(朝日新聞 2010年12月18日)
■「共生の空間」白老に
■推進会議方針 儀式や儀礼実践
アイヌ政策推進会議(座長=仙谷由人官房長官)の作業部会は17日、アイヌ民族の歴史や文化などを国民が理解するための「民族共生の象徴空間」を白老町に整備する方針を決めた。アイヌ文化を守って儀式や儀礼を実践し、一般見学者もアイヌ文化を体験できるようにする。国のアイヌ施策の柱になるもので、観光振興の役割も期待される。
新施設は「先住民族の尊厳を尊重し、差別のない社会を築くための象徴」(2009年7月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告書)と意義付けられ、アイヌ民族最大の団体・北海道アイヌ協会も強く望んでいる。
作業部会は3月にスタート。東京・永田町で16~17日に開かれた部会では、かねてアイヌ文化の振興に取り組んでいるとして札幌、旭川、苫小牧、帯広、釧路、白老、平取、新ひだかの計8市町を候補地とし、(1)広大な自然空間(海、山、川など)や豊かな自然環境が存在する(2)歴史文化の紹介、展示・体験などの施設や機能(博物館など)がある(3)観光振興の観点で国内外の人々が訪れやすい――など七つの要件から議論した。
白老町には、民族の歴史や文化を紹介する財団法人運営のアイヌ民族博物館があり、09年度には19万5393人が訪れている。検討の結果、全会一致で「すべての項目で白老町に優位性がある」という結論に至ったという。飴谷長蔵・白老町長は「素直にうれしい。町の果たす役割は多くなる。道内外のアイヌの人たちの意見を踏まえ、国や道、北海道アイヌ協会と連携を密にしていきたい」と話した。
ただ、実際に整備されるまでは曲折が予想される。例えば、伝統儀式にのっとって河川で行われるサケの採捕にしても、河川管理は国土交通省、内水面管理は水産庁で、省庁をまたいだ調整が避けられない。
国交省は今夏、施設整備に向けた調査委託費1500万円を予算要求した。しかし、作業部会長で北大アイヌ・先住民研究センターの佐々木利和教授は、この日の方針決定にも「はじめの一歩」と控えめだ。「可及的速やかにやりたいが(整備スケジュールは)描いていない」と述べるにとどまった。
(神元敦司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001012180004
■「共生の空間」白老に
■推進会議方針 儀式や儀礼実践
アイヌ政策推進会議(座長=仙谷由人官房長官)の作業部会は17日、アイヌ民族の歴史や文化などを国民が理解するための「民族共生の象徴空間」を白老町に整備する方針を決めた。アイヌ文化を守って儀式や儀礼を実践し、一般見学者もアイヌ文化を体験できるようにする。国のアイヌ施策の柱になるもので、観光振興の役割も期待される。
新施設は「先住民族の尊厳を尊重し、差別のない社会を築くための象徴」(2009年7月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告書)と意義付けられ、アイヌ民族最大の団体・北海道アイヌ協会も強く望んでいる。
作業部会は3月にスタート。東京・永田町で16~17日に開かれた部会では、かねてアイヌ文化の振興に取り組んでいるとして札幌、旭川、苫小牧、帯広、釧路、白老、平取、新ひだかの計8市町を候補地とし、(1)広大な自然空間(海、山、川など)や豊かな自然環境が存在する(2)歴史文化の紹介、展示・体験などの施設や機能(博物館など)がある(3)観光振興の観点で国内外の人々が訪れやすい――など七つの要件から議論した。
白老町には、民族の歴史や文化を紹介する財団法人運営のアイヌ民族博物館があり、09年度には19万5393人が訪れている。検討の結果、全会一致で「すべての項目で白老町に優位性がある」という結論に至ったという。飴谷長蔵・白老町長は「素直にうれしい。町の果たす役割は多くなる。道内外のアイヌの人たちの意見を踏まえ、国や道、北海道アイヌ協会と連携を密にしていきたい」と話した。
ただ、実際に整備されるまでは曲折が予想される。例えば、伝統儀式にのっとって河川で行われるサケの採捕にしても、河川管理は国土交通省、内水面管理は水産庁で、省庁をまたいだ調整が避けられない。
国交省は今夏、施設整備に向けた調査委託費1500万円を予算要求した。しかし、作業部会長で北大アイヌ・先住民研究センターの佐々木利和教授は、この日の方針決定にも「はじめの一歩」と控えめだ。「可及的速やかにやりたいが(整備スケジュールは)描いていない」と述べるにとどまった。
(神元敦司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001012180004