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「輝く男の子」追う再生の旅 津島佑子「黄金の夢の歌」

2010-12-20 | 日記
(朝日新聞 2010年12月19日10時26分)
 作家の津島佑子さんが新作『黄金の夢の歌』(講談社)を刊行した。近年、アイヌ口承文芸の仏訳に取り組むなど、文字ではなく歌として伝えられてきた世界の豊かさを紹介してきた津島さんは、そうした歌を「夢の歌」と呼ぶ。「夢の歌」は、民族としてだけでなく「誰の体にもある」と言う。新作はキルギスの英雄叙事詩「マナス」の歌に魅せられ、中央アジアを旅した魂の記録でもある。
    ◇
 マナスはキルギスに伝わる叙事詩の主人公の男の子。成長して、外敵から民族を守るリーダーとなる。津島さんは、アイヌの叙事詩「ユカラ」の男の子ポイヤウンペと共通するものを感じた。共に他民族からの侵略にさらされてきた歴史から生まれた英雄。「でも、どうしようもないいたずらっ子。その輝きが魅力的。物語の原型として男の子がいる意味をずっと探りたいと思っていた」と言う。
 作者の分身でもある小説の中の「あなた」に、マナスともポイヤウンペともいえる男の子が何度もささやきかけてくる。さらには、マケドニアから中央アジアにまで遠征したアレクサンドロスの少年時代の声も聞こえてくる。
 「暴れん坊の男の子には、がちがちに固められた人間社会を破って、新しいエネルギーに満ちた世界を現出させてほしいという期待がある。アレクサンドロスは人類の夢を体現した、ひとつの像。繰り返される戦争に嫌気がさし、どうしたら平和になるかを考えてきた歴史の中で、希望が託された。彼はその使命感を持っていたのではないか」
 津島さんは、念願のマナスの歌をキルギスの首都ビシュケクのユネスコ事務所で聴く。殺風景な部屋だったが「楽器も持たず、身ぶりだけで歌うリズムにだんだんしびれてきて感動した。はるか昔、人間は小鳥のさえずりや動物の咆吼(ほうこう)をまねし、意味をくみ取ろうとした。大自然からのメッセージを感じ、人間からも送り返す。そのやりとりが歌の起源なのでは」
そんな「夢の歌」は「だれにもあらかじめセッティングされているのでは」と言う。
 「命そのものがつながっていると実感をもてる場所がどこかにあるはずだが、見いだせずにもどかしい思いをしているとき、そこに導いてくれる。一人ひとりが、絶対につかめないものにつながっている夢の歌を持っていて、懐かしい場所へのガイドブックの役割を果たしてくれる」
 「夢の歌」が「あなた」を最後に導いたのはイシククル湖だった。地上から飛行機を仰ぎ見る「あなた」と、飛行機の乗客となった「あなた」がいる。地上の「あなた」は30年以上前の出産の記憶を思い起こし、機上の「あなた」はマナスを産んだ母親のようにおなかがふくらんでいる。
 実際に湖で泳いだ津島さんは「時間が堆積(たいせき)していて、古代のままのタイムカプセルのようだった」と言う。「女性にとって生命のはじまりを生み出すということは幸せな時間。それは個人にとどまらず、生命体としての希望でもある」
 現実の時間の中で流れた悲しみを知っている地上の「あなた」と、臨月の幸福感に包まれた機上の「あなた」とが交錯し、再生への希望が痛切に伝わってくる。(都築和人)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201012170393.html

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【白老】整備地内定の報に沸く白老 民族共生の象徴空

2010-12-20 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2010年 12/18)
 民族共生の象徴的空間を白老町に整備、の内定の報に、飴谷長蔵町長は「先代のアイヌ民族がつくり上げた活動の成果や、交通アクセスの良さを認めてもらえたのでは。感激と同時に重みも感じている」と語った。
 共生空間整備は、アイヌを先住民族とする2008年6月の国会決議を受けて設置された政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が提唱。懇談会を継承したアイヌ政策推進会議(座長・仙谷由人官房長官)が白老町、平取町、札幌市、旭川市などを候補に、整備地を検討してきた。
 「白老適地」は、17日の推進会議作業部会で内定した。来春の全体会で正式決定される見通しだ。整備メニューに、山、川、海を活用した大規模な公園整備やアイヌ民族の人骨を納める慰霊施設の建設などがある。総事業費は100億円規模という。
 選定に当たって、広大な自然空間、文化伝承の人材、歴史・文化の紹介・体験施設や機能(博物館)、地域のアイヌ民族による自主的な文化実践、観光振興の観点から国内外の人々が訪れやすい、などの環境を評価したという。作業部会メンバーの加藤忠・道アイヌ協会理事長は「白老はどれを取っても非常に高い評価を受けた」と話している。
 道アイヌ協会白老支部の野本勝信支部長は「先人たちの活動が評価され。大変喜ばしい。アイヌ文化は地域によって特性があり、白老だけではなく、各地のアイヌ民族との連携を強化していきたい」と語り、「世界中の人々にアイヌ民族を理解してもらえる場所になれば」と期待もした。
http://www.tomamin.co.jp/2010s/s10121801.html

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かるた大会:アイヌ語で 掛け声やあいさつも--旭川の市民団体が来月5日 /北海道

2010-12-20 | アイヌ民族関連
 毎日新聞 2010年12月18日 地方版

◇「気軽に参加を」--初開催
 旭川市の市民グループが1月5日、アイヌ語を使った初のかるた大会を開く。道教育大旭川校のアイヌ語サークル「A・I・U(アイユ)」が06年にアイヌ語の旭川方言を基に手作りしたかるたを使用。掛け声やあいさつなどの大会進行もできる限りアイヌ語を使い、アイヌ文化の理解を深めるきっかけにしたい考えだ。参加は小学低学年から大学・一般までの4部門で19日まで募集している。
 企画したのは同大学院生や卒業生、社会人でつくる「アイヌ語と遊ぼう企画委員会」(普久原涼太代表)。メンバーらが所属する「A・I・U」のアイヌ語かるたを活用し、幅広い世代にアイヌ語を学んでもらおうと考えた。かるたは45枚で、読み札は「暑いからアトゥイ(海)へ行こう」「茶色の毛のチャペ(猫)がタマです」などとアイヌ語の単語と独特の発音が盛り込まれている。
 大会は同市宮前東の市市民活動交流センターで午前10時~午後4時。参加は無料で、小学校低学年、高学年、中学・高校、大学・一般の4部門で3対3の団体戦を実施。審判や進行係などのボランティアも募集しており、26日午後1~3時に説明会を開く。
 同委員会は「アイヌ語を学んだことのない人も気軽に参加してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは事務局の深沢さん(090・6211・9994)へ。【横田信行】
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20101218ddlk01040282000c.html

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