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松阪木綿、アイヌ文化を支える 「良質」と衣装作成に利用 三重・松阪 武四郎記念館でW館長トーク

2025-01-22 | アイヌ民族関連

 

夕刊三重 1/21(火) 17:45

北海道のアイヌ民族博物館・佐々木館長が話す

国立博物館で松阪産の杉製の椅子を使っていることなども話した佐々木館長(右)と、山本館長=小野江町の松浦武四郎記念館で

 三重県松阪市小野江町の松浦武四郎記念館は19日午後2時から、同館の山本命館長(48)と北海道白老町の国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長(67)による「W館長トークイベント」を開催。小野江町出身で北海道の名付け親・松浦武四郎(1818~88年)がつないだ縁を基にして、松阪木綿が現在のアイヌ民族の文化の復興を支えているなど新たな関係が生まれていることが示された。

 同記念館で開いている同博物館と市の共催展示「三重から北海道へ─アイヌ文化と出会った人々─」(19日で終了)に合わせた企画。同記念館は同博物館が国立化する前の2014(平成26)年10月に、国内で唯一となる姉妹博物館の提携を結んでいる。

 この日は市民ら約50人が参加。佐々木館長は、三重にゆかりの人物でアイヌ文化と出会った人物として松阪の礎を築いた戦国武将の蒲生氏郷(1556~95年)、鈴鹿市白子の船頭だった大黒屋光太夫(1751~1828年)、津市の豪商の川喜田石水(1822~79年)を挙げた後、「関係は人物だけではなかった」として木綿に言及した。

 「アイヌ民族と木綿の歴史は古い。16世紀後半に日本に木綿が入ってきた時期とほとんど同じころ、北海道に木綿が入ってきた」と述べた。「今、恐らく現存しているアイヌの一番古い衣装はロシアのサンクトペテルブルクの博物館に保存されている。収蔵されたのは1775年といわれるが、専門家によると作られたのは恐らく100年以上前、1675年以前」とした。この衣装は「非常にきれいな藍木綿をベースにして絹の小袖のぼろを切り刻んで、テープ状にしたものを貼り付け、見事な刺しゅうをしている」とした。

 続けて「当時、木綿は高級な素材だった。しかし1700、1800年代に入ると木綿が盛んに作られるようになる」と説明。その上で「綿花栽培にはすごく〝地力〟を使う。優れた肥料が必要で、一般にイワシかすが有名だが、北海道から油を絞ったニシンのかすが本州に送られて綿花畑に使われた。金で買う肥料という意味で金肥といわれた」と語った。

 さらに「商人は木綿を売って、古くなった木綿は松前から北海道の漁場で何年も働くアイヌの労働の報酬として渡していた」と紹介。「木綿とアイヌの労働、北海道を巻き込む経済循環が出来上がっていた」とし「今はそういった循環はないが、(現在の)アイヌは自分たちの文化を復興するために木綿を必要とし、良質な木綿として松阪木綿が選ばれている」と話した。アイヌ文化を紹介するさまざまな展示に松阪木綿が使われているとした。

 山本館長は「北海道アイヌ協会の理事長を務める大川勝さんからよく記念館に電話で『アイヌ民族の衣装を作るから松阪木綿を一反お願いしたい』と依頼が入る。現在のアイヌ民族に松阪木綿が大切にされている」と伝えた。

 他に、明治時代末期の北海道が舞台の人気漫画「ゴールデンカムイ」の話や、同博物館2階のロビーに、松阪産の杉を使った椅子が並んでいることなどが話題になった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e89648acd2f54fbe6d2b1bd8c4c79dcf7b66909

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