き流し⇒𠆢、止⇒足に変化。現代字は「方𠂉(旗の略体)+疋」の旋になった。当初、軍旗を持ってすすむ意であったが、のち、(戦場を)めぐる・めぐってもどる意となった。
意味 (1)めぐる(旋る)。ぐるぐるまわる。「旋回センカイ」「旋転センテン」 (2)相手との間を行き来する。とりもつ。「斡旋アッセン」(人と人のあいだをとりもつ)「周旋シュウセン」(土地・家屋の売買、雇用などで人と人のあいだをとりもつ) (3)かえる。「凱旋ガイセン」(戦いに勝ってかえる)
楚 ソ・ショ・いばら 木部

解字 古代文字は、「林(はやし)+足(あしであるく)」の会意形声で、林の中をあるく形。これらの林は、低木でトゲのあるイバラや、同じく低木のニンジンボクとされる。また、イバラや低木が生い茂る地方を意味する「楚」の国名ともなった。楷書から下部が足⇒疋に変化した。
意味 (1)いばら(楚)。うばら。いばらのトゲ。「苦楚クソ」(いばらのトゲが痛く苦しい)「苦楚クソを嘗(な)める」(辛酸をなめる) (2)にんじんぼく。クマツヅラ科の落葉低木。(ニンジンボクが紫の小さな花を咲かせることから)すっきりした。清らかで美しい。「清楚セイソ」「楚楚ソソ」(清らで美しい)(3)(にんじんぼくの)むち。しもと。すわえ。(4)そ(楚)。中国の国の名前。長江中流域を領有した春秋戦国時代の国など。長江下流一体の地域。「四面楚歌シメンソカ」
礎 ソ・いしずえ 石部
解字 「石(いし)+楚(=疋。あし)」の会意形声。ここで楚ソは疋ソ・ショ(足)の意。建物を支える足(=はしら)の土台石をいう。楚ソと礎ソは発音が同じだが意味の関連はない。
意味 (1)間隔をあけて並べた建物の土台石。いしずえ(礎)。「礎石ソセキ」 (2)物事のもとい。「基礎キソ」
疎 ソ・うとい・うとむ・おろそか 疋部

解字 隷書(漢代の役人などが主に使用した書体)は、「束(たばねる・くくる)+足ソク(あし)」の会意形声。足がくくられた状態で、うまくすすめないこと。出歩くのが間遠になり相手とのコミュニケーションが不足することから、うとい意となり、さらに転じて、おろそか・まばらの意となる。現代字は足⇒疋の変形字になった疎に変化した。踈ソは異体字。
意味 (1)うとい(疎い)。うとむ(疎む)。親しくない。よく知らない。遠ざける。「疎遠ソエン」「疎外ソガイ」(うとんじて、よそよそしくする)「疎覚(うろおぼ)え」(はっきりと覚えていない) (2)おろそか(疎か)。粗末に扱う。「疎忽ソコツ」(かるはずみ。ぶしつけ) (3)まばら(疎ら)。あらい。「疎密ソミツ」(まばらなことと、すきまのないこと)「過疎カソ」(まばらすぎること)⇔過密。(4)(疏ソ:とおる、に通じ)とおる。とおす。「疎通ソツウ」(とどこおりなく通じる)「意思疎通イシソツウ」「疎開ソカイ」(開いて通じる。空襲などの被害を減らすため、都会を開いて人口を田舎へ分散する。)
疏 ソ <とおる>
疏 ソ・とおる・とおす 疋部
解字 「㐬(ながれ出る)+疋ソ・ショ(あしですすむ)」の会意形声。流れがすすむ形で、とおる・とおす意となる。また、疏通(意思が通じる)の意から、意見を述べた文章の意。
意味 (1)とおす(疏す)。とおる(疏る)。「疏水ソスイ」(土地に水路を設け通水させること)「琵琶湖疏水ビワコソスイ」(琵琶湖の水を京都へ流す水路)「疏通ソツウ」(意思の通じること) (2)しるす。「上疏ジョウソ」(上に奉る書状) (3)(疎ソに通じ)うとい。うとむ。「疏外ソガイ」(のけものにする)
イメージ
「とおる」(疏・梳・蔬)
音の変化 ソ:疏・梳・蔬
とおる
梳 ソ・ショ・くしけずる 木部
解字 「木(き)+㐬(=疏。とおる)」の会意形声。木製のクシで髪のあいだを通して髪をすく(くしけずる)こと。
意味 (1)くしけずる(梳る)。すく(梳く)。髪をすく。「梳櫛すきぐし」(髪をすく歯の細かいクシ)「梳沐ソモク」(髪をすき洗うこと)(2)くし(梳)。目の粗いくし。
蔬 ソ 艸部
解字 「艸(草)+疏(とおる)」の会意形声。畝をとおして(作って)そだてた野菜の意。水はけの悪い土地では排水のため、また一般の耕地では作業通路の確保のため畝をつくる。また、野菜だけで肉のない粗末な意もある。
意味 (1)な。あおもの。野菜。「蔬菜ソサイ」(野菜。あおもの)「蔬畦ソケイ」(野菜畑。畦は、うね) (2)そまつな。あらい。「蔬飯ソハン」(粗末な食事)
<紫色は常用漢字>
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